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#文学
イパネマの娘・エイリアンズ・インザモーニング
もしもこの世の記憶から
音楽が消えてしまったとしても、
心の奥底で眠り姫のように横たわる歌がある。
時空を彷徨うマッチ売りの少女が暖をとるために、
売れ残りのマッチ三本に火を灯す間。
そこでだけ音楽が流れることが許されるとしたら、
あなたの火の中には
ゆらりゆらり
どんな音楽が立ち現れるだろうか。
星の数ほどある音楽のなかで、
これは自分のためのものなのだと
美しく誤解するほどに、
気持ちに寄り
Hey Jude,don’t make it bad.
自分の小さなお財布の中から、
折り畳まれたお札を3枚出した。
それは小学生にはとても高価な買い物で、
後ろめたさでどきどきしていた。
今もその時のことをよく覚えている。
私が初めて自分で買った音楽は、
THE BEATLES の《Hey Jude》の
『レコード』だった。
お小遣いをセコセコと貯めて、
ようやく金額を満たした日。
電車に乗って何駅か先のお店に
私は出向いた。
今日こそ。ついに