冬花火の下に、散る恋心

画像1 君と観た、いつかの花火を、私は忘れてしまいたい。だって、本当に本当に綺麗だったから。
画像2 真冬の花火は珍しいそうだ。「たしかに、珍しいかも」と呟きながら、吐いた息は白く闇に消えていった。
画像3 クライマックスを迎えるころ、手はキンキンに冷えて、いつの間にか君と繋いでいた手を離したことさえも忘れていた。
画像4 寂しそうに見つめる君の目を、私は見ることもなく花火に夢中だった。
画像5 澄んだ空を色とりどりの光が、染め上げて消える。儚さと美しさのコラボレーションにため息が出る。私は、その綺麗さばかりに見惚れていた。
画像6 「もうそろそろ最後だね」と君はいう。「寂しいね」と応える私。本当に寂しかったのは君の方かもしれないのに。それでも私は、花火の間、君と目線を交えることはなかった。
画像7 最後の花火が上がるとき、私の心に君はいなかった。君もきっと、同じだろう。寒い寒い冬の日のこと。私は早く、君と観た花火を忘れたい。

お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。