敵わない。Théo Dancer Alpestre Gringet 2021
今年の3月くらいから「今年もう終わるわ」なんて言っていましたが、いよいよ本当に今年が終わってしまいそう。1日が、1週間が、なんて早さなの。年末に向けて移動も多くなりそうな中、先週は京都のエフェメールが秋の営業を開始するという、ときめく連絡がきたので、広島出張から途中下車。今月も京都に降り立つことができました。
告知直後だったから、この日はなんとエフェメールを独り占め。いやいや、そんな贅沢なことしていいんですか、、カジュアルラインでお願いしていたから超恐縮でしたが、思う存分野村さんと会話をし、かなり素敵に酔っ払いました笑。
テオダンセール、ロックブレイアのシャルドネは飲んだことがありますが、その日の主役は別のワインだったこと、グラスで飲んだことであまり記憶になく、、最近1本だけ買ったタイミングで、エフェメールでも出会う機会をいただけました。
天才、と造り手の説明にも記載される彼ですが、この1本から、間違いなく天才だと感じました…。
エチケットに記載の通り、アルプスの固有品種グランジェから作られたワイン。ドメーヌ・ベリュアールが作っていた畑のものを、色々あり今年は彼が作っているという次第です。
前提、素晴らしい状態であること、野村さんが出してくださった提供温度がばっちりハマっていたことで、このワインはきっと彼が表現したいワインそのままを感じられたのだと思います。
香り、味わいのファーストインプレッションは、ナチュラルとクラシックの絶妙なラインを攻めている立ち位置。この良い意味での危うさは、ちゃんと想定されているもので、このギリギリのラインの表現がなんと上手なこと。
まず、ブラインドだったら確実にブルゴーニュシャルドネの新進気鋭系の造り手かと勘違いしてしまいそうです。
しばらく経つと、グランヴァンかと思うほどの佇まい。25歳の表現力とは思えない液体。映画『ファントム・スレッド』のような美の世界観。天才仕立て屋レイノルズは年齢を重ねているけれど、あのくらいの完璧さを感じてしまいます。
魂を感じたのは、その畑由来でしょう。ドミニク・ベリュアールは2021年に自ら命を経ってしまったそうです。
ブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュで涙腺が緩むことは年に1,2回位あるけれど、今日書いた理由から、このワインを飲んだとき、ぐっと心にくるものがありました。家にあるテオのグルナッシュも、いつ飲もうかな。
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