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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2022年11月の記事一覧

都立高校入試のスピーキングテスト実施に関わるトラブルは想定内

都立高校入試のスピーキングテスト実施に関わるトラブルは想定内

先日、都立高校入試に利用される英語のスピーキングテストが実施されました。

小池知事は「大きなトラブルはなかった」という見解を出しています。

しかし、TwitterなどのSNSでは多くの問題点が実際に受験した人たちや関係者から報告が上がっています。

巷でささやかれるトラブル試験は午前組と午後組に分かれて実施され、午後組は別室で待機をしていたようです。

このときに、午後組には午前組のスピーキン

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悪意無き「受験エリート」の傲慢さと「自分をものさしにしない」重要性

悪意無き「受験エリート」の傲慢さと「自分をものさしにしない」重要性

受験指導を行うにおいて、指導者の学歴(大学歴を含む)はプラスに働くことが多いでしょう。

生徒や保護者などへのアピールとしても旧帝大卒や早慶卒の先生、という肩書きは指導者側の学力の保障だけでなく、指導力までも保証するかのように見えるようです。

実際にはそれだけで指導力が決まらないことはこの業界の人間ならばよく知るところですが、全くの相関性がないわけでもないため、どうしても信用のバロメータになりが

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「分かりやすい授業」の是非について考える

「分かりやすい授業」の是非について考える

学習者にとって授業が「分かりやすい」という要素は極めて重要です。

自分自身が中高生であった時分も、あの先生の授業は分かりやすい、この先生の授業は分かりにくいという評価を仲間内でしていました。

こうした様子は現代の中高生も変わりません。

それどころか、大手予備校の講師の授業をオンラインで知る彼らの目はさらにシビアになっており、評価基準も20年前よりも厳しいものとなっています。

ところが、授業

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「基礎の徹底」絶対派と「主体的な学び」礼賛派の対立は必然かもしれない

「基礎の徹底」絶対派と「主体的な学び」礼賛派の対立は必然かもしれない

教員同士で話をしたり、Twitterでのやりとりの中で度々見られるのが二つの派閥の対立です。

二つの派閥とは「基礎の徹底」絶対派と「主体的な学び」礼賛派のことです。

「基礎の徹底」絶対派この考え方をしている傾向として、本人が比較的真面目に公立学校を卒業し、努力して教員になった人が多いように感じます。(個人の感想です)

単語や文法の理解無くして英語を学ぶことはできない、計算能力なしに数学の学習

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「登下校中の生徒」と学校の法的責任

「登下校中の生徒」と学校の法的責任

学校には様々な方から電話や連絡があります。

生徒や保護者はもちろんのこと、地域住民の方から連絡をいただくことも少なくありません。

その中でも多いのが「登下校中の生徒」に関するクレームです。

こうしたこと以外にも、広がった歩いている、ピンポンダッシュ、サイドミラーに接触した、など多数の連絡があります。

登下校中は学校の管理下ではないまず、確認しなければならないのは登下校中の生徒の事故や行動、

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「上半身裸」の運動会の無神経さに見る学校組織の人権意識の低さ

「上半身裸」の運動会の無神経さに見る学校組織の人権意識の低さ

11月になり、運動会、体育祭を終えた学校がほとんどだと思います。

運動会に残る伝統の一つに組体操があります。

近年は危険性が指摘されており、ここ数年はコロナの影響で実施する学校も減少傾向にあるようです。

こうした組体操とセットで行われるのが男子の上半身裸による集団演技です。

組体操だけでなく、騎馬戦やマスゲームなどを上半身裸で行う学校はいまだに多くあるようです。

なぜ「上半身裸」になるの

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「園の責任は重い」という発言の「軽さ」

大阪府岸和田市の、保育所に送り届け忘れ女児が死亡した事件に関して、小倉こども政策担当大臣は「園の責任は重い」という発言をしました。

この事件、もちろん第一には保護者の責任が最も大きいのは言わずもがなです。

私自身も就学前児童の保護者として背筋が凍るような事件ですし、親の責任の重さを痛感するとともに、普段の行動を深く反省させられました。

保育所に責任は無いのかたしかに、保育所の管理責任としても

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教員不足の解決案が「官民人材交流」という愚策と財務省の恐ろしさ

教員不足の解決案が「官民人材交流」という愚策と財務省の恐ろしさ

小中学校の教員の不足が社会問題となっています。

そんな中、財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会で「人材が官民の間で行き来するなど新たな仕組みの導入」を財務省が提案した、というニュースが出ていました。

審議会の中で、財務省からは以下のような提案がなされた、ということです。

免許制度や採用方法を検討し官民の人材流動化を図る

学校ごとに働き方改革の状況を公表し、補助金の要件に盛り込む

1.免許

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意外と勘違いされている「教育委員会」と「私立学校」の関係

意外と勘違いされている「教育委員会」と「私立学校」の関係

長崎県の海星学園の生徒が自殺した件に関し、文春が報じていました。

痛ましい事件であり、学校の対応にも問題があったようです。

海星学園では自殺者が3年連続で出ていたという話もあり、生徒間のいじめが常態化していた疑いもあるようです。

ただ、今回はこの事件そのものではなく、この件に関してのヤフコメの意見などを見て感じたことを扱いたいと考えています。

この件も含めて、こうした私立学校の事件に関する

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「地域に学校が無くなる」という感情論

「地域に学校が無くなる」という感情論

人口減少が日本中で進んでいます。

大都市には依然として人口が集まっていますが、地方では過疎化が加速しています。

自治体の統廃合や公共交通機関の再編が行われ、核になる都市に人口が集まってコンパクトシティ化が自然に進んでいくようです。

そんな中で、公立学校の廃校や統廃合も増えています。

大阪府の事例:府立泉鳥取高校大阪府阪南市の府立泉鳥取高校は2025年3月に廃校となるようです。この件に関して

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「教科書選定」に関わる汚職とその影響

「教科書選定」に関わる汚職とその影響

日本においては義務教育課程の場合、教科書は自治体ごとに採用を行います。

先日、教科書大手の「大日本図書」の大阪府藤井寺市立中学校の教科書選定に関わる贈収賄事件が報道されました。

こうした問題は、実は数年前にを起きており、公教育と教科書出版会社との癒着は根深い問題のようです。

2016年の「三省堂」から始まる収賄事件6年前の2016年、国語などの教科書を出版する「三省堂」の贈収賄が発覚しました

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「怒らない」指導の重要性

「怒らない」指導の重要性

元女子バレーボール日本代表選手の益子直美さんは2015年から開催していた小学生のバレーボール大会を、2021年4月に社団法人化し、「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」として再出発し、同団体の代表理事として現在活動を行っているようです。

この「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」とは、参加した子どもたちが楽しくバレーボールをやるために、指導者は怒りを封印して試合を行う大会というもので

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「宿題に関する調査」の結果に見る宿題の是非と、親の希望と教育的効果の現実

「宿題に関する調査」の結果に見る宿題の是非と、親の希望と教育的効果の現実

イー・ラーニング研究所の子どもを持つ保護者300名を対象とした、「2022年:子どもの日常的な宿題に関する調査」の結果が先日公開されました。

その中で特徴的なのは、保護者の7割が「宿題は必要」と考えていると回答したということです。

また、その内容について、最多回答だったのは「研究や調べもの」だったということです。

宿題は必要か最初に宿題は必要かということについて考えてみます。

この問題は小

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「黙食」批判についての雑感

「黙食」批判についての雑感

コロナへの対応が変化しつつあります。

全数届け出の見直しが始まり、全国旅行支援事業なども始まっています。

当然ながら、学校でのコロナの扱いも変化しています。

そんな中で「黙食」に対する批判の声が多く上がっているようです。

三浦瑠麗氏は「黙食」で鬱や疎外感が広まる、とTweetしているようです。

社会全体の雰囲気の変化確かに、コロナに対する雰囲気は変わりつつあるようです。

会食などをする

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