佐倉侑

日々の記録と時々小噺。

佐倉侑

日々の記録と時々小噺。

マガジン

  • 日記

    日常の記録を書き留めておくための場所。その日にあったこと、読んだ本、観た映画、訪れた場所、自分の言葉で文章として残せるように。 (できれば毎日更新したいですが、分からないので更新頻度は低めに設定しております。)

  • 読書感想文(たまに映画)

    本や映画の感想記事のまとめです

  • がんばらない毎日ごはん日記

    レシピ本に載ってるような名前のある料理を毎日作るのは大変なので、煮て、焼いて、茹でて、蒸して、それだけの名前のない料理の日記

  • 旅の途中の拾い物

    感じたことや思ったことなど残したい話たち

  • 果種と雑草

    高校生の果種ちゃんが日常のふとした瞬間、雑草に誘われ奇妙な空間に陥る短編集。

最近の記事

『Little forest』感想

地に足をつけて生きる、ということがずっとできなくて、 どこか浮いていて、どこにも根ざせずに生きてきた。 主人公も、どこか浮いている心地だったのかもしれない。 自分が生まれ育ち、母親と二人で生きてきた東北の山奥の集落。 ここで生きていくという覚悟もなく、一度街へ出てみたけれど、そこに居場所を見つけることもできず、結局生まれ育った、今はもう誰もいない家に、戻ってくるしかなかった。そこで一人、野菜を育て、肉を捌き、魚を釣り、山菜や山の実を摂り、自給自足で生きている。 食材から季節を

    • なんかちょっとダメな日ってある

      欲しいチケットは手に入らなくて Liveは楽しそうに開催されてて 仕事はなんだかバタバタ忙しなくて 帰り際「うまいこと受け答えできなかったな」と思うことがあって なんとなく地面が傾いているよう、あぁ自分が傾いているんだ、と平衡感覚が失われたまま歩かなければいけなかったり 駅に着いてみたら電車が遅れていたり こんなに遅くなるならもう早く帰ろうとしなくていいか、と諦めて、乗り換え駅でパンを買おうと思ったら大行列になっていたり それも諦めてホームに降りた、乗り換え電車も遅れていて、

      • 移ろうもの とどまるもの

        三連休初日は雨なこともありお家でまったり。 本を読んだり映画を観たり。 気になっていた『マザーウォーター』が配信にあるのを見つけて、お気に入りリストに入れてから早数ヶ月。観る作品もタイミングというものがあるのだと思う。 数ヶ月放置していた割には今回はあっさりと再生ボタンを押せました。 「今出会うから、その対象といい関係を築ける」ということがあると思う。 原稿を終わらせて疲れ切った頭と身体と静かな雨の日というコンディション。 「しっぽり」心地良い時間を過ごすことができました。

        • 『ワンルームワンダーランド』感想

          ワンルームの中で、ひとりの生活と、その部屋にたどり着いた人生が語られていた。 人の生活を見るのが好きで、Xでも生活や生き方が見える人のポストをよく眺めている。着飾っている人も多いけど、着飾りすぎない、生の声が聴こえてくるような呟きが好きだ。その生活は、その人にとっては現実の一部。だけれど、受け手にとっては現実とフィクションが絶妙に混ざり合った、自分ではない誰かの日常。自分以外の人生/生活/日常を知ることは、小説や漫画や映画にも似ている。壮絶なアクションやホラー、サスペンスやフ

        『Little forest』感想

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        • 読書感想文(たまに映画)
          10本
        • がんばらない毎日ごはん日記
          12本
        • 旅の途中の拾い物
          11本
        • 果種と雑草
          4本
        • だからわたしはライブに行くのだ
          2本

        記事

          がんばらない毎日ごはん日記 10月

          10月某日 皮なしウィンナーをコロコロ焼く。お弁当のごはんの上に被るように並べておかずとごはんの間を埋める。ついでにトーストにコールスローとウィンナーを挟んで朝ごはんにした。 10月某日 マシュマロをいただいたのでココアに溶かして飲む。甘くてクリーミィでおいしい。 10月某日 最近お安いスーパーに行けてなくて、ずっとピーマンが高かったからなかなか買えなかったのだけど、ようやくちょっとマシな価格のピーマンと出会えた。ので、ずっと食べたかったピーマンの肉詰め。簡単でおい

          がんばらない毎日ごはん日記 10月

          間に合えと 必死に〆切 追いかける

          脱稿しました。久しぶりに〆切に追われる日々を過ごし、最後の方は23:30に寝て3:30に起きる生活。眠かった。先週の土日どちらも遊んでしまったからなんですけどね。"その日しかない"となると無理をしてしまう性分。なんとか脱稿できて安心し、体力回復のために今日はぐっすり寝てゆったり過ごす予定。 眠いなぁ…と思いながらぼんやり歩いておりましたら、ウミネコがしゅんっと飛んで来て、近くでゆっくり旋回して、しばらく風と遊ぶように、そこに留まりながら飛んでいて、少ししたらまたしゅんっとど

          間に合えと 必死に〆切 追いかける

          『ワンルームから宇宙をのぞく』感想

          静かに世の中に絶望している人だった。 絶望を「この世の終わり」として抱くのではなく、「常にあるもの」として並走しながら生きている。 全く同じではないだろうけれど、わたしもこの感覚で生きている。世の中この感覚を持っている人は多いのではないか、他にもいるのではないかと思う。 そして無気力のまま生きている人も多いのだろうと思うけれど、そのまま生き続けるのでは辛すぎるから、望遠鏡を覗いて宇宙の遠くの星を観るように希望を見つけて生きている。 この本はそういう絶望と希望の繰り返しを冷静

          『ワンルームから宇宙をのぞく』感想

          『ぼくが生きてる、ふたつの世界』感想

          「生まれる場所は選べない」 両親ともろう者の元に生まれた主人公にとって、それが分かりやすく「他の子と違う」ことだった。 偏見やいじめや悪気のない善意や興味に逢うたびに、「違うこと」に傷付いてしまう。 傷付くのは、母や家族への愛があるから。それを傷付けるものに傷付けられる。 それを次第に煩わしく思ってしまう。なんで「違う」んだと責めてしまう。そうしたい訳ではないのに。 両親が「ろう者」であること、自分が「コーダ」であること、それが分かりやすく「他と違う」ことであったけれど、こ

          『ぼくが生きてる、ふたつの世界』感想

          言葉に含まれる意味を考えたいと思う

          「エポック」という言葉を知ったのは『違国日記』で槙生ちゃんの友人の醍醐が、朝が槙生ちゃんのところに来てから初めて遊びに来た日の帰り際に、槙生ちゃんへ言ったセリフ を読んだ時だ。当時その言葉を知らなかった私は、すぐに意味を調べた。 と出てくる。当時は「変革の時」そういう意味合いだということを言いたいのかと解釈した。 しかし、今、『ベル・エポックー美しき時代ーパリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に』という展覧会を見つけ、「あの"エポック"はこの"エ

          言葉に含まれる意味を考えたいと思う

          夜とはっちゃけた犬

          ピカピカ眩しくカラフルに光る首輪を付けられた柴がむすっとした顔で、同じくピカピカ眩しくカラフルに光る輪っかをいくつも付けた人間2人に連れられて、夜の散歩をしていた。 柴も特別にむすっとしていたわけではなく「元来こういう顔ですが何か」ということなのでしょうけれど、その姿は真っ青な空と海、真っ白な砂浜、浮かれた椰子の木を背景に、鮮やかなアロハシャツを着て記念撮影をした西郷隆盛のようだった。 シュールだ。 夜はなかなかにはっちゃけたものと出会う。

          夜とはっちゃけた犬

          自分サイズの旅の形

          自由気ままにどこへでも行ける人になりたかった。 中学生の頃、大型バイクに乗って一人で日本各地を巡っている女性の本を読んだ。 バイクに跨っている姿が様になっていて、すごくかっこよくて憧れたし、高校生になったらバイクの免許を取るんだ!と意気込んでいた。けれど、高校生になってみたら教習所に通う度胸はなく、なんやかんや理由をつけて、結局二輪の免許は取らないまま現在まで至ってしまった。 憧れは憧れのまま終わった。 同じ頃、奥様と子供二人の一家四人で世界各国を旅しているという方の本も読

          自分サイズの旅の形

          どこの誰でもない一人のジャパニーズ

          昨日は久しぶりに夜の渋谷へ繰り出した。 用事がある時はだいたい昼間に済ませるようにしているのだけれど、今回は観たい映画が都内で2ヶ所でしか上映がなく、さらに夜しか行けるタイミングがなかったので仕方がない。 久方ぶりの夜の渋谷は、人、人、人.人.人.人人人人人……∞。 昼間でも人が多いことには変わりないのだけれど、夜の方が陽気?な方が多い印象で圧に押されがち。そして今では大半がおそらく外国人観光客。 スクランブル交差点を、何かの儀式のようにスマホを掲げ、もしくは自撮り棒を伸ばし

          どこの誰でもない一人のジャパニーズ

          COMITIA150/文学フリマ東京39参加します

          イベント参加のおしらせです。 ・11/17(日)COMITIA150 ・12/1(日)文学フリマ東京39 文フリは2回目、コミティアは初出店です。 コミティアは漫画やイラスト作品の印象が強かったのですが、はじめて一般参加した際に小説を頒布されているサークルさんもあるのを知り、調べてみると「文芸」というカテゴリーがあり、文章作品はそちらで参加できるようでした。コミティアは大好きな作家さんが多く参加されていることと、今年が記念すべき40周年だそうで、このお祭りに乗じてサークル参

          COMITIA150/文学フリマ東京39参加します

          脳のリソースも無限ではない

          観たい映画や展示とやらなければいけないことが重なってきた。映画は劇場の上映時間にもよるから、スケジュール上手く組まないと難しい。会期ギリギリの展示もある。 などと頭がパンクしそうになることが良くある。 とりあえず、やることやりたいことを箇条書きで書き出して、それぞれの期日・期間と自分が動ける日・時間を確かめる。そうして上手くパズルを組み立てると頭の中はすっきりして余裕ができる。 本当はパンクしそうになる前に定期的に書き出しておけばいいんだけれど、そこは自分の要領を過信して

          脳のリソースも無限ではない

          あの日の「じゃあね」は星の距離

          近所でごはんを食べて、その延長で、彼氏や気になる人や仕事の話、上司や先輩の愚痴を言いながらたらたら歩いて帰って、家の近くで「じゃあね」ってお別れする。そんなことをもう久しくやっていないなぁ、なんて、あの頃の自分とおんなじ様にたらたら歩く女性三人とすれ違って思う。 明日も会うことを何も疑わずに毎日家の近くで「じゃあね」と別れていた子どもの頃のままの距離で、大人になっても続いた「じゃあね」は、自由に動ける距離が広くなるにつれて友だちとの物理的距離は遠くなり、いつしか近所で「じゃ

          あの日の「じゃあね」は星の距離

          ちまちまドラマはチーズケーキとココア

          昨日ファミマで割引きになっていた「にゃんともおいしい」シリーズの「サマークリームチーズケーキ」を買ってきまして、それを食べようと冷蔵庫から取り出し、袋を開け、手で掴み齧り付こうとしたその瞬間、『スプーンで食べる』とパッケージに書かれた文字が目に飛び込んで来まして、「す、スプーンで食べるって書いてあるっ!」と思わず声を漏らし、自分の行儀の悪さに慄きながら慌ててモノをケースの中に戻し、スプーンを取りに行きました。おしとやかに生きたいものです。 『ソロ活女子のススメ』というシリー

          ちまちまドラマはチーズケーキとココア