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シチリアのお父さんがくれたオリーブオイル
怒られるのは、好きじゃない。
ましてや、旅先で怒られるというのは、そうそうあることでもないと思う。
まぶしすぎる太陽と、緑色に光ったオリーブオイル。
お父さんのパスタに、沈黙の食事。
シチリアのことを思い出すたびに、そんな記憶があふれてくる。
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十年ほど前の暑い夏、シチリア島を旅した。
南イタリアを回りたいという夫と私を、友人のナンドが遊びにおいでと誘ってくれた。普段、彼の一家はミ
ガラパゴスから広島へ、旅する手紙をたずさえて
「ガラパゴス諸島の生物は、独自の進化を遂げているのです」
九州の片田舎で狭苦しさを抱えながら葛藤していた中学生の私は、国語の教科書でその島のことを知った。
「天敵はいません」
うそでしょう、と思った。
天敵もいないのに多様な生物が一緒に暮らしているなんて、奇跡でしかないと胸が高鳴った。
ガラパゴス諸島は、夢のような島だ。
あの時の憧れを抱いたまま大人になった私は、9年前、ようやくその地に
心から楽しめなかった旅のほうが、心に深く残っているー悲しみの街マテーラー
2011年の夏、私はイタリア南部で浮かれていた。
ローマやナポリ、シチリアを旅しながら、まぶしすぎる太陽に酔い、美味しい料理に胃も心も満たされて、いつ着るとも分からないハードルの高すぎるデザインのワンピースを手に入れたりした。
『イタリアは最高です』と書いた絵手紙を、自分宛に送ったりして。
きらびやかな大聖堂を見上げて驚愕し、コロッセウムやギリシャ時代の劇場の地に足を踏み入れてタイムスリップ