脊髄損傷の排便の場合によくある話として、上行結腸、横行結腸、下行結腸にある便を出す、出し切るということを聞くことがあります。 本気で言ってますか?と私はその人の顔を見てしまうのですが、そんなことを言ってませんよね? 看護師であれば、大腸の腸の輸送時間くらい頭に入っていますし、無理に排便を出すことのデメリットも理解できると思います。 ガンガン刺激性下剤や緩下剤を使用して、誰のための排便か良く分からず、看護師のために排便をしている人は、この記事を全て読んでください。 S状結
ベッド上での排便ケア時に看護師の一人が摘便をして、もうひとりがお腹を押すということがあると思います。 これ、本当にいいんですかね? 私は非常に危険なことで、便の排出にも悪影響があるのではないかと思っています。 私たちの事業所では、誰も強くお腹を押さなくても排便が出ていますし、便を押すときには、適切な姿勢、適切な場所、適切な角度、適切な力で行えば、便は出てきてくれます。 無理やりって、微妙ですよね。 強く押している人は、自分のお腹で試してください。 その時には、脊髄損傷の
排便にとって効果的なサプリはいくつかあります。 有名なのはイージーファイバーという食物繊維の粉末です。 糖尿病などにも効果があります。 詳細はご自身でお調べください。 2つ目は、同じような枠組みなのですが、グアーガム系のサプリです。 有名なのはサンファイバーですね。 免疫系にも良いそうです。 私は試しましたが、便が1日5回と出すぎて、逆に困ってしまいました。 元々、快便タイプなので必要がなかったかもしれません。 最後はビオフェルミンですね。 ヨーグルトやR-1など腸活のよ
当たり前のことで、記載するのも微妙なのですが、実践されていないことがあるので、一応、記載しておきます。 ベッド上で排便介助をする場合、身体をまっすぐにする場合と、座ったような屈曲姿勢のどちらが排便の適切かと思いますか? 自分の排便姿勢を考えれば当たり前ですが、屈曲姿勢ですよね。 なぜかと言えば、直腸肛門角が鋭角になること、看護師が肛門にアプローチしやすいこと、姿勢が安定すること、腹部圧迫(強くではありませんよ)を肛門方向へすると便が排出しやすいことなど色々とあります。 *
一定数、お腹にガスが溜まるという方がいます。 ガスが溜まると何が悪いかというと、腸蠕動がしっかり行われないため、腸輸送が遅延し便秘傾向になるということです。 そうなると腹部膨満になり食欲も低下しますし、気分不快も出てくることがあります。 なぜ、ガスが溜まるのでしょうか? 有名な話なのですが、お尻からでるガスは呑気(どんき)といって、ほとんど口から飲み込んだ空気と言われています。 よって、ストローや炭酸飲料などで空気が一緒に入りやすいですね。 ゼロにすることは難しいですが
脊髄損傷の方の排便障害を具体的に記載したいと思います。 実際には損傷レベルと、損傷程度で色々な状態がありますので、鵜吞みにはしないようにご注意ください。 大きくは、2つに分類します。 ①腸輸送の速度の遅延 ②便の排出困難 ①の腸輸送については、直接的に脊髄損傷が原因というよりむしろ、元々の身体の状態に起因することが多いと感じています。 もしくは、身体を動かさない生活、寝たきり状態、体幹を動かさない(回旋なども含め)により、機械的な動きが少ないことも腸輸送に影響があります
今年、とある排泄分野に強い看護系の学会で脊髄損傷者の排便ケアについて発表をしました。 私たちが行っている脊髄損傷者の排便ケアにおける排便時間、便失禁の頻度、便秘の頻度のデータを提示したものです。 *概ね60~75分、便失禁は半年に1度、便秘はほぼゼロというデータです。 もちろん、脊髄損傷者の排便の看護専門家は日本に5人もいないので、誰も質問はしてくれないのですが、通例のように座長から質問がありました。 質問:排便時間、長いですよね・・・、なんで長いんですか? 私:確かに
看護師として在宅分野で脊髄損傷者の排便ケアを多く関わらせてもらうようになってから、これはヤバイなと感じることがあります。 病院の看護師は専門機関でも知らないと思います。 それは、1時間や2時間と長くトイレに座っている方の脱腸(直腸脱)の問題です。 全員に生じるということではないのですが、長時間、トイレに座っていると直腸脱になるリスクが高くなると経験的にですが感じるようになりました。 トイレに長時間、座っていない人で、通常の看護ケアを受けていれば直腸脱にはなりません。 な
先ほど、以前に記載して投稿した記事を再度公開しました。少し忖度をしていましたが、気が変わり投稿です。 さて、今回のテーマは坐薬か浣腸です。 自立での排便をしている場合や、立位が可能でトイレで排便をしている方は、全く別の考え方ですので参考にしないでください。 まず、どちらを使用するかといっても、病院で坐薬だった、もしくは浣腸だったというのが、ほとんどの方の答えなのかと思います。 その選択プロセスでいうと、病院が一律に浣腸を選択している場合もありますし、浣腸で自律神経過反射
脊髄損傷者の排便ケアでは、看護師さんがお腹全体を「のの字」にマッサージをするのが教科書的なケア内容になっています。 私はこのマッサージを「おまじないマッサージ」と呼んでいます。 なぜ、「おまじない」かというと、看護師が念じていてリラックスさせるような効果程度しかないと考えているからです。 このマッサージで排便が出たことがありません笑 もちろん、このマッサージについて、私は論文は読んでいたうえで、この個人的見解です。 よくよく考えれば、おまじないマッサージが効果がないの
医学書には便の柔らかさは、バナナのような普通便が良いと記載されています。そうすると、便秘になりやすく、便の排出もしやすいという理由です。 理論的には良く分かります。 果たして、そんなことは私たち現代人は可能でしょうか? 大前提として便の固さがどのように決まるかというと、因子は100くらいあるのではないでしょうか? 水分量、食事(量、スピード、油、辛さ度、香辛料、食物繊維、ヨーグルトなどなど)、ストレス、生活リズム、運動、仕事、遊び、外出、旅行、交友関係、睡眠の質、細菌、
脊髄損傷者の排便管理は刺激性下剤を使用することが多く、同時に坐薬や浣腸を使用して排便管理をすることが多いです。 そうなると、何が起きるのでしょうか?? 脊髄損傷になる前は、直腸にある便(S上結腸の一部も)が一定量、貯留したら、その便だけを排出するというのが人間が本来、あるべき排便の姿です。 普通の状態で、「S上結腸や上行結腸の便を出すぞー」という人は変わった趣味の方以外はいないかと思います。 つまり、脊髄損傷になると、本来は出さない便まで、便を出し切ることが目標になって
脊髄損傷者は脊髄ショックになると便秘になるのは医学的に適切であり医療従事者であればコンセンサスが得られると思います。 ただ、本当に脊髄ショックを脱した後にも、自立神経障害による副交感神経優位の状態として、ずーと便秘なのでしょうか? 少し話が変わるのですが、私たちが旅行したり、生活環境が変わると便秘になり、家に帰ると便通が良くなる経験は多くの方がしていると思います。 これと同じことが、脊髄損傷者にも起きていると私は考えています。 つまり、病院という環境により便秘になるので
前回の書き忘れ、追加の話題になります。 脊髄損傷者の方の排便は曜日固定の排便となります。 これは、病棟での看護業務に合わせて曜日固定が設定されるからです。 例えば、月曜日と木曜日で排便対処、火曜日と金曜日がシャワー浴ということです。 病棟の別のグループでは、火曜日と金曜日が排便対処で水曜日と土曜日がシャワーということもあります。 各医療機関の病棟業務にフィットする形で曜日固定に排便日が組み込まれてきます。 良く考えてください。週に2回の排便です。 もともと、便秘傾向があ
前回の内容では、医師の排便ケアの限界について記載しました。 今回は、脊髄損傷の排便ケアを行う看護師の構造的な問題について記載します。 まず、病院の看護師が暇そうにしていることを見たことがありますでしょうか?いつも呼び出しや処置、情報共有、カルテ記載などで忙しくしていますよね。 そうなんです。 患者側からすると、ナースコールを押しても看護師が来てくれない、話を聞いてくれないなど、看護師の忙しさを感じますよね。 この「忙しい」というのが前提にあると、いかに効率的に脊髄損傷者
脊髄損傷の排便管理のスタンダードは刺激性下剤(ラキソベロン、シンラック、ピコスルファートナトリウムなど)があります。 詳細は下記をご参照ください。 処方の理由としては、脊髄損傷になると腸内の輸送が遅くなり、イレウス(腸閉塞)のリスクを防止することが主な考え方かと思います。 受傷後に刺激性下剤を使用することは、イレウスのリスクが高いため必要と思います。 ただ、受傷後の半年や1年後で車いすに乗車するような体が整ってきた状況で本当に必要かどうか、検証した医療従事者を私は知りませ