富谷あさひ@有料老人ホームから情報発信

親が入る老人ホームを選ぶ前に知っておきたい情報を発信します。 延命、胃瘻、カスハラ、虐…

富谷あさひ@有料老人ホームから情報発信

親が入る老人ホームを選ぶ前に知っておきたい情報を発信します。 延命、胃瘻、カスハラ、虐待、様々な事故事例、監視カメラ、尊厳とは何か... 何処にでもある普通の老人ホームから、現場ナースが考えている日々のこと、最近の老人ホーム事情。

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私が考える老人ホームの選び方

一般的にまずは立地、そして価格帯、介護サービスの有無、医療行為が必要な場合に対応ができるか(24時間看護師がいる施設もある)、面会や外出の自由度、この辺りが最初の条件だろう。 コロナ禍を引きずって、いまだに面会を制限している病院や施設も多いから、頻回に面会したい場合は確認が必要だ。 もちろん上記の条件は譲れない場合が多いだろうが、本人にとって大事なのは日々の生活を気持ちよくできる事だ。ソフト面で私が考えるチェックポイントを以下にまとめた。 ▫︎食事は美味しいか うちの施

    • 飲み込んだ入れ歯を取り除くのは命がけ

      大変な事になってしまった。 90代女性、認知症が何年もかけて少しずつ進み、今では話すことはできず食事や排泄も全介助という状態。 元々穏やかな人柄だったので、トラブルなく平穏に生活してきた。それなのに... ある日の夕食時、ひどくむせ込んだ。 最近、むせる事が多くなってきたので、とろみ剤の調節をして嚥下しやすい粘度を探っているところだった。 その日はあまりにむせるので、食事は途中で中止した。 居室に戻り口腔ケアを行う時に、介護スタッフは上の「部分入れ歯」が入っていない

      • 共依存の夫が急逝した②

        この話、まずはこちらから。 夫の葬儀に参列し、施設に帰ってきた後は更に不穏がヒートアップして目はバキバキ、独語も多く興奮していた。 ただ、お父さんはどうしたの?と聞くと「パパは亡くなった。」と答えるようになった。しかし自分の歳は25歳と答えたりするので、パパ=夫ではないかもしれなかった。 ある日私は1時間ほど時間を作り、妻に付き添う事にした。 フロア担当の介護スタッフが付き添っていては他の仕事ができないし、かと言って放っておくと他の居室に侵入したり、トラブルが起きる。手

        • 共依存の夫が急逝した①

          以前、こちらの記事で紹介した相互依存のご夫婦の夫が急逝した。 夫の姿が数分見えないだけで「パパどこ行った?」と落ち着かなくなる妻は、この後どうなるのか。 このご夫婦のキーパーソンである長男が、先月県外に転居し、両親も近くのホームに呼びたいという事で、近々転居が決まっていたというのが前提にある。 ホームの生活では夫は自立していて、車椅子の妻を介護していた。夫婦は介護スタッフを頼る気持ちはなく、自分達で全てをやろうとしていた。 ベッドから車椅子への移乗をしようとして、支え

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        • 看護介護系・何度も読みたい
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        記事

          身体拘束、虐待の勉強会。やってはいけない3つの「ロック」はフィジカルロック、ドラッグロック、スピーチロック。今回はスピーチロックに焦点を当てて。転倒リスクの高い方に「立たないで!」思わず言ってしまうけどいったん落ち着こ。そんなに直ぐに転ばない。大声でビックリさせたら余計に危ない。

          身体拘束、虐待の勉強会。やってはいけない3つの「ロック」はフィジカルロック、ドラッグロック、スピーチロック。今回はスピーチロックに焦点を当てて。転倒リスクの高い方に「立たないで!」思わず言ってしまうけどいったん落ち着こ。そんなに直ぐに転ばない。大声でビックリさせたら余計に危ない。

          プラシーボ効果の功罪

          「首も腰も膝も痛くて、眠れないの。」 毎晩、同じ時間にナースコールが鳴る。 「それは辛いですねえ。痛み止めを飲みましょうか。」 この時、90代女性に渡したのは、「鎮痛薬」ではなくプラシーボ効果を狙った「整腸薬」である。 翌日、 「よく効いてありがたかったわ!ぐっすり寝ちゃった。」 ニコニコである。 体の痛みを訴える高齢者は多い。腰、膝は特に多い。 1日に何回も痛み止めを所望され、「前回飲んでから時間が空いていないから、もう少し待ってほしい」が通用せずに「なんで薬

          すごいスキルをお持ちです

          ユマニチュードの研修を職場で実施した時のエピソードです。 うちの施設では、毎月の会議の際に「5分間研修」としてユマニチュード浸透のために研修を継続しています。 私は研修をする側なのですが、その日は講師担当ではなかったので、ほかの職員と一緒に研修を受けていました。 ユマニチュードの考え方としての「触れる」について、背中は鈍感だけど顔や手は敏感なので、急に触ると驚かれるので注意しましょうという様な内容です。 実際に職員が2人1組になって、背中をボールペンで触れて、これは1

          もう苦しめないで

          喉に痰が絡んで、ゴロゴロと音がしているので、「少し吸引してとりますね。」と声をかけたら、 「今まで苦しいことばかりだった。もう苦しめないで。」 と返事があった。 この80代前半の女性は、うちの施設に来たばかり。肺癌の末期で在宅酸素を使用し、胸水が溜まっているので呼吸が浅く、少しの体動で呼吸苦を感じやすい状態。 ここに来る前は、別の有料老人ホームで生活していたのだが、本人は「狙われている」「毒を盛られている」という妄想から離れられず、家族も「あの施設は何もしてくれない」

          毎週水曜日に施設に移動販売が来てくれることになりました! (今まではネットスーパーだけでした) 今日は初日。待ってましたとばかりに、皆さまお菓子、パン、ヨーグルト、果物などをカゴいっぱいに爆買い😁目がギラギラしてますぅ。 買い物の楽しさを久しぶりに感じて頂けて良かった〜

          毎週水曜日に施設に移動販売が来てくれることになりました! (今まではネットスーパーだけでした) 今日は初日。待ってましたとばかりに、皆さまお菓子、パン、ヨーグルト、果物などをカゴいっぱいに爆買い😁目がギラギラしてますぅ。 買い物の楽しさを久しぶりに感じて頂けて良かった〜

          あなたの看護・介護観を教えてください

          看護学生の頃「自分の看護観を持ちなさい。」と指導されました。看護・介護に従事する方なら、一度は考えたことがありますよね。 学生の頃、私は看護観について「患者さんと信頼関係を作ること」と答えていました。患者さんに信頼してもらわなければ、看護の実践に支障が出ると考えてそう答えたのだと思います。 総合病院に就職して1年目、私は神経内科病棟に配属されました。そこで私に看護師とはなんぞやという大義を教えてくれる医師と出会います。 その医師は50代の男性で神経内科の副部長。ちょっと

          あなたの看護・介護観を教えてください

          親の看取り、苦しまずに逝けるかは子の判断に委ねられる

          この記事で紹介すること 私たち子供世代は核家族の中で育ち、近親者が亡くなる経験をほとんどせずに大人になっています。 親が施設に入居していたとしても、全て施設任せで良いのか、このままで本当に後悔しないかを考えることは、親のためだけではなく、その先の自分のためでもあります。 点滴や酸素吸入はしてもらった方がいいのか、苦しまずに逝くにはどんな選択肢があるのか、今回は老衰での看取りについてご紹介します。 こんな人におすすめ施設に入っている親が、もうすぐ亡くなるかもしれない、そん

          ¥300

          親の看取り、苦しまずに逝けるかは子の判断に委ねられる

          ¥300

          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫⑤通報

          この話の始まりはこちらから。 先日、市の健康福祉局から施設に連絡が入った。 「施設の内情に詳しい人から通報があった」ので、詳しく話を聞きたいと言うことだった。 ホーム長とエリアマネジャーが市役所へ向かった。 通報の内容は「ある入居者の居室に監視カメラが数台設置されている。トイレ内にも設置されていて、これは本人に対する夫からの復讐だ。」と言うものだったそうだ。 以前、長時間排尿がないという深刻な状況の際に、夫が受診させてくれない件を市に相談していたので、それと同一人物か

          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫⑤通報

          帯状疱疹ワクチン、お勧めするCMもありますね。施設でそのワクチンを打った80代男性が、頭痛と吐き気とメマイでふらふらになり転倒する事故が。このワクチンは2回で1セットですが、2回目は拒否。でも払い戻しはありません。2回で44000円するんですよ...気軽には打てませんね。

          帯状疱疹ワクチン、お勧めするCMもありますね。施設でそのワクチンを打った80代男性が、頭痛と吐き気とメマイでふらふらになり転倒する事故が。このワクチンは2回で1セットですが、2回目は拒否。でも払い戻しはありません。2回で44000円するんですよ...気軽には打てませんね。

          コロナ感染、最近の症状はこんな感じ

          もういい加減にして欲しいと介護業界の皆さまは感じていると思いますが、最近また増えているんですよね、コロナ感染。 うちの施設にも現在1名の感染者がいます。コロナ全盛期のように、「コロナが出たぞ、職員も抗原検査だ!」とはなりませんが、感染源は不明なままで発症されてから1週間が経っています。熱はまだ下がりません。 時々面会に来ていた奥様は「私はピンピンしている。」との事で検査は実施されていないようですが、本人はいわゆる寝たきりの方で、現在のところ職員も症状がある者はなく、一体何

          コロナ感染、最近の症状はこんな感じ

          妄想は十人十色

          認知症や精神障害が起きると、色々視えたり思い込む事があるようですね。 実際にあった色々な妄想を集めてみました。 ▪️「夜中に誰かが部屋に入ってきて、この歌集を引き出しに入れていった」90代女性 ▪️「夜中に入ってきた人が、無理矢理私に薬を飲ませる。次の日は体調が悪いからわかる。」90代女性 ▪️「幽霊に足指の皮をむかれる。誰も本気にしてくれない。」80代女性 ▪️「ほら食べな〜、美味しいよぉ」「早く食べなさい。」 毎回の食事で、おんぶしている(つもりの)子供に、スプー

          「排便ショック」の後遺症?

          排便ショックという言葉、聞いた事がありますか? 排便ショックは、排便が多量にあった場合に起きる事が多い。便が排出された直後に失神してしまう状態のことで、数分で意識が戻ってくる。 当施設は入居者が100名ほどだが、平均すると月に1回は誰かが排便ショックを起こすくらい頻度が高い。 高齢者は便秘がちな人が多いので、下剤の内服も多い。下剤の効果で、排便が多量にあると起きがちなので、一度起こした人には排便コントロールが慎重に行われる。 ある日、90代男性がトイレでの排便後に突然失