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読書感想文『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』

読書感想文『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』

 年末のお買い物で、少しばかりの楽天ポイントが手元に入った。その使い道を探して色々と眺めていたころに見つけたのが、こちらの書籍であった。

 有識者が語る、アニメや特撮の軍事事情。以前から、自分はミリタリーの知識が浅いと感じていたことがあり、これ幸いと内容をチェックする。取り扱う作品は、ゴジラ、宇宙戦艦ヤマト、パトレイバー、エヴァンゲリオン……。ECサイトが本著を自分に薦めてきたのも納得のラインナ

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10年を経て振り返る『ウルトラマンX』

10年を経て振り返る『ウルトラマンX』

 2025年。年明け早々に、「今年で10周年を迎えるもの」をまとめたポストがタイムラインに流れてきた。10年前はまだ学生の身分でいられたことを懐かしく思うし、その頃合いに熱中していた『アルドノア・ゼロ』の総集編+新作劇場版が今年になって上映されるなんて、苦労して生き延びた甲斐もあったというものだろう。

 その作品群の中に、愛しの巨人の姿があった。IP復権の狼煙を上げた渾身の一作、『ウルトラマンX

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ずっと放課後でいいのに。『仮面ライダーガッチャード』

ずっと放課後でいいのに。『仮面ライダーガッチャード』

 遅ればせながら、『仮面ライダーガッチャード』を最終話(+ファイナルステージ)までガッチャした。一年が間もなく終わろうとするこの季節、凍えるような寒さに縮こまる身体と心に爽やかな春の息吹を吹き込んでくれたのは、未来へ歩むことに恐れのない若者たちの、今を生きるエネルギーそのものであった。

 『仮面ライダーガッチャード』とはどんな作品か。それを語るには、かなり的確なサンプルがある。第5話「燃えよ!斗

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夢叶わぬ者たちへ。『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』

夢叶わぬ者たちへ。『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』


前置き このテキストは、「ブログクリーンアップ Advent Calendar 2024」のために、かねてより放置していた下書きを、この度全部消して改めて書き直したものになる。

 企画趣旨には、こう書かれている。“今年のブログ、今年のうちに。”と。師走、一年を振り返り総括する季節に、何かやり残したことはないか。そう考えた時、1月からずっと完成しないまま寝かせている下書きが、バッチリミロー!と言

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守りし者として、強くあれ。『牙狼〈GARO〉ハガネを継ぐ者』

守りし者として、強くあれ。『牙狼〈GARO〉ハガネを継ぐ者』

 2024年現在のシリーズ最新作にして、道外流牙の10周年という節目に放送された『ハガネを継ぐ者』は、新しいスタッフによる新機軸が盛り込まれたチャレンジングな一作で、かつて主人公交代という「新」に果敢に挑んだ“流牙らしい”組み立ての連続ドラマであった。そしてその試みは、大胆であるからこそシリーズに新しい風を吹き込んだ結果の面白さに満ちたもので、私個人としてもかなりお気に入りの一作になってしまった。

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その闇は、黄金を塗り潰す。『牙狼〈GARO〉-GOLD STORM- 翔』

その闇は、黄金を塗り潰す。『牙狼〈GARO〉-GOLD STORM- 翔』

 『牙狼〈GARO〉』、というか道外流牙シリーズ強化月間として、放送当時から数年ぶりに『-GOLD STORM- 翔』を見返してみる。早2作目にして、流牙と莉杏、二人の阿吽の呼吸が微笑ましい。

 『闇を照らす者』の続編として製作された本作は、ボルシティを出た道外流牙と莉杏の新たなる闘いを描く、劇場版+TVシリーズ2クールの長編である。前作の監督は横山誠氏が務めていたが、今作ではシリーズ生みの親で

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悩ましき新機軸にして、熱血の良作。『牙狼〈GARO〉〜闇を照らす者〜』

悩ましき新機軸にして、熱血の良作。『牙狼〈GARO〉〜闇を照らす者〜』

 シリーズ最新作『ハガネを継ぐ者』の前に、道外流牙シリーズを振り返っておきたい。そう思っていたはずなのに、いざ実行に移す頃には『ハガネ』の放送も終了していて、夏服をタンスにしまい込む季節にまで持ち越してしまったのは、ひとえに自分の怠惰ゆえ。令和ライダーに浮気をしていた先月までの自分を、呪う羽目になってしまった。

 という要らない前置きを踏まえて、『牙狼〈GARO〉〜闇を照らす者〜』を観た。かれこ

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『仮面ライダークウガ』をまだご覧になっていない方に向けた文章

『仮面ライダークウガ』をまだご覧になっていない方に向けた文章

 ありがたいことに、仮面ライダー作品を観た感想を綴っていると、noteなりX(Twitter)なりで、感想を頂戴することがある。好意的なものもそうでないものも、あるいは誤字脱字のご指摘も、素人の文章にリアクションをいただけるのは、モチベーションとして非常に大きくて、この場で感謝申し上げます。

 その中で一つ、好意的かつ親切なものですよ、という前置きの上で(許可をいただき)掲載させていただくと、「

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@tunacan_nZk の仮面ライダー記事まとめ

@tunacan_nZk の仮面ライダー記事まとめ

 こちらは、当アカウント「ツナ缶食べたい」がこれまで書いてきた仮面ライダーに関する記事をまとめたものです。

 ※新しい記事が投稿され次第、随時更新されます。

クウガ

龍騎

555

キバ

ディケイド

W/風都探偵

ムービーナーズ様にて「仮面ライダースカル」の記事が公開されました。

ムービーナーズ様にて「仮面ライダースカル」の記事が公開されました。

 お仕事のご報告です。

 11月8日(金)公開の劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』を前に、仮面ライダースカル=鳴海荘吉の軌跡と、それを演じた吉川晃司さんの様々な逸話をまとめた振り返り記事を、ムービーナーズ様にて公開中です。いつものことながら、自由な題材での掲載を許可いただけて、感謝が絶えません。

 元より、劇場版公開前にやりたいな〜と思っていた企画を、こうしてメディア様の媒体で幅広い

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熾烈さと今っぽさのあいだ。『仮面ライダーギーツ』

熾烈さと今っぽさのあいだ。『仮面ライダーギーツ』

 先日、『仮面ライダーゼロワン』をTVシリーズから後日談のVシネマに至るまでを鑑賞した。感想としては、「悠也、なんでそんなことするの、悠也……」であった。人間と人型ロボット(AI)の共存の可能性を一年かけて積み上げ、しかしその希望を本編完結後のVシネマで一気に振り出しか、あるいはそれ以上に苦しい局面にまで引き戻す物語展開に、一人で阿鼻叫喚するしかなかったのである。

 なぜこのようなことになったの

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初めて買ったDVDは『仮面ライダー龍騎』の劇場版

初めて買ったDVDは『仮面ライダー龍騎』の劇場版

 とある理由により、東映特撮ファンクラブに再入会している。他サービスでは配信されていない仮面ライダーやスーパー戦隊、過去の東映特撮作品にオリジナル作品がズラリと並び、一度その暖簾をくぐると抜け出しづらい、やはり不思議な魅力のあるサブスクサービスである。

 作品一覧のページを、まるでレンタルショップの棚のようにザッピングしていくと、ついつい色んなタイトルの前で足を(スワイプを)止めてしまうのだ。こ

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“共に生きる”ために、傷ついていく。『仮面ライダーゼロワン』

“共に生きる”ために、傷ついていく。『仮面ライダーゼロワン』

 先日の『仮面ライダーウィザード』に関する記事を投稿する際にかこつけて流してみたこちらの質問に対し、最も名前が多く挙がった作品が、『ゼロワン』だった。

 平成という一国家の元号を私物化し、あまつさえそれを総括せんとする異常なうねりを見せつけた『ジオウ』の後番組として、令和ライダー第1号という華々しいスタートジャンプを決めた『ゼロワン』。この作品については私も過去2つのnoteを書かせてもらってい

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希望も絶望も、受け入れて生きてゆく。『仮面ライダーウィザード』

希望も絶望も、受け入れて生きてゆく。『仮面ライダーウィザード』

 先日から『仮面ライダー鎧武』『烈車戦隊トッキュウジャー』を続けざまに観たことで、10年前のことをぼんやり考えることがある。あの頃はまだ学生として無限にも思えるモラトリアムを過ごしていたが、今や社会人として、ある程度の責任を課せられる立場になってしまった。

 これを喜ぶべきか悲しむべきか、その受け取り方は日によって反復横跳びを繰り返している。でも結局のところ時は戻せないのだから、成人として見なさ

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