第67話 「人気職業ランキング」
(松本市民タイムス リレーコラム 2021年4月5日掲載分)
今年はあちこちで早めの桜の開花が見られたようで、そんな話題が暖かな陽気と共に幸せな気分を運んできます。でも例年と違いすぎる気候には何となく不安もあります。うららかな季節が続いてくれると嬉しいけれど、その後に長く過酷な夏なんて事にならないだろうかと少し心配です。
ともあれ春は新しい季節の始まり。相変わらずのコロナ禍ではあるけれど、進学や就職で新たな環境でスタートを切った人も多いでしょうね。おめでとうございます。
先日ニュースになっていた生命保険会社のアンケートによる人気職業ランキング。
1位が「会社員」ということで話題だったけれど、よく聞くとこれは設問などが今までと随分変わった上に、1位から5位までのそれぞれの得票も8.8%から6.4%と僅差で、断トツ会社員が人気というわけではないようです。そもそも「会社員」というくくりはちょっと幅が広すぎないかと疑問に思いました。
別のネットサイト「13歳のハローワーク」の調査ではプロスポーツ選手がトップ。2位ユーチューバー、3位薬剤師、4位ゲームクリエーター、5位医師、と続きます。
なぁんだ、やはりお金が稼げる職種が人気なんだねとも思えるけれど、見方を変えると「人を楽しませる仕事。幸せにできる仕事に就きたい」とも取れ、今どきの中学生が将来の仕事としてそう考えているのであれば嬉しいなと思ったりします。
そう思えば僕自身も今、人が楽しんだり笑顔になってもらえる物を作る仕事につけた事にとても感謝しています。
でもよく考えてみれば、どんな仕事も誰かを幸せにしています。大切なのは自分の仕事が日々どれだけ人を幸せに出来ているかに気がつける事なのかなと思います。
例えば、品物が宅配便で届いた時の幸せとか、レストランで美味しい食事をする嬉しさとかも、そこで働く人によって作られています。
若い頃、僕は自分の仕事が地味な日陰の仕事だと感じていました。ユーザーに名前を知られることの無い木ぼこりだらけの木工の仕事。でも自分は”縁の下の力持ち”になるんだ、と下請け仕事も自分の誇りと思って続けていました。
継続は力なりで、長く続けることでユーザーから名指しの注文が入るようになり充実感が増して来ました。
自分の仕事が世界を構成する一つの歯車で、それによって誰かが幸せになっていると知ることは大きな喜びにつながります。
どんな仕事も全て大切な仕事だと改めて感じます。