#小説
5minutes before
「どこで間違えたんだろうな」
答えが欲しかったわけじゃない。ただ呟いただけ。
街で一番デカい病院の中の、暗く、狭い部屋。
どこかわからない。やつらから……いわゆるゾンビとでも言えばいいのか……生きてる人間に襲いかかり、食いつき、殺し、食いつかれた人間もやつらの仲間になって、数を増やして襲いかかってくるバケモノどもから逃げて逃げて逃げて、行き着いた先がここだった。
「ごめんな」
「いいよ」とい
御座へと落つ #逆噴射小説大賞2024
淡い光に包まれた立方体が、濃紺の海中を下降していく。立方体の周りを、魚の眼と下半身を持つ女たちが取り囲んでいた。彼女らは側面に小さく開いた窓から中を覗き込んでは、下卑て不快な笑みを中の男たちに投げかけていた。
「深度1000を越えました。此処から先は文字通り、光届かぬ世界です」
カランはズレた眼鏡を直しつつ、努めて冷静な口調でもう一人の男に語りかけた。
「サミア殿、貴方の協力なくては『方舟』
「迷子のために作られた帝国」
帝国はついに世界征服を成し遂げた!今日この日から100日かけて、首都から始まり世界中の都市へ凱旋パレードが執り行われる!女帝陛下万歳万歳万々歳!
…… 『女帝』は薄暗い小さな部屋で、小さなテレビから流れる放送を横目に見ながらノートパソコンで作業をしている。背が低く細い女性だ。仰々しい冠が床に転がっている。女帝は冠を片足で弄りながら黙々とブラインドタッチをしている。
「あんなパレード、やらせてて
知らないラッパーが家にいる
朝起きると、知らないラッパーが家にいた。
ネックレス、キャップ、ジーパン、大きな口、高そうな時計、黒い肌。
椅子に収まりきらない大きな体を立ち上がらせ、バスケットボールを片手で掴めそうな手を僕に伸ばす。恐る恐るその手を握ると、彼は笑顔でしっかりと握り返した。
旅行に行った両親の話は本当だった。
外国人のラッパーが、我が家にやって来た。
彼はクラスメイトとなった。制服に身を包んで
Rebecca is dancing.
対向車の後部座席で泣き叫ぶレベッカと目が合ったのは、ほんの一瞬のことだった。あいつが誘拐されるのは、今年4度目だ。
俺は通信機を操作し、治安部隊に連絡した。
「よぅ無能ども。俺の愛する娘が、またどこぞやの馬鹿に連れて行かれた。理由?知るかよ。俺は追いかける。邪魔すんじゃねぇぞ」
Uターンして、さっきの車を追いかける。古臭い日本車、派手な塗装。すぐに追いついてタイヤに銃弾を撃ちこんだ。
車は路肩
我が友 スノーボール
豚。
夜の森を駆ける。
豚。
巨大な眼のような月に追われながら。
豚。
その顔に浮かぶのは、まるで人間のような苦悩の表情。
怒り。悲しみ。驚き。そして恥。感情に揺れる心は脳を輝かせ、その輝きに豚の顔は歪む。
この豚は人語を解し、そして話す。本を読み、そして学ぶ。哲学、歴史、科学、数学を学ぶ。貪るように。豚には知性があり、それに伴う理性があった。
だが。
今この時。
それに何の