R5.鎮静薬ケタミン【救急・集中治療Reference】
1.ケタミンの特徴
<ケタミンの強み>
鎮静薬ケタミンの最大の強みは2つあると考えます。
1.鎮静薬だが、鎮痛作用もしっかりしている。
→1剤で鎮静と鎮痛の2役こなしてもらえます。
2.循環抑制、呼吸抑制がない。
→重症患者の鎮静・鎮痛を行う場合には、これらに伴う循環抑制(つまり血圧低下)と呼吸抑制(つまり自発呼吸の停止)のリスクがあり、これらとの駆け引きが必要になります。一方ケタミンは、交感神経賦活作用があるため、基本的にこれらの心肺が要りません。
<ケタミンの弱み>
1.最近は問題ないとする知見が集まってきているものの、一昔前までは、脳血管障害や頭部外傷のケースでは、頭蓋内圧亢進の副作用があり、禁忌とされていましたので、未だ嫌がる感覚は残っています。
2.唾液分泌亢進の副作用があるため、唾液によって気道確保に困ることがあります。アトロピン0.25~0.5mgの静注で対応します。
3.むしろ、血圧上昇作用や頻脈作用があります。従って、虚血性心疾患など血圧やレートを上げて心臓に無理をさせたくない症例では、回避が無難でしょう。
2.ケタミンの使用用量
製剤は、50mg/5mLで1Aです。
0.1~0.5mg/kg静注して、その後は0.05~0.4mg/kg/hourで持続します。
体重50kgなら……
0.5~2.5mLを静注して、その後は0.25~2mL/hourで持続となります。
<Column>
例えば予定手術の場合には、状態が落ち着いた患者に対して手術という外傷を与えることになるため、鎮静・鎮痛は血圧が下がる方向にコントロールするのが吉です(だって、痛みで血圧上がりますから)。ですが、救急の現場で重症患者管理となると、血圧もともと低いわけですから、よりケタミンの有用性が際立つわけですね。
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