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もったいない精神にさいなまれる

昨日から頭を離れなくて、もう、書いてしまえとパソコンにむかった。

先週から、春の大掃除をして、1週間かけて押し入れに詰まっていた思い出のノートやら、日記やらをほとんど捨てた。

最初は、捨てるものなんてないじゃないの、と何も捨てられなかったが、母の「こんなものとっておいてどうするの、捨て、捨て!」という言葉がきっかけとなり、せきをきったかのように、あれよあれよと押し入れからゴミ袋へとものが、書類が流れていった。

だんだんと気分がのってきて、これもすてちゃお、なんでこんなものとってたんだ、と思い始めた。

日記、手紙、シール、文房具、キーホルダー、勉強したノートや、過去の給与明細、履歴書なんかもでてきた。旅行の時に集めたパンフレットやチケット、つかないペンもでてきた。

そして、なぜかとっておいたのは、初めてもったときからこれまでの携帯たち。ずらっとならべてみたら、携帯の歴史館のようになった。

大学生のときに買った雑誌もでてきた。40年くらいたってみたら、面白いかなあ、と思ってとっておいたもの。若い宮崎あおいちゃんが、表紙をかざってやっぱりかわいいなあ、と思ったり。タイトルが誰からも愛されるコーデ、になっていたり。ページをめくると、「ださっ。」といってしまう、コーディネート。こういうのを、大学生のときは張り切ってきていた。

他人からみたら、ゴミなんだろうけど、当人にとってはなんだかんだ思い入れがあるからたちが悪い。

でも、いっきにすてたら、当たり前なんだけど、すっきりこんこん。

すっかり気分が軽くなって、なんだかもっと身軽になりたくなった。

服も片付けよう、そうおもって、もう着ないだろうショートパンツ(海外旅行のときにきていたものたち)、ダウンコート(でてきた写真をみて、8年前もきていて驚いた)、ちっちゃいキャミソール(これも海外のビーチ用にきていた)、フェィクパールのネックレス(先輩の結婚式につけていっていたなあ)そんなものたちを思い出を振り返りながらぼんぼんビニール袋にいれていった。

よーし、すてるぞ、すてるぞ!風水でも古いものより新しいもので気をとりこむとかいってたし。昔のものにとらわれてちゃだめよね。

次の日リサイクルショップに4袋、服とぬいぐるみと雑貨とアクセサリーをもっていった。

すこしして、呼び出しがあり、「387円です。」とのこと。

そうよね、そんなものよ。重さで試算するっていっていたし、前もこんな感じだった。まあいいだろう。

「お取引の後は、キャンセルはできませんが、よろしいでしょうか?」と聞いてくれる、スタッフさん。なんか、本当に大丈夫ですか?というような表情。

おそらく、値段がひくくて怒るひともいるらしいから、念押ししてるのね。大丈夫でーす。私はすっきりしたいの。

そうおもって、387円をにぎりしめて、引き取ってもらえなかったかわいそうな人形とともに店をあとにした。

その夜、ふと思い出してしまった。

メルカリで売ればよかった。

ああ、最近、メルカリデビューしたばかりで、商品が売れたら引き取ってくれる人の反応がわかったりして、楽しくなっていたところだった。

すっかり、忘れていた。いや、メルカリで売ろうとおもったんだけど、梱包したり、アプリをチェックするのが面倒くさく思えて、一枚500円くらいの利益なら、やらなくてもいいや、とその考えを押し戻していたんだった。

でも!やはり!387円よりましだった。この怠け者め!ばかもの!

ダウンコートなんてちゃんと手入れしていたから、売れたかも。ショートパンツもかわいかったし、そこそこのブランドだったから、売れたかも。ジャケットもいい感じのがあったし、海外で買ったやつだったから、売れたかも。

頭の中で捕らぬ狸の皮算用が始まる。いや、この場合捨てた狸の皮算用か?

そんなことをぐるぐるぐるぐるかんがえて、頭のなかがぐるぐるするんやー、という渋沢栄一状態になった。(渋沢栄一はもっとレベル高いことでぐるぐるしてるんだけど、そこは気にしない)

いやいや、あのショートパンツはフランスにいったときに履いていて、その思い出もあったなあ、ゴミみたいに扱わず、だれかまだ気に入ってはいてくれるひとのもとに直接とどけたかった。いやいやいや、ショートパンツなんて、新品じゃないと買ってくれる人なんていないし、買ってくれる人がみつかるまで、また物置に置いておくなんて気分が晴れないじゃない。あの、ダウンコートもずっと着ていたとはいえ、気に入ってくれるひとが、、、いやいや、、、。

はい、このようなことを、一枚一枚思い返してはため息をついて、一日すぎてしまった。

なんてことだろうか。気分がすっきり、過去とおさらば、するはずのお片付けが、普段より過去を思い返して、もう手元にないものにさえ執着することとなってしまった。

自分のけちくささと、執着心の強さ、もったいない精神が根本にしみついていることに、ほとほと情けなくなった。

せめて、あのリサイクルショップに立ち寄った人が私の思い出の品をみつけて、笑顔でつかってくれるといいな、と思う。

と、まだ、ぐちぐちいうのであった。

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