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#短編小説
未来は、わからないから面白いらしい。
昔の人が描いていた未来は、車は空を飛ぶし、高い場所に作られた道は建物に沿ってくねくねと曲線を描いており、さらには不思議な建物が立ち並んで複雑…さらには、そこら中に全身タイツを着た案内人がいる感じだった。
現実は、車は空を飛ばないけど、環状線とかはちょっとそれっぽいかな。新しいショッピングモールとか国立競技場とか、ビルとか、近未来的な建物と言えばそうかもしれないけど、さすがに全身タイツの人はハロ
ずっと、空っぽだったんだ。
「じゃあ、別れる?」
この単語が彼から出るのは、もう何回目だろう。
なんだかここ半年くらい、ケンカをするたびにその言葉が自然と出てくるようになった。しかも、些細なことで。例えば、時間に遅れてきたりとか、行く予定だったお店が閉まっていたとか。決まって彼が不機嫌になって、私はそれが嫌で指摘してしまう。
遅れた時に「もー遅いよー!」「ごめんごめん」とか、お店が閉まってたら、「お休みだったね」「残念
将来なんかより、今が大事。
眠たい。眠たい。眠たい。
先生の声は子守り唄のようだし、ノートに書き込むみんなの筆記音は、それを促しているかのような心地よいビートを刻んでいる。
学校生活も最後の年か。
まだ4月だというのに、新入生を歓迎する準備で盛り上がるものかと思ったが、現実は受験モードで気が重い。
学校でもお家でも、1に勉強、2に勉強だ。
将来どうなりたいかなんて、まだわからないのに。なんだったら、私が大人になるま