脊髄損傷者の看護師介助の排便ケアで坐薬と浣腸のどちらを使用するのか?
先ほど、以前に記載して投稿した記事を再度公開しました。少し忖度をしていましたが、気が変わり投稿です。
さて、今回のテーマは坐薬か浣腸です。
自立での排便をしている場合や、立位が可能でトイレで排便をしている方は、全く別の考え方ですので参考にしないでください。
まず、どちらを使用するかといっても、病院で坐薬だった、もしくは浣腸だったというのが、ほとんどの方の答えなのかと思います。
その選択プロセスでいうと、病院が一律に浣腸を選択している場合もありますし、浣腸で自律神経過反射が生じて坐薬にしたということかと思います。
ベッド上で介助排便を行う場合、浣腸が多数派ではないかと思います。
その理由は、単に作用時間と効果の強さです。
坐薬(新レシカルボン坐薬)は20分~30分で一定の効果がありますが、坐薬が気化して直腸が膨らんで直腸を伸張することが排便刺激となり排便が促進されるというメカニズムになります。
坐薬は体に優しく自然なメカニズムを使用して、耐性もない(繰り返し使用しても効果が低下しない)ということで使用することがあります。
坐薬の弱点は作用時間の長さと効果の弱さです。
浣腸液は、グリセリンという潤滑剤が入っている液体ですが、作用の強さは通常の身体であれば誰しも経験している下痢の排便の強さです。
人間の身体に進化の過程で体に悪いものがあれば早く対外に排泄物を排出するメカニズムが備わったため、直腸(S状結腸にあるかは知りません)に液体物があると早く便を排出しようという反射があります。
これを利用したのが浣腸液であり、液体物を直腸に注入することで、身体に早く便を出せという刺激となり、坐薬よりも早く便が反応します。
同時に固い便がある場合、グリセリンが入っているため摘便して便を排出しやすくなるというのもメリットがあります。
浣腸液の注意点としては、添付文書(浣腸液の使用方法が記載してある文書)にて連用は控えるようにと記載しています。
何日連続で連用なのかというのは記載していませんが、毎日、使用するということは浣腸液では良くないとされています。
その根拠は実験的に検証されていて、グリセリンが血液内に入って有害作用が出てくるのではないかということです。
興味がある方はネットでも閲覧できますので、探してみてください。
坐薬について、新レシカルボン坐薬について話をしましたが、刺激性下剤でもあるテレミンソフトというのもあります。
これは、刺激性なので腸全体を刺激するもので、新レシカルボン坐薬とは異なり、腸輸送を早めて便を出すため、便秘ぎみの方が使用します。
*レシカルボン坐薬にも腸全体を動かすという効果は一定あります。
この使い分けについては、何ともいないのですが、効果を判定する場合は、単に座薬を入れてから便が早く出たという時間軸だけではなく、終わる時間と便失禁の頻度についても効果判定する必要があります。
早く便が出たというのは、腸が刺激されて便が出たということになりますが、実際は必要以上に腸が動いてしまい、今日、排出しなくても良い便まで下りてきてしまい、その便が柔らかい便や水っぽい便にまでなると、便失禁してしまうということになるからです。
その効果判定についても、1回や2回で判断できるものではなく、3ヵ月単位で分かるものなので、医師に相談してもらいながら慎重に検討するものだと思います。
少し話を戻して、坐薬か浣腸ということなのですが、これは誰の、何を指標とするかで選定するというのが答えになるかと思います。
具体的に言うと、訪問看護にて排便をする場合、どうしても時間の管理があるため、作用機序が早い浣腸をメインで使用することになります。
私たちの事業所では、排便の出が悪い場合は、新レシカルボン坐薬を1時間ほど前に1本か2本、入れておくことで、身体に優しく、時間も短縮してケアを行っています。
坐薬を繰り返しいれて、1回の排便で10本以上、使用する方もいらっしゃいますし、その方の身体に合わせて、医師と相談しながら進めていってください。
私の記載スタイルは見返さず、思いついたことを一気に記載するため、まとまりがなく、最後のキレも悪い(疲れてくる)ことをご了解ください。