shinji

弦楽器製作家. 19歳の時に楽器業界に入りそれ以来ギター作り一筋にはや40年以上。 現在は長野県の蓼科高原(茅野市)で弦楽器(ハンドメイドのウクレレ、ギター)を製作しています。 www.seilen.co.jp

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弦楽器製作家. 19歳の時に楽器業界に入りそれ以来ギター作り一筋にはや40年以上。 現在は長野県の蓼科高原(茅野市)で弦楽器(ハンドメイドのウクレレ、ギター)を製作しています。 www.seilen.co.jp

マガジン

  • 市民タイムスリレーコラム掲載記事集

    長野県松本市の市民タイムスという新聞で、2015年6月から2021年5月まで、毎月1回コラム記事を担当していました。 自分自身、もう一度読み返してみたいなという気持ちもあったので、6年間に渡るコラム記事をマガジンにまとめてみました。 読んでみて感想などありましたらコメント貰えるとうれしいです。

  • 楽器作りのひとり言

    楽器を作る生活の中で感じたことをつらつらと書いています。

最近の記事

楽器作りにおいてのデザインとは

数ヶ月前に本屋で立ち読みして面白そうだったので購入した本2冊。 デザインとは何だろうかと考えつつ読了。 なんでしょうねぇ、デザインって。 装飾?機能?表現?解決策? 楽器を作る場合に関して言えば、デザインは見た目のみではなく結果的に弾き心地や音色に深く関係してきます。 そしてもちろんその美しさや音色は、将来的にその楽器を所有するオーナーの満足感にも関わってきます。 質実剛健的な無骨なデザインの楽器もあるでしょうし、煌びやかな装飾を第一にした楽器もあるでしょう。 一人一

    • 木材貯金 - 楽器製作家の新NISA対策

      ネットニュース見てると去年の後半あたりから「新NISA」なんて言葉がちらほら登場してますね。 
今住んでる蓼科の家と工房の住宅ローン組む時に銀行で「積み立てNISA」には入らされてて、お付き合いで月々1万円ずつ投資信託買ってたから、「おや?何か変わるのかな?」と思いながら色々調べてみた。 調べてみるとなるほど、今まで有った制限がだいぶ緩くなって投資をしやすくなったんだね。 というよりは、政府がより積極的な個人投資を勧めてるということなんだろうね。年金支給額も減ってくるし、負

      • 写真好きな人と繋がりたい?

        実は僕、写真好きだったりする。 19歳の時に何となく望遠鏡と一緒にローンを組んでオリンパスのOM-2を買って以来の写真好き、カメラ好き。 本当は望遠鏡を使って星の写真を撮ろうと思っていたんだけれど、星の写真はセッティングやら何やらがとっても大変で、何よりも(当たり前だけれど)天気の良い夜に真っ暗な山にでも行かないと良い写真は撮れない事がわかってテンション下がっていたところに、一眼レフでのポートレート撮影がなかなか面白いという事実に気がついてそっちの方にハマってしまったのだ。

        • 61歳

          61歳になった。 一般的には60歳になった時に還暦としてみんなでお祝いをする人が多いと思う。 干支が一回りするほど長生きをしたことを祝い、ちょっと昔だったら赤いちゃんちゃんことかを着せられてどんちゃんやった?あれ。 自分は1961年生まれなので、実は去年の今日が還暦を迎えた日。 だけれど何だか自分的にも特に盛り上がるものもなかったので、特別なお祝いは無しにして近所の寿司屋さんで軽く一杯としておいた。 まぁ寿司屋に付き合ってくれたヨメさんには日頃世話になっているわけだし、

        マガジン

        • 市民タイムスリレーコラム掲載記事集
          68本
        • 楽器作りのひとり言
          15本

        記事

          「フェンダーvsギブソン」読了

          DU BOOKS社から発行された「フェンダーvsギブソン」という本を読みました。 本文が500ページ近くある分厚い本で、久しぶりに読みごたえのある本だなという感じでしたが、ギターに興味のある人ならばきっと読み飽きずに読了できると思います。 僕はといえば、何冊かの本を並行して読んでいたことも有って2ヶ月がかりくらいでの読了ですが。。。 最近は以前よりも本を読むのに時間がかかっている気がします。文をじっくりと読んでその内容をしっかりと理解したいからなのかな?年齢のせいなんてこ

          「フェンダーvsギブソン」読了

          楽器製作で食べて行きたい

          楽器製作工房の経営をしているせいもあり、楽器(特にウクレレ製作)で食べて行きたいがどうすればいいのか、という質問を受けることがよくあります。 僕なりに、こんなふうに考えたらいいのかなという事を書いてみました。 そんな理由で、この文は万人向けというわけでもないので有料になっていますが、興味のある方は読んでみてください。 --------------------------- プロフィールにもごく簡単に書いてあるけど、僕は楽器製作を生業(なりわい)としています。 19歳でエ

          楽器製作で食べて行きたい

          ものづくりが本当に売るべきものは何だろう

          1990年代の半ばか、あるいは後半だったか。。。とにかくだいぶ昔の話です。 確かどこかの飲み屋のカウンターでたまたま隣り合わせて1度だけお話しした男性がいました。僕もまだ30歳代半ばの頃。時代はインターネット(ホームページ)黎明期。 彼は木曽方面(だったと思う)で陶器を作って暮らしていると言っていました。 物作りを志して技術を習得し、工房(釜)を持ち目標としていた生活を始めて何年かが過ぎたのだけれど、実際は生活は楽ではない。 そこへインターネットというものが出現して、彼は

          ものづくりが本当に売るべきものは何だろう

          始まり(八ヶ岳への移住)

          森の中、あるいは小高い丘の上にポツンと佇む工房、というイメージはずーっと昔から胸の中にあって、でもまぁどちらかと言えば具体的な目標とかいうものでは無くて、漠然とした憧れとして時々ふと頭の中にその風景が蘇ってきたりする。 つい最近も、山の中に住む木工作家、田淵義男さんの本を読んでその思いがまだ心にあることに気がついたし、今週もぶらりと八ヶ岳をドライブしている時に妄想がずいぶん膨らんでしまったりした。 セイレン工房は松本というとても素敵な街にあって、朝夕に眺めるアルプスは誰に対

          始まり(八ヶ岳への移住)

          第68話 「お世話になりました。」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2021年5月5日掲載分) 2015年から6年間に渡って書かせていただいたこのリレーコラム、僕の担当は今回が最終回となります。 長かったような短かったような。もう6年も経ったんだなぁと感慨深く感じています。 もの作りの人だから何か面白いことを書くのではないかとスカウト?されてのスタートでしたが果たしてそれらしい話ができたでしょうか。 「木と音と人と」。そんなもったいぶったテーマで書き始めたコラムですが、案外多かったのはお酒や食べ物の話だっ

          第68話 「お世話になりました。」

          第67話 「人気職業ランキング」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2021年4月5日掲載分) 今年はあちこちで早めの桜の開花が見られたようで、そんな話題が暖かな陽気と共に幸せな気分を運んできます。でも例年と違いすぎる気候には何となく不安もあります。うららかな季節が続いてくれると嬉しいけれど、その後に長く過酷な夏なんて事にならないだろうかと少し心配です。 ともあれ春は新しい季節の始まり。相変わらずのコロナ禍ではあるけれど、進学や就職で新たな環境でスタートを切った人も多いでしょうね。おめでとうございます。

          第67話 「人気職業ランキング」

          第66話 「人間と自然」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2021年3月6日掲載分) 八ヶ岳の緑の中をドライブ中に、突然視界に現れた真っ黒なソーラーパネル群に違和感を覚えたという話を以前このコラムで書きました。 僕自身は太陽光発電自体には全く反対というわけではありません。むしろ原子力発電に比べたらかなり安心できると思っています。ただその設置場所についてはよく考える必要があると思います。 緑豊かな八ヶ岳の山すそを人工的な黒い太陽光パネルが覆い尽くすのはやはり残念なことと思いコラム記事を書いたの

          第66話 「人間と自然」

          第65話 「ものづくりの起源」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2021年2月5日掲載分) 蓼科での生活もあっという間に3ヶ月。先日、自分たちの住む八ヶ岳山麓の観光スポットを把握しておこうとあちこちドライブ散歩をしている時に、黒曜石をテーマにした博物館を見つけました。 八ヶ岳の北エリアには良質な黒曜石の産地があり、3万年も前から旧石器時代の人々が加工してナイフや矢じりとして使っていたそうです。 大昔のものづくりはどんな様子だったのでしょうか。想像が膨らみます。 遠い昔、ヒトは森で木の実を取り根を掘

          第65話 「ものづくりの起源」

          第64話 「牛の歩みも千里」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2021年1月9日掲載分) 明けましておめでとうございます。 皆さん今年はどんなお正月でしたか? めでたいけれど油断の出来ない、初詣も新年会も実家への帰省もままならないという今までにない新年の始まりでした。この事態は数ヶ月では終わらないなという雰囲気が見えてきた年明けだったと思います。皆さんもくれぐれも気をつけて日々をお過ごし下さい。 さて丑年の2021年、僕は60回目の誕生日を迎えます。実は今年は僕にとっていろいろとアニバーサリーな年

          第64話 「牛の歩みも千里」

          第63話 「脱皮」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2020年12月9日掲載分) 前回のコラムにも書きましたが、我が家と我が工房は11月始めに蓼科に引っ越しをしました。 「引っ越し」といっても実際は荷物を運んだだけで、その後しばらくは何度も松本に戻って工房の片付けや引き渡しをしたり、住んでいたマンションの売却手続きをしたりとせわしない日々が続きました。 蓼科工房の荷物の整理や機械類の整備が終わって実際に楽器作りを再開できたのはやっと12月1日。10月の半ばに最後の楽器発送を済ませてからほ

          第63話 「脱皮」

          第62話 「蓼科移住」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2020年11月10日掲載分) 予定通り計画が進んでいれば、皆さんがこのコラムを読んでいる11月10日には僕は茅野市民として蓼科中央高原で暮らし始めているはずです。 11月最初の週に工房と住居の同時引っ越しという一大イベントを済ませ、ぐったりしながらもホッと胸をなでおろしている頃だと思います。 1年前に「セミリタイア」という題のコラムを書きました。自分なりのセミリタイアとして「いつかはもう少しゆったりと自分の”モノづくり”ができるようにな

          第62話 「蓼科移住」

          第61話 「我が家にオルガンがやってきた」

          (松本市民タイムス リレーコラム 2020年10月10日掲載分) 初めて見た時、そのオルガンは薄っすらと埃をかぶっていた。 古材屋の2階で、年代物の戸棚や古道具に囲まれてまるで古びた家具のようなふりをして静かに佇む木製の足踏みオルガン。最初に見つけたのはうちの細君で、ピアノの経験もある彼女はそのこぢんまりとした素朴な雰囲気に惹かれたらしい。 「これ、どうだろう?」という声に呼ばれて近づいてみる。 鍵盤を押さえながら木製のペダルを踏んでみると、スースーと風が漏れる音に混じ

          第61話 「我が家にオルガンがやってきた」