マガジンのカバー画像

無題

34
名もない日常を、淡々と。
運営しているクリエイター

#ボクっ娘

無題-overture[encore!]- (Act:0)

overture 小学校を卒業する。その事柄は、人生においてはあくまでも通過点に過ぎない。
 長い人生の中のたった六年間。一つの校舎に毎日向かって、友人達と無我夢中で遊んだ。それがとっても楽しくて。それが人生における、一つの糧となる。
 しかし、中学生になったら、そうはいかない。
 自立……とまではいわないけれど、色々な感情の変化を、着慣れない真新しい制服を着ることで感じた。いや、感じざるを得なか

もっとみる

無題 Act:1 『また明日』

唯「さあ、帰ろうか」
蛍「おう」
唯「下校前に忠告しておくけれど」
蛍「なんだ?」
唯「襲うのはやめてくれよ?」
蛍「襲わねえよ」

唯「ボクが『帰ろう』と言った瞬間に……」

『ゲヒヒ、今回はどんな犯し方してやろうか』

唯「……って目をしていたよ」
蛍「一度も言ったことねえぞ」
唯「一度もイッたことない!?」
蛍「違う!」

唯「なるほど、ボクの身体では満足できないということか……」
蛍「何の

もっとみる

無題 Act:2 『朝ご飯できてるよ』

蛍「ふわぁ……おはよう」
舞「あ、おはようお兄ちゃん。朝ご飯できてるよ」
蛍「悪いな、いつもいつも」
舞「大丈夫だよ。もう慣れちゃったし」
蛍「じゃあいただきます」
舞「どーぞどーぞ」
蛍(……いつも通り、俺の分だけで三人前くらいあるな、朝食)

舞「どう?」
蛍「美味しいよ」
舞「やったー!」
蛍「最近本当に美味しくなったな」
舞「えへへ、そうかなー」
蛍(あとは量を適当にしてくれると有り難いん

もっとみる

無題 Act:3 『ボク達もする?』

唯「ミニスカートを穿いている女子高生が、下着が見えてしまうと恥ずかしいから、とスカートをおさえるだろう」
蛍「そうだな」
唯「ボク、それが納得できないんだ」
蛍「なんでだよ」
唯「だったら穿かなければいいんだよ下着を」
蛍「その理屈はおかしい」

唯「中学生から高校生になって変わったところってどこだろう」
蛍「想像つかんな」
唯「外見上だと、君は間違いなく身長が伸びたね」
蛍「ん、それは確かにそう

もっとみる

無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:1)

蛍「もう学園祭の準備が始まるのか」
唯「そうだね。高校の学園祭となると、中学の頃よりも一層本格的になるだろうから、ボクは楽しみだな」
蛍「放課後に残ったりもすることになるのか……めんどくさいな」
唯「ふふっ、君が言うのはおかしいんじゃないかな?」
蛍「なんでだよ」
唯「学園祭実行委員なんだから」

蛍「四月の委員会決めで誰もやらなかったからな」
唯「ボクらの学校の学園祭は凄く力が入ってるって有名だ

もっとみる

無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:2)

蛍「あれ」
唯「やあ」
蛍「先に帰ってても良かったのに」
唯「そういうわけにもいかないよ」
蛍「なんでだ?」
唯「たった一人の教室で君が……ナニをするかわからないからね」
蛍「しねーよ何も」

唯「まだ出し物は決めていないけれど、大丈夫なのかい?」
蛍「そうだな。実行委員の集まりでも今週中に決めて報告するようにって言われた」
唯「じゃあ今度の帰りのホームランで決める予定か?」
蛍「帰りのホームルー

もっとみる

無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:3)

蛍(結局昨日はとんでもないことになっちまったな……)
蛍(登校する時もいつもなら先に待ってるはずなのに、待ち合わせ遅れてるし)

唯「やあ」
蛍「ん、来たか……って、なんだその顔!?」
唯「あはは、ちょっと、昨日眠れなくって」
蛍「何があった」
唯「な、ナニも!」
蛍「その返しはやめろ!」

唯「ふふ、いつも通りのボクだろう? ちょっと寝不足なだけさ」
蛍「顔の違和感がスゴいんだが」
唯「君がボク

もっとみる

無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:4)

蛍「舞、ほらこれ」
舞「なに?」
蛍「俺の学校の学園祭のチラシ」
舞「もうやるの?」
蛍「らしい。とりあえずもらっといてくれ」
舞「お兄ちゃんの学校、学園祭すっごく面白いらしいよ」
蛍「へえ」
舞「もー! なんでお兄ちゃんがそんなに無関心なの!」
蛍「近さでしか決めてないからな」
舞「これくらい! このくらい面白いんだって!」
蛍(……可愛い)

舞「この絵は誰が描いたの?」
蛍「知らん。同級生っ

もっとみる

無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:5)

蛍「おはよう」
舞「おはよー」
蛍「ふわぁぁ……眠い」
舞「昨日は眠れなかったの?」
蛍「そうでもないと思うんだけど……あれ、俺のご飯は?」
舞「え? 無いよ」
蛍「……え?」
舞「今日は大事な大会だもん。できるだけお腹は空かせたほうがいいよ!」
蛍「あ、そ、そうだっけな……ありがとう、俺のために」
舞「えへへ、どういたしまして♪」
蛍「は、ははは……」
舞「ふふふ……」
蛍(くそ、可愛いから許し

もっとみる

無題 Act:4 『デラックスパフェ』

唯「……うん、いいね」
蛍「何が?」
唯「女の子がみんなジャージじゃない」
蛍「お前が喜ぶのはおかしいんじゃないのか?」
唯「なんでだい? ボクが君と同じように女の子の太股やチラリと覗く二の腕に興奮してもいいだろう?」
蛍「『君と同じように』って俺の意志を勝手に決めるな」
唯「でも興奮するだろう?」
蛍「……ちっ」

唯「ここの喫茶店の大きなパフェ、有名らしい」
蛍「らしいな」
唯「このデラックス

もっとみる

無題 Act:5 『君になら、喜んで』

唯「ふわぁぁ……」
蛍「……」
唯「ふむ」
蛍「……」
唯「どうしたんだい?」
蛍「ん、なんでもない」
蛍(すごい自然にあくびしたなコイツ)

蛍「そういや、なんでお前学校ではメガネなんだ?」
唯「他人に直接目を見られるのが嫌だからだよ。苦手だからね」
蛍「伊達メガネだもんな」
唯「うん」
蛍「つっても、学校以外ではメガネかけてないよな?」
唯「そうだね」
蛍「いいのか、それで?」
唯「かける必要

もっとみる

無題 Act:6 『ボクにとっては大切な場所だからさ』

唯「やあ」
蛍「……なんだこんな夜中に」
唯「星が綺麗だから、一緒に散歩でも」
蛍「星?」
唯「そう☆ 星さ☆」
蛍「テンション高いな」

唯「ふふ、なんだかとっても気分が良いんだ」
蛍「そうかよ」
唯「それで、一緒に行ってくれるかな?」
蛍「あんまり遅いのは無しだぞ。舞が心配するからな」
唯「お兄ちゃんが非行に走っちゃった……!」
蛍「それ、モノマネか?」
唯「ううん、ボクが君の妹だよ、お兄ちゃ

もっとみる

無題"Summer Sunset Serenade"-夏休み昼夜逆転物語- (Movement:1)

唯「夏休みだー」
蛍「……」
唯「というわけでプールに行こう」
蛍「それはいいんだが……」
唯「どうしたんだい?」
蛍「なんでお前既にスクール水着なんだ? おまけにポニテ」
唯「楽しみだからこのままで着て来たんだ。髪は暑いから」
蛍「どうであれなんか上に着てこいよ……」

唯「プールはここから自転車で二十分くらいだね」
蛍「そうだけど、お前自転車は?」
唯「持ってきてないけど、ここにあるよ」
蛍「

もっとみる

無題"Summer Sunset Serenade"-夏休み昼夜逆転物語- (Movement:2)

唯「おじゃまします。暑いから全裸になってもいいかな?」
蛍「他人ん家でいきなり脱ごうとするな」
唯「生まれたままの姿が、人間は一番美しいんだよ」
蛍「だからって脱ぐなよ。美しさなんて求めてねーよ」
唯「ボクは『暑いから』脱ぐんだ」
蛍「扇風機持ってくるから我慢しろ」

唯「あ あ あ あ あ あ」
蛍「扇風機で遊ぶな」
唯「ついついやってしまうよね」
蛍「宿題をすることになったわけだが、どうしてお

もっとみる