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愛着は母と子のきずな|愛情は親子・恋人・友人とのきずな(2022.09.18追記)

愛着と愛情、混同されて使われることがありますが、この記事のタイトルのように使い分けるといいでしょう。
また今回のイラストは友人とのきずなを表わしたものです。そして4人の子どもたちは、4つのきずな(母子、親子、恋人、友人)を表わしているようにも見えますね。

愛着障害の親は愛情も子に湧かないですか?愛着と愛情の関係性や違いが知りたいです。

高間しのぶの質問箱より

【お返事】親が愛着障害の場合、親には脳機能の問題はありません。だから子どもと普通の愛着を結ぶことができます。つまり、子どもとの情緒交流ができるということです。

見た目は厳しく映るかもしれませんが、「普通の」愛着を結べます。だからその時点で、虐待は連鎖していないのですね。参考記事のリンクを張っておきます▼

愛着障害の人の厳しい子育てとはどのようなものか?|自責しつつ外へ助けを求めない

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着とは?|臨床と仏教の共通点

愛着とは、養育者と子どもの間(多くの場合は母子間)の情緒交流を指します。つまり乳幼児期の親子関係を愛着といいます。

養育者とは、子どもが愛着を結ぶ対象です。長時間一緒にいる人を養育者と認定します。そして子どもにとってはたった一人を、養育者として選定します。

そして私たちが時々使っている執着という言葉ですが、仏教で使う執着(欲)は日本語訳にすると愛着になるという面白い投稿▼をいただきました。私も臨床の現場では、愛着障害の人は母親と愛着築けなかったから執着も希薄という話をときどきしますが、まさにそれと合致していることですね。

拝聴して思ったのは、ふだん私たちは「愛着」という言葉のほうを、「愛情」よりライトに使ってるかも?と思いました。

たとえば「この靴ぼろぼろだけど愛着あって捨てられないんだよね」とか。放送で例に出されてた母校に対しても愛情とは言わず「色々あったけど母校だから愛着があるんだよね」とか。

しかし昨日たまたま見た動画では、仏教の経典で「欲(執着)」を現す原文の単語を日本語訳辞典では「愛着」と訳しているらしいです。それ聴いて合点(がてん)がいきました。
日本の僧侶の質問にスリランカ(原始仏教)の僧侶が答える難しい内容の動画です。

高間先生はいつも、愛着障害の人は執着ないですよ、と仰ってたので。臨床の現場や仏教の経典で言うところの「愛着」と私達が普段なにげなく使う愛着は、少し違うんだなぁという感想です。

大枠としては、愛着臨床のお話と仏教の話しはオーバーラップする所が多く、面白く感じました。また動画の後半では、「愛着」と「愛情」の違いを話していて、愛着は生きる上であたりまえで、愛情のほうがいささか問題があるというお話もあり、ますます高間先生のご説明とリンクしました。

愛情という言葉のほうが何となく母親を連想するというか、自分をかえりみないような強い庇護心(ひごしん)とか保護欲(ほごよく)とか、そういう深くて大きい海のような印象があったのですが、むしろ逆ですね。

スタエフにいただいた3つのレターのまとめ( 2022.09.18放送より)

■愛情とは?

愛着は臨床現場では重要な概念ですが、愛情はあまり使いませんね。改めて、愛情をコトバンクで検索すると▼

親や子,恋人や友人などの特定の相手を愛する感情。さらに物や動物,所属集団を愛する気持ちも含まれる。愛情は,精神分析学,動物心理学,発達心理学などさまざまな領域で検討されてきた。近年では社会心理学の領域で恋愛関係における愛情romantic loveを対象とした研究が行なわれている。

https://kotobank.jp/word/%E6%84%9B%E6%83%85-421371

愛情の中に愛着が含まれている感じでしょうか。しかし愛着は、親と子の間の情緒交流であり、相手を愛する感情とはちょっと違いますね。愛着がなくても(情緒の交流が希薄でも)親へのファンタジーがある場合は、子どもにとって親は愛する存在ですから。

■愛情と愛着の関係

上で紹介したコトバンクには、愛情を説明する理論というものが紹介されています。それによると、どのようにして愛情が生じ発展していくのかについては、5つの理論があり、その代表的なものとして、成人アタッチメント理論 (adult attachment theory*) があります。

*Shaver, P. R., & Hazan, C. :A biased overview of the study of love. Journal of Social and Personal Relationships, 5, 1988

ボウルビィによる愛着理論は、乳幼児期の親子関係を対象としたものですが、これを成人の恋愛関係にまで発展させたものが成人アタッチメント理論です。どうして恋愛にまで発展できるのかというと、親子関係と恋愛関係は似ているからといいます。つまり、身体による接触や分離不安などの多くの共通点があって、これらは強い絆の愛着関係とみなすことができるからです。

成人アタッチメント理論では、乳幼児期の正常な親子関係によって他者や世界への基本的信頼感が育まれ、その信頼感が成人期の恋愛関係に影響を及ぼすといいます。つまりエリクソンの心理発達的な視点が重視されているわけです。しかし恋愛は、あくまでも他人との関係なので、母子関係と似ているのかというとムリがあるでしょう。

恋愛を中心とした愛情と母子関係を中心とした愛着については、同じ線上で論じることは棚上げにしておいたほうがよさそうです。少なくとも臨床現場では、この2つは明確に切り分けておく必要があるでしょう。

■まとめ

  • 愛着とは母子間の情緒交流のこと。

  • 愛情とは親子、恋人、友人を愛する感情のこと。

  • 愛着理論を成人の恋愛まで発展させたものが成人アタッチメント理論。しかし、これにはムリがあるかも。

この記事には続編があります▼。よろしければどうぞ。


□母と子のきずな|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェのテーマは…Mother And Child Reunion (Paul Simon, 1972)。詳細はラジオをお聴きください。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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