涼やかな夕暮れとピーナッツ

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インターネットショッピングをやめたい私の疑問

秋になった。やっと秋になった。 風が涼しくなって、長袖で過ごすことも多くなってきた。今年の暑さをもう忘れて、寒いなーと思って朝起きる。今年の夏も、あんなに暑かったはずだけど、もうあの暑さを忘れている。来年の夏まで寒いな、暖かくなったな、とつぶやき、また夏になったら暑すぎ!と騒ぐんだろう。 秋服が欲しくなって、ネットで検索する。田舎に住んでいるので、いろんなブランドの目新しい服は直に見れない。 ワンピースを検索する。何種類ものワンピースが出てくる。前から順番に良さそうなも

    • 他人の結婚を喜べるとき、喜べないとき

       友人が結婚した。  その報告を聞いたとき、意外と嬉しかった。  今まで、友人の昇進や結婚など、おめでたい報告を聞くたびに、おめでとう、といいながら、心は動揺し、あせり、自分の立っている場所を確かめるのに必死になっていた。  私はちいさな人間だな、と自覚する。  ことさら、自分に恋人がいないときなどに、他人の結婚など喜べるだろうか。結婚の意味もよくわかっていないし、その大変さやそこに関わる苦労や覚悟も経験していないのだから、尚更、結婚しました!といわれてもピンとこなかった

      • 今を生きるということ

         今を生きるって、大人になるにつれ、すごく気をつかわないとできないことになってきた。手間がかかるのだ。  私は元来、頭の中が忙しく、いつも何か考えている。何か考えているというと、聞こえがいいが、考えていることは大したことではなく、昨日の会話のことだったり、ずいぶん昔の旅行先で起きたトラブルの思い出だったり、どこかで聞いた宇宙の話だったり。  それらが、風呂の中、トイレの中、皿洗い中、ストレッチ中、とにかく四六時中、頭の中で忙しく、ぐるぐる考えてしまうのだ。    ひどいとき

        • ものを書くときの下心

           ものを書くということは、不思議な面をもっている。  私は頭の中を整理するためや日々のことを記録するため、また、どうしようもない怒りや不安から抜けだすために、しばしばものを書く。  過去に自分が書いたものを見返してみると、読めないほど崩れた字で書いてあったり、読むに堪えない内容だったりして、自分の醜悪な面をまざまざと見せつけられ、自己嫌悪におちいるなんてこともある。  最近は、散歩していると、金木犀の香りがする、気持ちのよい季節になってきた。この香りとともにかつての小さ

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        • オーストラリアとコーヒーと夜遊び
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          もったいない精神にさいなまれる

          昨日から頭を離れなくて、もう、書いてしまえとパソコンにむかった。 先週から、春の大掃除をして、1週間かけて押し入れに詰まっていた思い出のノートやら、日記やらをほとんど捨てた。 最初は、捨てるものなんてないじゃないの、と何も捨てられなかったが、母の「こんなものとっておいてどうするの、捨て、捨て!」という言葉がきっかけとなり、せきをきったかのように、あれよあれよと押し入れからゴミ袋へとものが、書類が流れていった。 だんだんと気分がのってきて、これもすてちゃお、なんでこんなも

          もったいない精神にさいなまれる

          単身海外オーストラリア一年間のステイ

          ★この記事は、数年前の体験を基にした小説です。  街の中央からヤラリバーにかかるプリンセス橋をトラムにのって渡る。  一か月前は夏のまっすぐな日差しの中、日傘をさして、歩いていた。メルボルンには誰も日傘をさしている人なんかいなくて、それに、人に当たるといけないから、すぐにささなくなった。  わたしは、ヴィクトリア美術館にむかっている。夕方からの一時間は入場料が無料になるらしく、貧乏留学生にはありがたい。しかも、今日は、バーも開かれて、生演奏も行われるみたいだ。留学生仲間

          単身海外オーストラリア一年間のステイ

          単身海外オーストラリアステイ―メルボルンのナイトクラブ 2―

            「でもさ、いい男なんていなかったよ。これで正解、正解。」  そういって、ともこは、KFCのチキンをほうばった。 「そうだ、そうだ。」  私も、ポテトを3本口に詰め込みながら同意する。 そういったのは、やっぱり、男の子をゲットできなかった、くやしさが残っているから。我ながら往生際が悪い。  クラブで踊り疲れたあと、お腹がすいた私たちは、小腹をみたそうと、KFCに向かったのだ。チキンとポテト、体に悪そうだけど、こういうときはお手軽でやっぱりおいしく感じる。 「こ

          単身海外オーストラリアステイ―メルボルンのナイトクラブ 2―

          単身海外一年間のステイ―メルボルンのナイトクラブ―

          ―――こんなことってあるーー?  私は、今日メルボルンのナイトクラブにいる。ナイトクラブといえば、若き男女が欲望をたぎらせ、一夜の相手を求めに繰り出す場所。  女たちは日々のうっ憤をかき集め、それを昇華させて顔にメイクを施し、タイトなドレスをきて変身をする。一夜の快楽、それは甘くて副反応も伴う薬でもあり毒でもある。 ―――だれよー!海外のクラブは音楽を楽しむ場なんていったのは!  わたしは、きらびやかな欲望の渦の中、ジーンズとTシャツとスニーカーという、なんともお粗末

          単身海外一年間のステイ―メルボルンのナイトクラブ―

          単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び(3)

           ビートルズのLet it beが流れている。  私は歌詞の空欄を埋めていく。There will be an answer. Let it be.  語学学校のクラスは数か国の出身の学生で編成されていた。韓国、ベトナム、ブラジル、コロンビア、日本、タイ。異なる文化。クラスにはだいぶなれてきた。おんなじ興味を持っている人と出会える場所は貴重だ。クラスメイトはみんないい子で、裕福な家の出身の子ばかりだった。海外の語学学校で学ぶなんて、お金持ちしかできないのだ。バイトでお金貯

          単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び(3)

          単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び(2)

           信じられない。信じられないほど、思い描いていたままの海外生活だ。  きちんとスプリングのきいたマットレスがついたベッドが2つ、両壁に沿って配置してある。ベッドの頭のほうに窓があって、そこからはきらきらとしたメルボルン市内の夜景が遠くに見える。ときおり、ふいてくる風は、日本では感じたことのないさらさらとしたもので、私の髪の毛をふわりと浮かす。 ――――気持ちいいなあ。  夜の風を感じて、とことん自由な気分になるなんて、初めての経験だ。明日は知らない町を探検するんだ、とい

          単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び(2)

          初単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び。

           はっと、目が覚めたときには、もう日が暮れようとしていた。  スーツケースから取り出したままに服や化粧水、タオルがベッドの上にちらかっている。オレンジ色の夕日がベッドをけだるく照らしている。 ―――ああ、眠っていたのかあ。、、、サイフっ!!  私はあわてて、パスポートとサイフをスーツケースの奥のほうから引っ張り出し、サイフの中身を確認した。、、、なにも変わっていない。日本の銀行で換金したピンとしたオーストリアドルもキチンとおさまっている。 ―――換金の手数料高かったな

          初単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び。