無題"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲- (Movement:4)

蛍「舞、ほらこれ」
舞「なに？」
蛍「俺の学校の学園祭のチラシ」
舞「もうやるの？」
蛍「らしい。とりあえずもらっといてくれ」
舞「お兄ちゃんの学校、学園祭すっごく面白いらしいよ」
蛍「へえ」
舞「もー！　なんでお兄ちゃんがそんなに無関心なの！」
蛍「近さでしか決めてないからな」
舞「これくらい！　このくらい面白いんだって！」
蛍（……可愛い）

舞「この絵は誰が描いたの？」
蛍「知らん。同級生ってのは知ってるんだが」
舞「へー！　あ、美術部って書いてある」
蛍「すっきりしてて見やすいな」
舞「ねー。お兄ちゃんにもこういう才能があったらなぁ」
蛍「うちの家族は美術センスが無いからな……」

舞「お兄ちゃんのクラスは何をするの？」
蛍「とりあえず食べ物を出す」
舞「衛生管理はちゃんとね！」
蛍「おう」
舞「何を出すの？」
蛍「まだ決まってないんだよなぁ。モダン食事処ってことぐらいしか」
舞「モダン食事処？」
蛍「そうだ」
舞「そっかー……モダンな食事処……うーん、どうやってモダンな空気を出すのか悩み所だねっ」
蛍（アイツも同じこと言ってたなぁ）

・　・　・　・　・　・　・　・　・　・

唯「毎日毎日会議お疲れさま」
蛍「実行委員ってこんなに大変なんだな」
唯「学校が大きいから、緻密に決めないといけないんだよ」
蛍「そうだな……大雑把にやると上手くいかないもんな」
唯「そう。しっかり排卵日に計画的にね」
蛍「何　の　話　を　し　て　い　る　？」

唯「焼きそば、お好み焼き、たこ焼き……定番を三つやるのはいいけど、これだけだとね」
蛍「被ったクラスもあったぞ。流石に三つやるクラスはなかったが」
唯「メニューの多さは強みだね。あとはそうだね……」
蛍「服装とかも統一するといいかもな」
唯「体操服！」
蛍「マニアックだな！　モダンどこ行ったんだ！」

唯「ボク達のクラスは三つもメニューを出すんだ。それなら服装にお金をかけるのは得策じゃないよ」
蛍「でもなぁ」
唯「体操服というミスマッチ感と、そこはかとないいやらしさがたまらないじゃないか！」
蛍「そう言ってもなぁ」
唯「何故肯定してくれないんだい！？」
蛍「衛生面とか、火傷の危険がなぁ」
唯「ああ、なるほど」
蛍（すんなり受け入れやがった）

蛍「ただいま。……！」
舞「おかえりなさーい」
蛍「い、舞、その格好は！？」
舞「ああ、今日の授業、体育で終わりだったから、体操服のまま帰ってきたんだー」
蛍「そ、そうか」
舞「うんっ、あとで着替えるね」
蛍（舞の体操服……可愛い！！）

・　・　・　・　・　・　・　・　・　・

唯「あれよあれよと、もうすぐ学園祭だね」
蛍「口を動かすな、手を動かせ」
唯「一応腰は激しく動かしてるんだけど」
蛍「え？　ってなんだその動きは！　やめろ！」
唯「注意が遅いから突かれちゃったよ」
蛍「変換がおかしい！　それに周りに見られたらどうすんだ！」

蛍「それにしても、材料の量凄いな」
唯「クラスにまさかお好み焼き屋の人がいたなんてね」
蛍「宣伝してくれれば作り方も材料もタダって……」
唯「タダより高い物はないよ。頑張ろう」
蛍「そうだな」
唯「……ふう。これで材料について説明できたね」
蛍「メタ発言はそこまでだ」

舞「お兄ちゃん、学園祭のパンフもっかいちょうだい」
蛍「あれ、どうしたんだ」
舞「友達が欲しいって言うからあげちゃったの」
蛍「そうか。確かここにあったはず……ほら」
舞「ありがとー！　……やっぱり高校の学園祭って違うなぁ～」
蛍「他の学校でもこんなに大規模なのはそんなに無いだろうな」
舞「凄いなー……。！！！」
蛍「どうした？」
舞「な、なにこれ！」
蛍「ど、どうした？」
舞「早食い・大食い大会だって！！」

蛍「ああ、確か開催されるらしいな」
舞「お兄ちゃん出よう！」
蛍「え、なんでだよ」
舞「だって早食いだよ？　大食いだよ？」
蛍「いや、俺そんなに食えないし……」
舞「食費が浮くじゃん！」
蛍「そこかよ！」

舞「出ようよー」
蛍「そういうのは体育会系の部活連中が出てボロ勝ちする出来レースだから面白くないって」
舞「出ることに意義があるよ！」
蛍「やだよ」
舞「お兄ちゃん……」
蛍「うっ……や、やめろそんな瞳で見るな！」
舞「お兄ちゃんの凄いとこ、見たいな……」
蛍「ぐぐ……」
舞「……」
蛍「……うおおおおおお！　まっかせろぉぉぉぉぉ！！！」

・　・　・　・　・　・　・　・　・　・

蛍「ふぅ……間に合った」
唯「もう少しで漏れてたね」
蛍「これは早食い・大食い大会のエントリーだ。トイレの話じゃねえ」
唯「ふふっ。……それにしても、前日にエントリーなんて、どうしたんだい？」
蛍「妹にのせられた」
唯「なるほどね。君は妹さんが（性的に）食べちゃいたいくらい好きだもんね」
蛍「誤解の生じる言い方はやめろ」

蛍「よし！店内のレイアウトも完成だ！　いよいよ明日か……」
唯「ワクワクだね」
蛍「そうだな」
唯「ふふっ、ボクはそれ以上にワクワクしていることがあるよ」
蛍「なんだ？」
唯「君の早食い・大食い大会」
蛍「ああ……それも明日か。はぁ……」

蛍「なんか、明日って実感がないな」
唯「長い間準備してきたからね」
蛍「実行委員の仕事もあるし、クラスの出し物、それに大会も……はぁ」
唯「自由時間はないのかい？」
蛍「午後は空いてるぞ」
唯「じゃあ、ボクと一緒に回ろうよ、午後」
蛍「え」
唯「ダメかい？」
蛍「まあ、俺も一緒に回るやついねえし、別にいいぞ」
唯「ふふ、じゃあ決まりだね」
蛍「……おう」
唯「最高の学園祭になるといいな」
蛍「……ああ。そうだな。」

To Be Continued.