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カレーが生み出す街と人との相互作用

カレーが生み出す街と人との相互作用

『つながるカレー コミュニケーションを「味わう」場所をつくる』
加藤文俊・木村健世・木村亜維子 著 読了

加藤先生の〝カリーキャラバン〟に二度お邪魔して(前回は迂闊にも告知を見逃してしまった)、この活動のルーツが知りたくなった。そこで『つながるカレー』を読んだ。墨東大学での活動が起点となって生まれていった街中でカレーをつくり、無償で振る舞うというプロジェクト。

やがてその手法を使って、街に出て

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〝めんどくさい〟が、おもしろい。

〝めんどくさい〟が、おもしろい。

ずいぶんと前の話になるが、巷で話題の?、気なるカフェに行ってきた。その名も「めんどくさいカフェ」。なにがめんどくさいかというと、自分が飲むコーヒーのために、焙煎からドリップまで、すべてを自分自身で行わなければならないことだ。「ブレンド!」と注文してスポーツ新聞を読んでいればコーヒーが出てくる喫茶店とは違うのだ。しかも無料ではない。
その日は、運動を控えろと繰り返し自治体からプッシュ通知がくる猛暑日

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また書いて食べた。カリーキャラバン

また書いて食べた。カリーキャラバン

また加藤文俊先生の「カリーキャラバン」にお邪魔した。
カレーを食べるためには、前回同様、一五〇文字の作文をその場で書かなければならない。

〝ならない〟と書いたが、実はこの書くという部分を私はけっこう楽しんでいる。なるべく一五〇文字ぴったりに書く。上手くハマると気持ちが良い。

そして今回、ちょっとした理由があって二枚書いた。

それから先生がまとめていた「わたしとカレー」の一号、二号も拝見した。

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その思いが伝わる「私のリサ・ラーソン」展

その思いが伝わる「私のリサ・ラーソン」展

実はリサ・ラーソンをはっきりと意識したことはなかった。目つきの悪い?マイキーを、何かのキャラクターだろうといった思い込みをもって横目で眺めていたくらいだ。
なので、この展覧会は家族に誘われて向かったものだ。
が、展覧会として非常に良かった(この会場は、知り合いの家の目と鼻の先だった)。

入口には彼女の作であろう置物が目印として置かれている。階段を上がっていくと、すかさずスタッフに声をかけられた。

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やっと、つながるカレー

やっと、つながるカレー

これまでなんとなく視野に入っていた「カレーキャラバン」プロジェクト。
慶応SFCの加藤文俊先生が行っている活動だ。
街に出かけていき、そこで食材を手に入れカレーをつくる。
提供は無償。先生はそこで生まれるアクシデンタルな出合いやコミュニケーションに価値を置いている。その「カレーキャラバン」、よくよく見ると、加藤先生のソロ活動では「カリーキャラバン」となっている。「カレーキャラバン」は無期休業で、「

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道草を喰む小さな実践。

道草を喰む小さな実践。

いったいいつ以来だろう。体験型ワークショップに参加してきた。
コロナ禍前、とびラー仲間だったグループで展示するというので、そこに出かけていって、そのとき拝見した別の作家の方のお一人・水野渚さんの「Forage the Poetry:道草を喰う。詩の奏作ワークショップ」というもがそれだ。

どうもよくわからなかったが、ワークショップの開催場所となっているComorisという場にも惹かれて、申し込んだ

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暫く振りの「おく」

暫く振りの「おく」

かなりの頻度で見てきたパフォーマンスアート「おく」。
久しぶりにギャラリーでやるというので、一人でのこのこ西麻布まで出かけた。狙っていたバスを逃し、JRの駅からとぼとぼ歩いたのはご愛嬌である。

「おく」を実践している「Oku Project」は、板倉諄哉、藤中康輝、金森由晃という同郷の三人が二〇一七年から始めたアートユニット。

「おく」は、本当にただ「物を置く」行為を繰り返す実践。向き合う二人

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【文学フリマ東京38】出店します

【文学フリマ東京38】出店します

文学フリマ東京38に出店します。
ここ三度ほど、文学フリマ東京に足を運び
その面白さにはまってしまったので、
自分でも出てみたくなり
とびラー仲間の方をお誘いして
「往復書簡」を引っさげて(鋭意制作中)
出てみることにしました。

すれ違いながらも「大人の事象」を語り続ける
往復書簡。書名は『野を恐れる』。
装画、装丁は東京藝術大学大学院を修了された
若き作家さんにお願いしました。
(FIXしまし

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映像エスノグラフィーが捉えるもの

映像エスノグラフィーが捉えるもの

 久しぶりに映像エスノグラファーである大橋香奈さんと、大橋さんと同じ慶應義塾大学政策・メディア研究科で学んだジョイス・ラムさんの映像を見に、藤沢アートスペースまで出かけた。大橋さんは、私が何度か書いている〝Home in Tokyo〟のナビゲータを務めた、いわば私の先生のような立場の人だ。ジョイスさんとも〝Home in Tokyo〟で出合っている。
今回は、ジョイスさんの展示がメインで、その特別

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まさかの、3331 Arts Chiyoda閉館

まさかの、3331 Arts Chiyoda閉館

「地域に開かれたアートセンター」を標榜していた3331 Arts Chiyodaが閉館するという。思いもよらぬアナウンスに接して、本当に驚いた。千代田区との契約が満了となるためだというが、なぜ更新されなかったのかはわからない。とにかく3331のこれまでを振り返る最後の大型特別企画展「3331によって、アートは『    』に変化した」が開催されていて、私がそのことに気づいたのは、最終日の二日前だった

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ぐるりと見渡せば、そこは言葉に溢れている。

ぐるりと見渡せば、そこは言葉に溢れている。

【慶應義塾大学 加藤文俊研究室 フィールドワーク展 XVIII ぐるりと】

昨年は、オンライン開催だったが、リアルな場に返ってきた「フィールドワーク展」を、横浜・みなとみらいの造船ドック跡地にあるシェアスペースBUKATSUDOで見てきた。

オンライン開催も数えれば、これで三年連続見たことになる。今回のテーマは「ぐるりと」だ。

加藤文俊先生の言葉を引用する。

私自身、ドキュメンタリー映像を

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「どちらでもない」は、「なにものでもない」わけではない。

「どちらでもない」は、「なにものでもない」わけではない。

【Multicultural Film Making presents 
映画「ニュー・トーキョー・ツアー」1DAY 上映会】

東京プロジェクトスタディで、いっしょに映像エスノグラフィーを学んだ
鄭禹晨(テイ・ウシン)さんが、いつの間にか、TARLの運営側に回って
「アセンブル1|Multicultural Film Making ルーツが異なる他者と映画をつくる」で、監督を務めていた。

その

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「二つの心臓の大きな川」

「二つの心臓の大きな川」

【片岡純也+岩竹理恵 個展関連イベント 
「クロストーク:鷲田めるろ×片岡純也+岩竹理恵」】
3331 ART FAIR 2018でレコメンドアーティストに選出された
片岡純也さんと岩竹理恵さんのご夫婦ユニットの個展
「二つの心臓の大きな川」のオープン記念トークイベントに行ってきた。

一見、二人展のようだが、二人は「片岡純也+岩竹理恵」という
1ユニットだとして個展扱いである。
そこには少々おも

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回って回って回るICONたち。

回って回って回るICONたち。

【ICON展】@MASATAKA CONTEMPORARY
東麻奈美さんの作品

2013年に女子美術大学大学院絵画研究所領域修士課程を修了した
東麻奈美さんの回転する美少女フィギュアの油彩画。

美少女フィギュアたちは、カンバスの中で回転し続けている。
それは、永遠性(ループ)・次元・時間の流れを表しているという。
物理的回転や基礎的な概念としての数学的回転、
そして輪廻転生といった宗教的な意

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