SNSの渦の中に閉じ込められて。
ふと目が覚めた、午前3時。
まだ起きるのには早い時間。
そういえば、終電で帰ってきて、そのまま寝ていたと気づいたのは、5分後のこと。
二度寝をしようと思ったのに、どうしてだか全然眠くならない。
メイク落として、お風呂でも入ろうかと思ったけど、明日はお休み。という事実が何もかもを吹き飛ばしてくれた。
28歳の私のお肌には大ダメージかもしれない。でも動けそうにもない。
「別に1日くらい怠惰したっていいだろう。」
頭の中で、誰かが呟いた。
暗い部屋のベッドに沈んでいると、悩みや不安が襲ってくる。真っ黒な手をして、私の目や耳を塞ぎこむ。ああ、嫌だ。
その黒い手をスマホの灯りで振り払い、そっとSNSを開いた。
私のフォロワーは、自慢じゃないが2万以上はいる。それは一般の人にしてみたら、多い方だと思う。
「今日は少し増えてる…」
フォローの隣に並ぶ数字を見て、落ち着く。
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昔、ちょっとの出来心で描いた絵をあげたら、どんどん注目されて、私はちょっとした有名人になりあがったのだ。
それから…だ。イラストをあげるたびに、たくさんの「いいね」がつくことが、当たり前になり、そして、落書きや何気ない日常のひと言にすら、たくさんのいいねがつき、コメントがたくさん並んだ。
最初は、絵を描くのが大好きで、趣味の1つだった。
しかし、いつしか承認欲求を満たしたくて、満たしたくて、たまらなくなった。
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先週、投稿した絵を見つめる。
そのコメント欄を見ると、私の心を見抜いているのではないかと思うコメントもいくつかあった。
「最近、変わってきましたね。」
「流行りにのってる感じがする。」
うん、わかってる。
私は今、何を思って絵を描いているのだろう。
「いいね」がもらえるような絵を、狙って描いている気がする。いいねに支配された絵は、美しいと言えるのだろうか。
わからないけれど、今はいいんだ。
飽きられる方が、とても怖い。
不安の闇に飲み込まれながら、私はまた暗くて深い場所へ落ちていくのだった。
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お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。