特別支援教育を担っていく卒業生へ
植草学園短期大学
教授 堀 彰人
植草学園短期大学では、所定の選択科目を受講することで特別支援学校教諭二種免許状が取得できます。短期大学としては、本学が全国に先駆けてこのカリキュラムをスタートさせました。現在、この免許が取得できる短期大学は2校しかありません。学生たちは、短大生活2年間で幼稚園教諭二種免許状と保育士資格を取得することになっており、また、本学の特色でもある障害やインクルーシブに関連する独自の科目も含めて、1週間の時間割がびっしりと埋まっています。それだけでも大変な中、この特別支援学校の免許取得も希望する学生は、2年生になると、毎週土曜日に、そのための授業に朝から夕方まで参加をします。そのため、これらの授業に対して“土曜授業”という通称が定着しています。2年生は、幼稚園等での実習も設定されており、本当に忙しい中、“土曜授業”に挑戦していることに頭が下がる思いです。一年間履修しているうちに参加するメンバーの仲間意識もかなり強まります。以下は昨年度の履修者の感想の一部です。
・「土曜日なのに1限から5限まであるのは正直大変で辛かったけど、そんな気持ちがなくなるくらい学ぶことが多くて充実した時間です!終わった時には特支の授業を履修して良かったと思いました!」
・「障害についての知識が得られるだけでなく、自分の価値観や考え方が変わる瞬間にもなりました。」
・「土曜授業組みんなで実習や授業を乗り越えることができて、1年間充実した土曜日を送ることができました。これからも学んだことを忘れず、フル活用して、来年度の教員採用試験頑張りたいです。」
今年度も、全体の4割以上の学生が“土曜授業”に参加しています。特別支援学校の教員を目指す学生も毎年、何名も出てきます。こうした学生は、短大卒業後に植草学園大学の科目等履修生になり、小学校の教員免許状も取得した上で、教員採用試験に臨みます。多くの卒業生が正規の教諭として教育現場で活躍しています。
これから教育現場に立とうとする二人の思いを紹介します。
<Aさん>
私の特別支援教育との最初の出会いは、植草学園短期大学こども未来学科のオープンキャンパスでのミニ講義でした。障害に対する見方が変わりました。入学後はインクルーシブ保育をはじめ様々な授業を通して「困っている子ども」の目線から考え、一人ひとりの気持ちに寄り添うことの大切さを学びました。それは、どの子どもの保育や教育にも通じることでした。学外の実習では、周囲と同じペースで活動できずに困っている子どもの姿に接しました。このような子どもたちの支援に関する専門性が必要だと強く感じ、特別支援学校の教員を目指す決心をしました。
私は、“子どもと共に学び成長していく先生”になりたいです。子どもたちの可能性を信じ、愛情を込めて共に活動していきます。保育を学んだからこそ活かせることもたくさんあります。また、視覚教材やICT機器も積極的に活用し、子どもたちが充実感をもって、毎日を前向きに過ごせる学校生活を実現していきたいです。
<Bさん>
「どの子も包み込むインクルーシブ教育」という言葉に惹かれて、植草学園短期大学で学びたい!と強く思いました。子どもと関わる仕事に就きたいと考えていた私にとって、保育の専門性を身に付けられることに加えて、障害や特別支援教育についても学ぶことができるこども未来学科は魅力で溢れていました。科目等履修生という制度を利用して特別支援学校教諭になれることもオープンキャンパスで知り、とても魅力を感じていたので、挑戦しようと決めていました。
短大での2年間で、様々な授業(特に特別支援教育を学べる「土曜授業」)や様々な実習(保育・教育実習、特に児童発達支援センターと特別支援学校での実習)を通して障害について深く学び、障害や特別支援教育に対する考え方が180度変わりました。
できることを認めて伸ばしつつ、苦手なことを少しずつできるようにサポートしていくことで子どもたちの成長に関わるとともに、私自身も一歩ずつ成長していける、伴走者のような教員を目指して、これからも学び続けていきたいです。
これまでのような教員と学生という立場ではなく、今後は仕事仲間として子どもたちのことやこの教育のことを語り合える日を楽しみに、彼らに陰ながらエールを送り続けていきたいと思います。
植草学園大学・植草学園短期大学 特別支援教育研究センター
障害者支援を学ぶことは、すべての支援の本質を学ぶことです。千葉市若葉区小倉町にキャンパスをもつ植草学園大学・植草学園短期大学は、一人ひとりの人間性を大切にした教育を通じて、自立心と思いやりの心を育むことにより,誰をも優しく包み込む共生社会を実現する拠点となることを学園のビジョンとしています。特別支援教育研究センターは、そのビジョンを推進するため、平成26年度に創設され、「発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業」(文部科学省)の指定を受けるなど、様々な事業を重ねてきています。現在も公開講座を含む研修会やニュースレターの発行なども行っています。