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空想お散歩紀行 物語の道

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空想の世界の日常を自由に描いています。
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2021年3月の記事一覧

空想お散歩紀行 復讐の一撃 後編

空想お散歩紀行 復讐の一撃 後編

3日後、署内会議室。
連続狙撃殺人事件の定例報告の場に島津と織田の二人はいた。
「では、捜査の結果何か他に分かったことはあるか?」
進行役の刑事がその場にいる者たちに発言を促す。
立ち上がったのは彼ら二人だった。
「被害者岡野カスミに関する新たな情報と犯人の目的についての推察です」
その場の空気が一段上に引き締まる。何しろ今まで誰も犯人の目的が分からなかったのだ。それが分かれば逮捕にぐっと近づく。

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空想お散歩紀行 復讐の一撃 中編

空想お散歩紀行 復讐の一撃 中編

「ここが犯行現場ですね」
二人の刑事、島津と織田は連続狙撃殺人事件の一つである、女子高生岡野カスミを狙撃したと思われる場所へと足を運んでいた。
「確かにここからなら殺害現場まで一直線ですね」
織田は目を細めて殺害現場となった大型商業施設のテラスを眺めている。
しかし島津の方は空を見上げていた。
「・・・眩しいな」
「え?どうしました先輩?」
織田が怪訝そうな顔で島津を見る。島津はまだ空を見上げたま

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空想お散歩紀行 復讐の一撃 前編

空想お散歩紀行 復讐の一撃 前編

桜の花が咲き、風に温かみを感じる季節になっても、その男の心の中は分厚く黒い雲が立ち込めているかのように不快感が溢れていた。
「先輩、さっきから何度目ですか。舌打ち」
彼の横を歩く後輩の女性が指摘をする。
「これから聞き込みなんですから、そんな不機嫌マックスの顔で行ったら、話してくれるものも話してくれなくなりますよ」
「分かってるよ」
と、彼は短く答えるとまた舌打ちをした。
彼ら二人は刑事である。

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空想お散歩紀行 お宝いっぱいダンジョンとその主

空想お散歩紀行 お宝いっぱいダンジョンとその主

「くそっ!何てダンジョンなんだ・・・」
天を衝くような高い塔の入口から、数名の男たちがボロボロの姿で出てくる。だれもが命からがらといった様相だ。
そしてその塔の最上階の一室で、その様子を水晶玉からの映像として見ている小さな影が一つ。
「まったく愚か者どもめ。二度と来るんじゃねえ」
水晶玉の映像を切って椅子から立ち上がったのは、見た目は精々10歳くらいにしか見えない少女だった。
しかし実は彼女、この

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空想お散歩紀行 マッチング知らない世界へ

空想お散歩紀行 マッチング知らない世界へ

「彼女がほしい」
今年に入ってもはや何度言ったか分からないセリフを、現役高校生の少年ケンシはつぶやいていた。
せっかくの青春時代、彼女の一人も作らずに何が青春か。
「・・・正直、こいつには頼りたくはなかったが」
彼が手にするスマホの画面に映っているのは『誰にでもピッタリの相手がいます!世界中から理想の相手を見つけるお手伝いを致します!』
マッチングアプリというやつだ。
「正直怪しいという思いもある

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空想お散歩紀行 クリア後ダンジョンの活用法

空想お散歩紀行 クリア後ダンジョンの活用法

リフォーム。古くなったものを新しく作り直すこと。しかし一度全て壊してから作ることはリフォームとは言わない。
前の状態の雰囲気等は残しつつ、新しい息吹きをそこに根付かせる。それがリフォームだ。
俺はそのリフォームに命をかけている。
住宅のリフォームもやるが、俺がそれ以上に今熱を上げているものがある。
最近、世界が平和になった。勇者とやらが魔王を倒したからだ。そこで無用の長物になったものがある。
それ

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空想お散歩紀行 紅いパーティへようこそ

空想お散歩紀行 紅いパーティへようこそ

豪華喧騒な大ホールは今夜ひと際輝いていた。
巨大なシャンデリアが煌々とフロア全体を照らし、楽団が時に荘厳な、時に軽快な音楽を奏で、大きな長机には色取り取りの菓子や果物、飲み物が並び、さらに一角ではカードゲームやルーレット等の遊びに興じている人たちもいる。
そして今、この大屋敷の主が壇上で挨拶をしていた。
「それでは皆さん、ごゆっくりお楽しみください」
客を迎える挨拶を終え、今度は訪問者と個別に談笑

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空想お散歩紀行 潜入工作員の悩み

空想お散歩紀行 潜入工作員の悩み

皆さん、天使ってご存知ですか?
そう、背中に羽があって、イメージカラーは白。常に明るいところで幸せに暮らしている、そんな想像をしているかもしれません。
が、現実は案外厳しいのです。天使って思った以上に階級社会です。九つも階級あるし、そして私はその一番下のただの天使です。
そんな私が今、何をしているかと言うと・・・
「ありがとうございましたー!」
・・・地獄にいます。
いや、比喩とかじゃなくてですね

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空想お散歩紀行 罪・美・人

空想お散歩紀行 罪・美・人

未来は誰にも分からない。人生は常にお先真っ暗という人もいる。
だが真っ暗かどうかも分からない状況に彼はいた。
「あの、それでお話ってなんですか?」
その青年、サクは目の前の人物に尋ねる。
普通のファミレスの普通のテーブルの真向いに座っている普通ではない女に。
その女はまず雰囲気が何か違う。サクは直観的に感じていた。自分よりずっと年上に見える気もするし、同年代にも見えるし、時に少女のようなあどけない

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空想お散歩紀行 時間取引 その三

空想お散歩紀行 時間取引 その三

人間の評価とはどこで決まるのだろうか?
実績?どんな成果を出したとか、いくら稼いだとか、フォロワーが何人いるとか?
いろいろ形はあるだろうが、評価に共通していることは、何かの行動の結果だということと他人からもらうものだということだ。
「じゃあ、今日はここまでにしたいと思いま~す。またね~」
一人の青年が日課であるネットの生配信を終えた。
彼の名前はシンシャカ。本名ではない。ネット上で活動する時の芸

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空想お散歩紀行 デジタル不老不死

空想お散歩紀行 デジタル不老不死

あれからどれくらいの時が経ったであろうか。
脳の仕組みが完全に解明されてから、その仕組みを人工的に再現できるようになるまで、そう長い時間は掛からなかった。
人の脳をデジタル上に完全に再現する。
人生コピー。それはそう名付けられた。
そして私は今、このネット空間の中にいる。
肉体はとうの昔に無くなってしまったが、私の人格は今なお顕在だ。
自分の人生をコピーして、最初に驚いたのは過去の忘れてしまってい

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空想お散歩紀行 その思い出、お消しします

空想お散歩紀行 その思い出、お消しします

適材適所。どんな力も技も、そこに優劣はなく、ぴったりと当てはまる場所があるというだけ。F1マシンはサーキットでは無類のスピードを出すかもしれないが、道が入り組んだ住宅街では役立たずだろう。
そしてそれは魔法も同じだった。
「お疲れ様、サシャちゃん」
白髪混じりで口ひげをたくわえた男が、コーヒーの入ったカップを片手に少女に話しかける。
「あ、お疲れ様です。オーナー」
ウェーブが掛かった銀髪のこの少女

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空想お散歩紀行 遺された知識

空想お散歩紀行 遺された知識

探検とは、まだ人が足を踏み入れたことの無い未知の領域を歩くことだと、何かで読んだ記憶がある。
そうであるならば、俺が今やっているのは探検ではない。
なぜならここには、間違いなく人がいた形跡があるからだ。
およそ100年前に世界が崩壊した、と言われている。でも俺が産まれたときには既にこうだったから別にどうでもいい。
崩壊とやらの原因はいろいろ聞いてきた。天変地異だとか、ナニかが甦ったからだとか、大戦

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空想お散歩紀行 血の一滴、骨の一片、魂の一粒、あなたの気持ちが誰かを救う

空想お散歩紀行 血の一滴、骨の一片、魂の一粒、あなたの気持ちが誰かを救う

長く旅をしているといろいろな景色も見ることができるし、いろいろな出会いもある。
「えーと、あなたの協力で多くの命が救われます、か」
俺が今いるのはクシキという街で、聞いた話では医療が昔から有名な街だとのこと。
「確かにそこら中病院だらけだな」
ほんの少し歩けば、薬局や個人経営と思われる診療所がいくつもある。
ただ医療で有名だけあって、人間相手にとどまらず、多種族に対応しているのは素直にすごいと思う

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