空想お散歩紀行 潜入工作員の悩み
皆さん、天使ってご存知ですか?
そう、背中に羽があって、イメージカラーは白。常に明るいところで幸せに暮らしている、そんな想像をしているかもしれません。
が、現実は案外厳しいのです。天使って思った以上に階級社会です。九つも階級あるし、そして私はその一番下のただの天使です。
そんな私が今、何をしているかと言うと・・・
「ありがとうございましたー!」
・・・地獄にいます。
いや、比喩とかじゃなくてですね。実際に地獄にいるのです。正確には地獄の第4階層のカフェでウェイトレスのアルバイト中です。
私たち天使の仕事はいくつもありますが、私に与えられた仕事は、スパイ。
最近地獄に不穏な動きがあるらしく、何か上位悪魔たちが良からぬことを計画しているかもしれない。
と、うちの上司たちが不信に思い、地獄の情報収集のために私が選ばれたのです。
私はとりあえず堕天した元天使ということで地獄に入り込み、現地に溶け込みつつ情報を探ることになりました。
しかし思ったように情報収集は上手くいかず、元々上からの活動資金もそれほど多くないことから、こうしてアルバイトをするはめになっているのです。
そして、私にはもう一つ悩みがあります。
それは、ここでの暮らしが少し気に入ってきていることです。
そりゃ、来てくれるお客さんは皆悪魔系ですからいろいろと面倒なこともあります。
でも、皆さん自分に正直で自由に生きてるって感じですごいと思っています。
それについこの間、お店の店長や同じアルバイト仲間から、堕天1周年記念ってことでプレゼントもらっちゃったし。
いい人たちばかりなんです。これが。
ああ、もう、ほんとに堕天しちゃおっかなあ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?