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「認知」レベルでのマインドフルネス

マインドフルネスは、様々な定義、取り組み方がありますが、呼吸や身体感覚や周囲の心地よい風景や音といった心理以外のものに意識を集中させ、マインド(心)をフル(いっぱいに満たす)にすることによって、あれこれと悩み、あくせくとして疲弊している「することモード」の心を、「いま、ここ、われ」=here and nowに集中して落ち着く心、「あることモード」の心に切り替えることが基本と考えられます。

日本の伝統的な文化には、大体、基底にこの「あることモード」の精神が流れています。

その一方、あるものを想記して集中することや今の自己の内面を注視する「認知」レベルでのマインドフルネスというものもあり、これには以下の二つがあると考えられます。

① 心落ち着く素敵な情景やありもしないもの(「虹色の像」など)を想起し、これに集中することで、悩みや悪感情や雑念から離れ、心を落ち着かせ、「あることモード」の心に切り替える。

② 自分の心の動きを、もう一人の自己の視点(メタ認知の視点)から客観的に是非の評価を加えずに「ただ」眺め、悩みや悪感情や雑念そのものの自分から脱した自己となることで、心を落ち着かせ、「あることモード」の心に切り替える。

マインドフルネスの定義や方法には種々ありますが、以上のとおり、心理以外の対象に集中する方法と、想起したものに集中する方法と、内面の心の動きに集中する方法があり、これらによって心を落ち着かせ、「あることモード」の心を取り戻すことで、より豊かな生き方を目指すということが基本だと思われます。

老荘思想に基づく無為自然の瞑想や禅や茶道や書道といったものは、マインドフルネスの原型であり、かつマインドフルネスを実現しうる作法の典型なのでしょう。



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