初単身海外一年間のステイ。オーストラリアとコーヒーと夜遊び。
はっと、目が覚めたときには、もう日が暮れようとしていた。
スーツケースから取り出したままに服や化粧水、タオルがベッドの上にちらかっている。オレンジ色の夕日がベッドをけだるく照らしている。
―――ああ、眠っていたのかあ。、、、サイフっ!!
私はあわてて、パスポートとサイフをスーツケースの奥のほうから引っ張り出し、サイフの中身を確認した。、、、なにも変わっていない。日本の銀行で換金したピンとしたオーストリアドルもキチンとおさまっている。
―――換金の手数料高かったなあ。って今6時かあ。3時間くらい眠ってたんだ。
私は、今、オーストラリアのメルボルンにいる。メルボルンはオーストラリアの南方に位置する都市で、ワインとコーヒーが有名。そんな文句を聞いただけで、おしゃれだわ、と滞在先に決めた。メルボルン市内にはヤラ川(Yarra River)が中央に流れていて、川の南側、South Melbourne のアパートメントの一室を日本からシェアハウス契約をしてきた。
―――とりあえず、みず。
めちゃくちゃのどが渇いていた。今は1月。北半球の日本は真冬だけど、南半球のオーストラリアは真夏。しかも、すごく乾燥している。なんか肌もかぴかぴする。まあ、長時間のフライトの後そのまま寝たら顔なんてぐしゃぐしゃのぱんぱんになる。
私は部屋をでてトイレについでにいき、顔をあらった。よかった、トイレ、あんまり汚くない。海外のトイレって汚いって聞いていたから、ちょっとほっとする。住んでいる人がきれい好きなのかな。そういえば、掃除のおばさんが、週に一回来てくれるっていってたっけ。
キッチンにいく。
―――そうだ、水って飲めるんだっけ?メルボルン。
どうだっけー。と思ったけど、水買ってない。しかたない。もともとお腹強いほうだし。大丈夫よ、オーストラリアだし、水があわなくて下痢するくらいなら平気。
戸棚の中にあるコップを、つかっていいのかな、と思いながら洗剤で洗って(洗剤とスポンジはあった)水道の水をぐびぐびぐびっと飲んだ。
生き返る。みず、だいじ。
もともと、たくさん水を飲むほうだし、大学時代、美容に励んでいたときに、モデルや女優は一日に水を2リットル以上飲むと、どこの雑誌でもかいてあった。今みたいにネットの中の情報も質が良いものがあるわけではなかった時代。高校と大学では雑誌を追いかけていた。美だけが正義だと思っていた。若くてばかで一生懸命だった私。
「Hi.」
きたー。なんかでかい男の人が玄関から入ってきた。身長180センチくらいの白人、目はグリーンと茶色、髪の毛はブラウンがかったブロンド。見たまんまのTHE・外人。
「Hi. How are you? Nice to meet you.」
とりあえず、お決まりの定形文を口にする。相手は笑って、自分はここのシェアメイトでジョンといって、学校帰りにスケボーいって帰ってきたといった。私は、なんか、何言っていいかわからなかったから、自分の名前いって、無意味ににこにこしながら、また、Nice to meet you.といった。
ジョンは、あと二人女の子のシェアメイトがいるから、すぐに会うと思うよ。といって、じゃあ、またあとで。と部屋に向かった。
―――会話しちゃったー!
初めての見知らぬ人との会話。そりゃいままで、店員さんとか、ホテルのフロントとか、英語で会話しなけりゃいけない場面は旅行であったけど。これが私の初めての自然にであった、身近な人との英会話になった。
私は嬉しくなって、メルボルンサイコー!と心の中で叫んだ。
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