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都立高校入試のスピーキングテスト実施に関わるトラブルは想定内

先日、都立高校入試に利用される英語のスピーキングテストが実施されました。

小池知事は「大きなトラブルはなかった」という見解を出しています。

しかし、TwitterなどのSNSでは多くの問題点が実際に受験した人たちや関係者から報告が上がっています。

巷でささやかれるトラブル

試験は午前組と午後組に分かれて実施され、午後組は別室で待機をしていたようです。

このときに、午後組には午前組のスピーキングテストを受ける声が聞こえていた、という話もあるようです。(真偽は不明です)

これは同一の建物で試験を実施する場合、どうしても発生することになるため、午前と午後では会場を分けるなどの必要はあったでしょう。

それ以外にも、あまりにも長い待ち時間、案内の不備なども指摘されてます。

また、試験中は隣との距離が近く遮音ができていないため、イヤーマフをつけているとはいえ、隣席の受験生の解答を聞くことは十分に可能な環境だったようです。

事前の調査では周囲の声は聴き分けられない、と都教育委員会はコメントしていますが、実際にはイヤーマフが輪郭に合わず聞こえるようなこともあるため、公平性の担保という観点からは大きな問題が残った試験となったようです。

日本語でさえ、答えるのに窮する内容

その上、問題がかなり難しいという指摘も上がっています。

上記のリンクには4つの絵が描かれており、その体験を友人に話す、という内容のスピーキングテストとなっています。

「バスに乗っていると、鳥が入ってきて自分の帽子の上にとまり、その鳥が加えた花を置いて飛び去る。」という内容です。

30秒で準備して、40秒間で答えることになりますが、あまりにもストーリーが唐突過ぎる上に、鳥の行動が不明なため、スピーチ内容を構成するだけで時間を要します。

その上でそれを英語に訳して話すとなると、あまりにも高度過ぎるように感じます。

出題者としては、内容が不十分でも伝えようとする意志を見たい、ということなのかもしれませんが、それであれば日本語の文章でのストーリー補足や、もっと親しみやすいものを題材にすべきだったようにも感じます。

スピーキングテスト実施の難しさ

そもそも論ではありますが、スピーキングテストを実施すること自体が現状の入試制度は難しいように感じます。

スピーキングテストについては、その内容や目的などに関して以前記事にも書きました。

そうした試験そのものの問題点だけでなく、実施における問題点が今回の件で顕在化しました。

リスニングのように「聞く」行為は集団の中でも一人で実施することは可能です。

しかし「話す」行為はどうしても外部に音声を発するために、周囲の人間に影響を与えてしまい、公平性や公正性の担保が困難になります。

今回の都立高校入試のように、イヤホン+イヤーマフをつけるというやり方は、試験のために一か所に人間を集めたにも関わらずそれぞれを遮断する、という矛盾した手法をとっていて、無駄が多いと言わざるを得ません。

これならば、自宅や所定の場所で、iBT方式でカメラ録画で無作為抽出問題を受験するほうが効率的でしょう。

こうした手法が、現状の入試制度のまま全国に広がらないことを祈るばかりです。

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