インターネットショッピングをやめたい私の疑問
秋になった。やっと秋になった。
風が涼しくなって、長袖で過ごすことも多くなってきた。今年の暑さをもう忘れて、寒いなーと思って朝起きる。今年の夏も、あんなに暑かったはずだけど、もうあの暑さを忘れている。来年の夏まで寒いな、暖かくなったな、とつぶやき、また夏になったら暑すぎ!と騒ぐんだろう。
秋服が欲しくなって、ネットで検索する。田舎に住んでいるので、いろんなブランドの目新しい服は直に見れない。
ワンピースを検索する。何種類ものワンピースが出てくる。前から順番に良さそうなものをみていく。いいかも、と思ったものをお気に入りに入れていく。
ここまで順調。
見ていくうちに、おんなじようなデザインで、安いものがでてくる。あれ、こっちのほうが安い、とお気に入りに入れる。
だんだん値段が気になり始める。高価なブランドのものがダサく感じ始める。安いものでよりよい見栄えのものを探す作業になってくる。
これと、あれを比べてどっちがお得なのか、という選択になってくる。
こうなると、先行き怪しい。だんだんと目が疲れて、何がいいのかわからなくなってくる。疲れ果てて、何も買わずに寝る。
これがいつもの私のネットショッピングのパターン。
もとがせこくて、ケチなので、洋服選びもいつの間にか洗剤安売りセールを探すような作業に変わってしまうのだ。
どうしようもない。
私のようなものは、ネットショッピングをすると、いつの間にか、そこそこの値段で、見た目がほどほどによいものを選んでしまう。よいものも、ネットだとそうよくも見えないし、悪いものも、ネットだとそう悪くも見えない。そこにまんまと引っかかって、ほどほどのものしか選べなくなっている。
そういうものはほとんど、着心地が良くなくて年に数回しか着なかったり、いざ着ていこうと思っても、なんか違うので着替え直したりする。
心が動くような素敵な服や、心地よくて日々着られる服を探し出したい。長く着られて、毎日を支えてくれる服に出会いたい。
その願いは、私のようなせこい人間にはネットでは叶わないのかもしれない。
ネットショッピングが今まで便利で多様でなかった頃には、街にでて、お店をみるしかなかった。中都市に住んでいたその頃は、もちろん都会にあるようなブランドの服は見る機会さえなかったし、店舗を持たないネットだけの激安メーカーもなかった。なので、モールやデパート、街の小売店に友人と約束して買い物につれだっていっていた。
いろいろと服をみて、試着して、買い物に出た日はヘトヘトになって帰ってきた。買おう、と思うまでに時間がかかるので、やっと見つけた服はこれでもか、というまで着倒した。
今のようにたくさんの服を効率よく探し出せていたわけではなかった。けれど、試着して着心地や自分に合うか確かめて、友人にもチェックしてもらって、という時間が、服の値段に上乗せして思い出となっていて、大切に長く着られていた気がする。一緒に買い物にいった友人にも、この前買ったのだよね、似合うね、と言われて嬉しかった。
今は一人で夜中にポチポチスクリーンの写真だけをみて、いいものを探そうとやっきになっている。服を買うのが楽しくなくなっている。
インターネットショッピングでは、多くの服に短時間で出会えると思っていたけど、どうやら私の方にそれを使いこなせる能力がなさそうだ。
写真では、自分に似合うかわからないし、素材だって、素材表記で想像できない。
人間より技術のほうが圧倒的にうわまっていて、私の脳では処理しきれないみたい。
服を買って、新しい自分を見つける楽しさや嬉しさ、季節を感じたり、新しい服を着ている未来の出来事を想像する機会は、実際に服を手に取らないと味わえないものだった。
そろそろインターネットショッピングを諦める時が来たみたいだ。
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