Nana Tabara

ワインが出会わせてくれたこと。 フリーの編集、ライター、クリエイティブディレクター。 …

Nana Tabara

ワインが出会わせてくれたこと。 フリーの編集、ライター、クリエイティブディレクター。 JSA wine expert、CPA cheese professional。

最近の記事

煌めき。Jean-Claude RAMONET Corton Charlemagne 2021

もう師走の早さだよね、なんて会話が交わされる11月。 今年の2月頃から週1で必ず更新していたこのnoteも、 引っ越しや拠点オフィスの変更などなどで、 ここ数週間飲む時間やnoteを更新する余裕がまったくなく。 先週久しぶりにワインをいただく機会が2日連続であり、 両日とも本当に素晴らしいワインに出会えて贅沢なひとときでした。感謝・・・。 そこで出会った1本が、こちらのラモネのコルトン・シャルルマーニュ。 大好きなラモネ。コルトン・シャルルマーニュはかなり珍しく、 対面で

    • 涅槃寂静。Tache-Romanee 1929 by Marc Chevillot

      1、2世紀にフランスでぶどう栽培が始まり、8、9世紀からワイン生産が発展し、果てしない歴史を背景にありながらにしてこの言葉を言っていいのかは分からないけれど、1929年のTache-Romanee (コントリジェベレール所有)は、まだ魂が宿る前のワインでした。 19世紀後半から20世紀初めにかけては、ラ・ターシュ・ロマネ、ロマネ・ラ・ターシュなど、いろいろなラベルを冠していたこの土地。 1931年にドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティが区画を買い取り、1932年にレ・ゴーデ

      • 敵わない。Théo Dancer Alpestre Gringet 2021

        今年の3月くらいから「今年もう終わるわ」なんて言っていましたが、いよいよ本当に今年が終わってしまいそう。1日が、1週間が、なんて早さなの。年末に向けて移動も多くなりそうな中、先週は京都のエフェメールが秋の営業を開始するという、ときめく連絡がきたので、広島出張から途中下車。今月も京都に降り立つことができました。 告知直後だったから、この日はなんとエフェメールを独り占め。いやいや、そんな贅沢なことしていいんですか、、カジュアルラインでお願いしていたから超恐縮でしたが、思う存分野

        • 愛おしい時間。Jacques Frederic Mugnier Chambolle Musigny 1er Cru Les Amoureuses 1997

          ミュニエのアムルーズ1997。若かりし頃の香りも残っている熟成。はやりミュニエらしいピュアさをベースに、甘やかな果実の時間が流れている。でも達観しているのがやはりグランヴァンの佇まい。 私と向き合っている誰か。ああこれは願望のミュニエアムルーズだ。過去の記憶からの願望。 ずっと昔、本当に好きだった人から「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」を観てほしいと言われたことがありました。誰もが知っているタイムトラベル物の名作。あの日に戻れるなら、、というメッセージなのは明白

        煌めき。Jean-Claude RAMONET Corton Charlemagne 2021

          紳士に抱かれたい。Alain Robert Le Mesnil Blanc de Blancs 1989

          空気の冷たさを感じてくると、丸みと厚みのある白ワインを欲してくるし、熟成ブルゴーニュが飲みたくなるし(これはいつも)、熟成シャンパーニュを求めたくなるもので。 そんなタイミングで、今年もアラン・ロベールと出会うことができました。嬉しい。ありがとう。大好き。 アラン・ロベールって本当にかっこいいよね。浮き上がってくるのは、いつも男性。エレガンスにあふれた、紳士、あるいは騎士。ル メニルの場合、爆発的な旨味と威厳がプラスされる。 甘美な厚みとボリューム。他のシャンパーニュと比

          紳士に抱かれたい。Alain Robert Le Mesnil Blanc de Blancs 1989

          走馬灯。F.X.Picheler Riesling Uuendlich Smaragd 2017

          今日は、オーストリアの最上級ワインはやべぇって話をします。 ワインって、香って、飲んで、味わって、余韻を感じるまで、なだらかな物語の流れがあると思います。香りをとったとき、飲んだとき、「このワインはこんな感じだな」となんとなくの全体感が見える。すーっと曲線が描ける。 でも、そうじゃない物語を見せてくれるワインもある。それが、このピヒラー、リースリング ウンエンドリッヒ スマラクト2017でした。 オーストリアのリースリング100%です。 このピヒラーを飲むと、まばたきを

          走馬灯。F.X.Picheler Riesling Uuendlich Smaragd 2017

          積み重ね。Bollinger R.D.2004

          もう何も進まないんじゃないかと思っていた。けれど、動き出す予感を感じる秋分。 2024年の中で楽しかった日はいくつもりますが、その中で、お願いもう1回この日を味わいたい、そんな日もあります。 もう会えないようなグランヴァンと出会った日、素晴らしいワインに触れて泣きそうになった日、ただただ楽しかった日。 ああ、もうこんなふうに今年を振り返り始める季節なんですね。 その中の一つに、このボランジェ R.D.2004を味わった日があります。 私はボランジェの艷やかさが大好き。艶

          積み重ね。Bollinger R.D.2004

          ワインにも、風の時代。Les Horées Coteaux Bourguignons 2022

          連日飲める人が羨ましい。今週の京都で私の体力と肝臓は完全に終わっており、東京に戻る新幹線の中でこれを書いているわけなのですが。てことで今日は短めに。 先月の京都のお話。桜と紅葉の季節だけオープンする「ephemere」が夏にも楽しめるということで伺いました。 パリやムルソーに拠点を構えるオーナー、野村さんが出してくださるワインは、日本だとこの場所でしか味わえないようなものも。なによりこの空間、というよりこの舞台がまた素敵で、背筋が伸びます。ワインだけに感覚を集中する5,6

          ワインにも、風の時代。Les Horées Coteaux Bourguignons 2022

          旅の途中の。Domaine Ponsot Chambertin Clos de Bèze 2010

          今週の光る君へも良きでしたね。若紫の誕生回。「幼い日から、恋しいあの人のそばで、ずっとずっと一緒に生きていられたら…一体どんな人生だっただろう」もしまひろがそんな人生を歩めたのなら、この世に源氏物語は誕生していないんですよねきっと。想像の端を発する一つとして、昔から“たられば”があったんだなぁなんて思って見ていました。足りないくらいが、いいんですよね。 深夜に連絡が来て、ひゅーっと出かけちゃうことがまだまだある私。まだまだフットワークが軽い人間だなと感じつつも、疲れが残りま

          旅の途中の。Domaine Ponsot Chambertin Clos de Bèze 2010

          偶像化されたDRC。Jacques Frédéric Mugnier Musigny 2008

          雨のような湿気を浴び続ける中にも、レストランでの食材やメニュー、そして夜に感じる風から、やはり一歩ずつ秋のニュアンスを感じる今日この頃。 いろんな面で夏より冬派の私だけれど、こうして夏が終わっていくのは、どうして毎年なんだかんだ切ないんですかね。 先週、今年最後であろう鮎をいただいた日に、また大好きなミュニエと巡り会えました。 しかも、ミュジニー。そこで、なんとも不思議な体験をしたんです。 2008。スタートはミュニエっぽいやや抑制的な雰囲気、でも開いていて、果実味はイメ

          偶像化されたDRC。Jacques Frédéric Mugnier Musigny 2008

          結局すべてはタイミング。Denis Mortet Gevrey Chambertin Mes Cinq Terroirs 2004.

          今日は本当は、夏のephemereで出会ったシンデレラワイン達のことを書こうと思っていましたが、夏バテのため書きやすいブルゴーニュに逃げちゃいます。 結局すべてはタイミング。これはたびたび感じていることで、インスタでも数年に1回この言葉を発していると思います。 しかしながら、タイミングのときに全力に乗りに行く勇気や感覚は絶対必要で、それも込みでやっぱりすべてはタイミングだと私は思うんです。 昨日藤井風のライブに行ってきたんですけど、 「まぁどうせなんとかなります。 どうせ

          結局すべてはタイミング。Denis Mortet Gevrey Chambertin Mes Cinq Terroirs 2004.

          ピュアに年齢は関係ないもんね。Jacques Frederic Mugnier Chambolle Musigny Les Amoureuses 2019

          この1週間は京都と札幌、石狩で過ごしているのですが、石狩は風が本当に気持ちよくて、心地よくて。昔の夏の気候に触れた感じ。普段は13インチのパソコンの世界ばかり見ていますが、視界いっぱいに広々とした大地、緑、空という自然の風景も定期的には見ておかないとですね。 今日は先週の続きをさらりと。 グロフィエ、アムルーズを垂直で3本飲んだ際、同時に2つの造り手のアムルーズを平行で味わうことができまして。 グロフィエという同じ造り手でも、ヴィンテージが違えばいろいろな恋人の形を見せて

          ピュアに年齢は関係ないもんね。Jacques Frederic Mugnier Chambolle Musigny Les Amoureuses 2019

          いいんだ。Robert Groffier Chambolle Musigny Les Amoureuses

          アムルーズ。 本当になかなか出会えない畑で、片手で数えられるくらいしか飲んだことのないワイン。格の違いは確実に感じるけれど、果実味の面でちょっと強いな、とか、美味しいけれどまだ隠れてるな、とか、本質に触れたことはありませんでした。 そんなアムルーズを、一夜にして5本向き合う機会が。 もともと持っていた印象としては、強くて「恋する乙女たち」「恋人たち」という名前とのイメージとは全然結びつかなかったけれど、この5本は、香って、飲んで、感じるたびに、それぞれの恋人たち、乙女たちの

          いいんだ。Robert Groffier Chambolle Musigny Les Amoureuses

          Time will tell. Jacques Selosse Initial deg.12

          今日の内容はプロからすると異論もあるかもですが、まぁ独り言なので良いでしょう。 シャンパーニュの良いところの一つに、造り手が同じであれば、熟成を経たとしても「あ、これはドン・ペリニヨンの味わい」とか「クリュッグらしい」とか、いつ飲んでも同じキャラクターを感じやすいところがあると思います。 となるとボルドーも同じなんですけど、今日はシャンパーニュに集中します。 とある曲を聴くと、そのときの思い出が蘇ってしまうから、なかなか聴けない曲ってありますよね。大好きなのに余計に感情が

          Time will tell. Jacques Selosse Initial deg.12

          流鏑馬〜願えば叶う。願えば〜Chateau Rayas Chateauneuf du Pape 2007

          本当に1年があっという間で、もう7月も終わりを迎えようとしていて。 そんな中で今年も1つ年を重ねる日がやってきまして。 ワインの高騰によって、昔なんとも無しに飲んでいたワインがなかなか飲みにくくなってきた今。ローヌについても大好きな造り手なのになかなか目の前に現れてくれなくなった、出会えなくなったものがあります。 それを誕生日に最強のわがままを発揮してリクエストしまして。 2021年の春ごろぶりにシャトー・ラヤスを感じることができました。ピニャンなんて(なんてって言っち

          流鏑馬〜願えば叶う。願えば〜Chateau Rayas Chateauneuf du Pape 2007

          見え隠れするオスみ。Bruno DesaunayBissey Combe d'Orveaux 2001

          今年は浴衣を新調したこともあって、例年以上に楽しみにしていた祇園祭。 宵山は気候が暑すぎず、人も思ったより多くなかったので、烏丸から祇園まで歩いていくのも楽しく、空の下、賑やかな中で飲むビールが本当に美味しかった。 とはいえ暑いのは暑いので、ゴールの祇園の前に、新京極を少し入ったところへ。大好きな人に会いに。 私は桃、友人はすもものカクテルを。 果実のすっきりとした酸は暑気払いの効果たっぷり。 東京ではすっかりカクテルやウイスキーを飲まなくなってしまったけれど、京都はず

          見え隠れするオスみ。Bruno DesaunayBissey Combe d'Orveaux 2001