植草学園大学 特別支援教育研究センター

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 特別支援教育を担っていく卒業生へ

                       植草学園短期大学                        教授  堀 彰人 植草学園短期大学では、所定の選択科目を受講することで特別支援学校教諭二種免許状が取得できます。短期大学としては、本学が全国に先駆けてこのカリキュラムをスタートさせました。現在、この免許が取得できる短期大学は2校しかありません。学生たちは、短大生活2年間で幼稚園教諭二種免許状と保育士資格を取得することになっており、また、本学の特色でもある障害やインク

    • 交流及び共同学習の一コマから ~出会い続けるために~

                                                                                             植草学園短期大学                         教授  堀 彰人   植草学園短期大学では、保育士資格と幼稚園教諭二種免許状を取得することが卒業要件になっていますが、所定の選択科目を履修することで特別支援学校教諭二種免許状も取得することができます。このようなカリキュラムを備えた短期大学は

      • いんくる♡教育 番外編 “第6回植草学園理事長杯争奪戦「千葉県特別支援学校ボッチャ選手権大会」”を開催しました

        いつも「いんくる♡教育」を読んでくださっている皆さん、三連休はいかがお過ごしでしたか?今日はいつもの話題とはちょっと趣を変えて“番外編”をお届けします。 三連休の初日である10月12日(土)、第6回植草学園理事長杯争奪戦「千葉県特別支援学校ボッチャ選手権大会」を本学の千葉若葉キャンパスで開催しました。   千葉県内の特別支援学校から参加を募り、開催してきたボッチャ大会も今回で6回目。全国ボッチャ選抜甲子園2024で優勝した県立船橋夏見特別支援学校を筆頭に、和やかでありなが

        • 特別企画 いんくる座談会(4)

          多様化する子ども・変わる学校  医療ケアの必要な子どもが増えています。IQ(知能指数)は高くても社会生活に困難性のある発達障害のある子、外国にルーツがあり日本語や日本の慣習になじまない子も学校現場で目立つようになりました。「障害」ではくくり切れない多様性に特別支援教育がどのように対応していくのかが問われています。「インクルーシブ教育」「徳育」を理念に掲げる植草学園大学が果たすべき役割について話しました。 <参加者> ・佐川桂子(発達教育学部長) ・渡邉章 (図書館長) ・

          特別企画 いんくる座談会(3)

          一般就労に向けた特別支援教育  企業などで働く障害者は増え続けています。国は企業や団体に義務付けた法定雇用率を次第に引き上げ、それに伴って特別支援学校で学ぶ障害児も一般就労の道が開かれてきました。特別支援学校での教育内容も就労に向けたものが期待されるようになりました。特別支援教育はどのように変わってきたのか、今後はどうなるのかについて語りました。 <参加者> ・佐川桂子(発達教育学部長) ・渡邉章 (図書館長) ・髙瀬浩司(特別支援教育コース主任)  ・野澤和弘(副学長)

          特別企画 いんくる座談会(3)

          特別企画 いんくる座談会(2)

          インクルーシブ教育と国連の勧告 特別支援学校を希望する児童・生徒が増えている背景には、発達障害と言われる特性を持った子どもが急増している現実があります。国連障害者権利委員会は日本政府に対して普通学級から分離された特別支援教育をやめるよう勧告しましたが、文部科学省は特別支援学校や特別支援学級の存在を前提とした日本のインクルーシブ教育を「やめない」と言っています。この状況をどう考えたらいいのか、現場からの視点を中心に考えました。 <参加者> ・佐川桂子(発達教育学部長) ・渡邉

          特別企画 いんくる座談会(1)

          植草学園大学発達教育学部の特別支援教育コースの先生たちが座談会をしました。特別支援学校はどうなっているのか、児童や生徒は変わったのか、インクルーシブ教育とは何なのか……。熱く語り合いました。 <参加者> ・佐川桂子(発達教育学部長) ・渡邉章 (図書館長) ・髙瀬浩司(特別支援教育コース主任)  ・野澤和弘(副学長) 特別支援学校の可能性と課題 少子化で子どもの数は減っている中で、小学校ではいじめや不登校が急増しています。教員採用選考の受験者は減少傾向にあり、先生が足りな

          特別企画 いんくる座談会(1)

          復興支援活動を続けるということ②~ニーズは変わる、しかしなくならない~          

          植草学園大学名誉教授 全日本特別支援教育研究連盟理事長 名古屋 恒彦 ニーズは変わる、しかしなくならない  東日本大震災津波における復興ボランティアの初期の主な活動は、いわゆる泥上げ(家屋の床下・床上や道路の側溝などに堆積した汚泥の除去)やがれきの撤去といった体力を要求される仕事でした。筆者は主に岩手県宮古市で活動しましたが、内陸にある盛岡市から借り上げバスで学生とともに月に何度も片道約2時間の道のりを通い、時には現地のボランティアセンターに宿泊しながら、この活動に従事しま

          復興支援活動を続けるということ②~ニーズは変わる、しかしなくならない~          

          復興支援活動を続けるということ①~支え合いとしてのボランティア活動~          

          植草学園大学名誉教授 全日本特別支援教育研究連盟理事長 名古屋 恒彦 はじめに  今回と次回は、岩手県に在住する筆者が経験した東日本大震災の復興支援活動について書きます。  というのも、今年8月に岩手県沿岸の先生方を対象に、本センター事業として特別支援教育研修会を開催することになったからです。  発災13年を過ぎた今、教育現場になお存在する支援ニーズを、筆者の経験してきたことをふり返りながら、みなさまと分かち合えればと思います。 東日本大震災津波の発災  2011年3月1

          復興支援活動を続けるということ①~支え合いとしてのボランティア活動~          

          障害者差別解消法元年の悲劇を乗り越えて-エクスクルージョンと差別意識の深層、そして「合理的配慮」へ-

                                                               植草学園短期大学教授 佐藤愼二  拙文は『生活中心教育研究No.29』(2016年12月発刊)に掲載された内容を一部修正したものである。  平成28(2016)年7月26日、相模原の障害者施設で凄惨な殺人事件が起きた。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。  今回の事件は、障害のある娘をもつ父親としてやり場のない憤りを禁じ得ない、許せない。一方、教育者としては-

          障害者差別解消法元年の悲劇を乗り越えて-エクスクルージョンと差別意識の深層、そして「合理的配慮」へ-

          「自立」は「孤立」で 「支援」は「無援」か?

                                                        植草学園短期大学 教授 佐藤 愼二 「自立」という幻想  現代社会において「支援なしの自立」はあり得ない。もし、「私は完全に自立している」と考えているとしたら、それは大きな勘違いになるだろう。水道、電気、ガスがないとしたら…、農業、水産業等に従事する人がいないとしたら…考えればきりがなく、おそらく生きていくことさえ危うくなる。社会・生活インフラは-普段は意識されることの少ない-極めて

          「自立」は「孤立」で 「支援」は「無援」か?

          発達障害について考えよう(4)

          本当のインクルーシブとは                植草学園大学発達教育学部教授 野澤和弘  発達障害のある人の中には芸術や科学において傑出した才能があり、近代文明を進化させてきたことを紹介しました。そのような才能がなくても、脳の機能の多様性に着目して、「劣っている」のではなく「違う」だけだと考えるニューロ・ダイバーシティという概念が注目されています。従来の古い障害観を変える可能性を秘めていると思います。 発達障害をポジティブに評価する  自閉スペクトラム症(AS

          発達障害について考えよう(4)

          発達障害について考えよう(3)

          ユニークな個性に着目する                植草学園大学発達教育学部教授 野澤和弘  発達障害をネガティブに考え悲観ばかりしてはいけないと思います。発達障害のある人の中には特別な才能のある人もいます。そのような才能が見られなくても、繊細でまじめな人が多いように思えます。彼らの特性をよく理解せず、何が何でもルールを守らせ集団に適応させようとすると二次的な適応障害を生じさせてしまうことがあります。社会生活を送るためにはある程度はそうしたことも必要でしょうが、むしろ

          発達障害について考えよう(3)

          発達障害について考えよう(2)

          増加の背景にあるもの                                                     植草学園大学発達教育学部教授 野澤和弘  発達障害とみられる子どもたちが小中高校の通常学級で急激に増えていることを前回は紹介しました。2004年に施行された発達障害者支援法で「早期発見・早期支援」が謳われたあたりから、学校や社会で関心が高まり、潜在化していた発達障害の特性のある子が表に出されるようになってきたのではないかとみられています。特に保育所

          発達障害について考えよう(2)

          発達障害について考えよう(1)

          なぜ、こんなに増えているのか?                植草学園大学 発達教育学部 教授 野澤和弘            通常の学級に在籍する小中学生のうち、発達障害の可能性がある子どもが8・8%を占めるという文部科学省の調査結果に衝撃を受けた人は多いはずです。8・8%とは、つまり11人に1人が発達障害ということです。特別支援学校や支援学級に通う児童・生徒も増えていますが、通常学級に在籍する子どもたちの間でも発達障害がこんなに増えているというのです。  10年前の前

          発達障害について考えよう(1)

          「信頼」が育つ場~困難さを共に過ごす~

                                   植草学園短期大学                          教授  堀 彰人    吃音(きつおん)をご存じだろうか。吃音とは、どもる話し方のことを言うが、実は吃音については誤解されていることが多い。  例えば、子どもの吃音は性格や育て方によって生じるものだと思われたり、本人に話し方について意識させないよう、話し方には触れない方がよいのだと思われたりしてきた。そのため、保護者は自身の育て方のせいで、子どもが苦しそうな話

          「信頼」が育つ場~困難さを共に過ごす~