無題 Act:2 『朝ご飯できてるよ』
蛍「ふわぁ……おはよう」
舞「あ、おはようお兄ちゃん。朝ご飯できてるよ」
蛍「悪いな、いつもいつも」
舞「大丈夫だよ。もう慣れちゃったし」
蛍「じゃあいただきます」
舞「どーぞどーぞ」
蛍(……いつも通り、俺の分だけで三人前くらいあるな、朝食)
舞「どう?」
蛍「美味しいよ」
舞「やったー!」
蛍「最近本当に美味しくなったな」
舞「えへへ、そうかなー」
蛍(あとは量を適当にしてくれると有り難いんだけどな)
蛍「ご、ごちそうさま……」
舞「おそまつさま! はい、お弁当」
蛍「あれ、新しい弁当箱か?」
舞「うんっ、二段弁当じゃ足りなくなったから三段の弁当にしたんだ!」
蛍「お、おう……」
舞「お兄ちゃんにたくさん食べて欲しいから……」
蛍「そ、そうか……」
舞「えへへへ~……」
蛍(……くそっ、可愛いっ!!)
蛍(朝食で既に腹いっぱいなのに、昼も同じくらい多いって……)
舞「お兄ちゃん、そんな顔して、どうしたの?」
蛍「あ、いやあ、弁当が楽しみでさ!」
舞「まだ朝だよ? ふふふっ」
蛍「あ、あはは」
舞「お兄ちゃんは出された物を綺麗に食べられることだけが取り柄だもんね!」
蛍(俺の取り柄ってそれだけなのか……)
唯「それで、また弁当が大きくなったってことかい?」
蛍「そう。最初は一段、その次は二段」
唯「そして、今回は三段」
蛍「正直全部食えるかわからん」
唯「でも、食べちゃうと思うよボクは」
蛍「ああ、それが俺の取り柄だからな」
唯「取り柄?」
蛍「ああ、俺の取り柄は『出された物を綺麗に食べること』らしい」
唯「へえ……」
蛍「なんだよその顔は……」
唯「出されたモノを綺麗に……ねぇ」
蛍「何考えてんだお前は」
蛍「ん、お前、今日パンだけか」
唯「うん、そうだよ」
蛍「それだけじゃ足りないだろ。分けてやるよ」
唯「遠慮しておくよ。妹さんの愛情溢れるご飯をボクが手をつけるべきじゃないしね」
蛍「ちっ……」
唯「ちゃんと食べなきゃ、妹さんに失礼だろう?」
蛍「わーってるよ」
唯「ごちそうさま」
蛍「え、もうか」
唯「まあ、パンだけだしね」
蛍「俺もそろそろ……ごちそうさま」
唯「えっ、もうかい?」
蛍「まあな」
唯「すごく早いね」
蛍「別に普通じゃねえか?」
唯「うん、まるで早漏だね」
蛍「ちげえよ……」
舞「おかえりなさい、お兄ちゃん」
蛍「ただいま。……おっ、今日は唐揚げか?」
舞「うん! 鶏肉が安売りしてたから」
蛍「あ、買い物も行ってたのか」
舞「ちょっと買い過ぎちゃったけど」
蛍「……買い過ぎた? ってうわ! 山盛りの唐揚げ!?」
舞「うん、お兄ちゃん唐揚げ好きだから」
蛍(そ、それにしてもこの量は……)
舞「食べてくれる?」
蛍「……あったりまえだろー!!!」
舞「わーい!」
蛍(……舞にはついつい甘くなっちまうな……明日胃もたれしませんように)