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スイレン宗匠の世界

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西洋占星術師で東洋思想研究家・スイレン宗匠が2022年12月から2024年11月までの2年間に渡って書き溜めた59本の記事の詰め合わせです。 単体で買えば全部で2万9千5百円分の…
西洋占星術、ヴェーダンダ哲学、輪廻転生など、豊富な実践経験と客観的データから分かりやすく、かつ科学…
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記事一覧

遠き日の約束 廻り続ける運命の輪

遠き日の約束 廻り続ける運命の輪

「私を探して・・・必ず生まれ変わるから・・きっとこの世界のどこかに・・・探して・・私を見つけて、約束よ、約束よっ!」

これは、小説家・遠藤周作の名著「深い河・ディープリバー」の序盤に出てくる重要なセリフです。

末期がんを患っている女性が、薄れゆく意識の中で最後の力を振り絞り、夫の耳元で「死んだら私を探して」と懇願したのです。

生まれ変わりなど一切信じていない夫は、妻の予想外の言葉に動揺し、そ

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大いなる流れに乗る生き方 全託の祈り

大いなる流れに乗る生き方 全託の祈り

頭の中で強くイメージすればどんな願いも叶う・・・これが自己啓発系やポジティブシンキングで説かれる「教義」の核心部分です。精神世界系の方々の一部もこの教義に賛同していて、「引き寄せの法則」などと言い換えて世界中に拡散されていますね。

でも、この「願いは叶う」という理屈自体が、我々占星術師が主張する「運命の絶対性」と大きく矛盾していることに気がつかれると思います。

心にイメージしただけで自由にでき

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今、この瞬間に幸せになる

今、この瞬間に幸せになる

人は、星の影響力と、自分自身の持つカルマが数学的に一致したその日、その時、その場所に必然として生まれ落ちる

これはインドの大聖者スリ・ユクテスワの言葉ですが、インド占星術の基本となる考え方です。この精密なカルマシステムがあるからこそ、生まれの日時と場所から、その人が先天的に持つ運命を逆算することができるんですね。

多くの人は、自分がその年、その日、その町、その両親のもとに生まれたのを「たまたま

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神の沈黙 人生で一番大切なもの

神の沈黙 人生で一番大切なもの

「隠れキリシタンの里」と言えば、長崎県や熊本県が有名で、世界遺産に登録されている史跡もいくつかありますが、実は私が住んでいる東北の地、宮城県と岩手県の県境付近にも、世間的にはほとんど知られていない「隠れキリシタン殉教の地」が点在しているのです。

現在の地名で言うと、宮城県登米市東和町と岩手県一関市藤沢町にあたりますが、宮城県側では120名、岩手県側では309名の信者が「キリスト教徒だから」という

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愛し合おう あなたの心が痛むほどに

愛し合おう あなたの心が痛むほどに

数日前、近所の独居老人が自宅内において腐乱死体で発見されました。

すぐに警察官や市役所職員、放射能防護服のようなものを着た「特殊清掃員」がやって来て事件現場は一時騒然。真夏の暑い盛りに、何日間も放置されていた遺体がどんな酷い状態だったのかは、市役所職員の「今にも吐きそうな苦悶の表情」を見ればだいたい想像がつきます。

そもそも、ガスマスクと殺虫剤を装備した防護服の人たちが呼ばれた時点で「とんでも

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引きこもりの犯罪率 悪夢から目覚めるために

引きこもりの犯罪率 悪夢から目覚めるために

2023年6月、私が居住する宮城県石巻市で「50歳の息子が、75歳の母親の首を包丁で刺して殺害する」という痛ましい事件が発生しました。現場はウチのすぐ近所です。

この50歳の息子はいわゆる「無職・引きこもり」の状態で、息子の将来を心配した高齢の母親が「精神病院に入院して心の治療を始めてはどうか?」と提案したことが事件の引きがねになったとされています。

母親としては、停滞した生活状況を改善するた

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奇跡の治癒 ガンをも消滅させる力

奇跡の治癒 ガンをも消滅させる力

人間の悩みの中で、もっとも深い苦悩を与えるものは何だと思いますか?

西洋占星術師としての長年の経験から言うとそれは「健康問題」であると断言できます。これは自分自身の健康問題だけではなく、家族や恋人の怪我や病気も含みますよ。

「余命1ヶ月の花嫁」や「世界の中心で愛を叫ぶ」のような「恋人が病気で死んでしまう映画」が大ヒットするのは、それが私たちにとっての「普遍的な苦悩」をテーマにしているものだから

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死刑に至る病 ナチュラル・ボーン・キラー

死刑に至る病 ナチュラル・ボーン・キラー

多くの方が薄々感じていることだと思いますが、最近の凶悪事件には「心神喪失状態の人々」が多くかかわっている気がします。

もちろんその背景には「重度の精神疾患を患う人」や「長期の引きこもり」の人数が物理的に増えていることが原因として挙げられるのですが、この不穏な状況は「心理的な問題を抱えた家族」を持つ人々にも大きな不安を与えているはずです。

ひょっとしたらウチの子も何かやらかすかも・・・ですね。

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結婚と運命 遥かなる愛の物語

結婚と運命 遥かなる愛の物語

数ある人間関係の中で、もっとも複雑で、もっとも扱いが厄介なのが「結婚生活」ではないでしょうか?

結婚生活がうまく行けば「限りない幸福感」が手に入りますが、一歩間違えば「生き地獄」を味わう危険すらある人生最大のギャンブルです。

あるアンケート調査によると「結婚して満足している」と答えた既婚者は全体の僅か4割・・・つまり結婚とは、勝率が5割にすら満たない危険なバクチになるわけです。

もう少し正確

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逆説の占星術史 天の秩序にあらがう人々

逆説の占星術史 天の秩序にあらがう人々

西洋占星術は長らく「人間の運命は最初から最後まで完璧に計画されている」「人間の意思で気軽に変更はできない」と考える宿命論的な学問でした。

もし誕生後に計画の変更が可能だとするならば、それは「全知全能なる神」の意志においてのみですが、その神は「未来を完璧に予測した上で綿密に計画を立てている」はずですから、そもそも変更する理由がありません。
運命の変更を必要とするのは「不測の事態が発生して、当初の計

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天命を生きる 理由なき幸せ

天命を生きる 理由なき幸せ

結婚したい、持ち家が欲しい、健康になりたい、志望校に合格したい、有名になりたい、世間の皆様にホメられて自己承認欲求を満たしたい、オリンピックで金メダルを取りたい・・・人それぞれ抱えている望みは違いますが、本来の究極的な目標は一つしかありません。

それは「幸せになりたい」です。

それ以外の望みはすべて「幸せになるために、その人が必要だと思い込んでいる外的な条件」でしかないんです。

試しに、病気

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絶対確実な運命の一本道 ヘルメスの天秤

絶対確実な運命の一本道 ヘルメスの天秤

まるでブドウ酒がそのブドウの収穫の年の性質を受け継ぐように、あらゆるものは始まりの時間の性質を受け継ぐ

これは心理学者カール・グスタフ・ユングが残した言葉ですが、ユングはもともと占星術の研究に熱心だった人ですから、この言葉自体が「生命誕生の瞬間に人間の性格の大半が決まる」とユングが信じていたことを如実に示しています(ユングの娘の一人は占星術師になりました)。

ただ、ユングが既存の占星術師と違っ

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私は誰だったのか? 遥かなる過去への旅

私は誰だったのか? 遥かなる過去への旅

何のために生まれて 何をして生きるのか? 答えられないなんて そんなのは嫌だ

これは「アンパンマンのマーチ」の一節です。東日本大震災発生直後、FMラジオに最も多くリクエストが寄せられた曲としても知られていますよね?

「人は何のためにこの世に生まれるのか?」 これはアンパンマンの原作者の「やなせたかし」さんが、学徒出陣で戦地に送られていた弟が「戦死したぞ」と親戚から告げられた時に思わずその場でつ

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なりゆき任せの人生航路 無計画主義のススメ

なりゆき任せの人生航路 無計画主義のススメ

私の本業は「農場経営者」ですが、あまり頭を使わない単純作業労働の時はスマホでポットキャスト(インターネット上の音声コンテンツ)を聴きながら仕事をしていることが多いんです。我ながら勉強熱心ですね(笑)。

歴史を深く学べる「コテンラジオ」や、メンタルサポーターの成田儀則さんが出演している「心に刻みたい人生哲学の話」は、ほぼすべての放送(配信)回を聞いているほどのヘビーリスナーなんですよ。

ところが

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