脱腸(直腸脱)について

看護師として在宅分野で脊髄損傷者の排便ケアを多く関わらせてもらうようになってから、これはヤバイなと感じることがあります。

病院の看護師は専門機関でも知らないと思います。

それは、1時間や2時間と長くトイレに座っている方の脱腸(直腸脱)の問題です。
全員に生じるということではないのですが、長時間、トイレに座っていると直腸脱になるリスクが高くなると経験的にですが感じるようになりました。
トイレに長時間、座っていない人で、通常の看護ケアを受けていれば直腸脱にはなりません。

なぜかというメカニズムを完全に説明はできないのですが、トイレに20分ほどあまり動かずに座っていると、直腸が落ちるような感覚が分かると思います。便座に座ることで肛門が左右に引かれる状態となり、上方から重さがかかり、排便により直腸が下ろされるなど複合的な要因が関係しているのではと推測しています。

リハビリ業界においては、C6の方の排便がトイレで可能になったと高々に自慢して情報公開していますが、とんでもない害悪を生み出している諸悪の根源の可能性すらあります。
C6やC7の方が排便自立を使用とすると、坐薬を何度となく繰り返して使用して、少なくとも2時間くらいは排便タイムになります。
普通に考えて、尋常ではないですよね。
脊髄損傷で排便自立ができるリハスタッフの皆さん(日本で15人~20人くらいでしょう笑)、一度、立ち止まって考えてみませんかね。
排便自立を目指すなということではありません。

脱腸は10年がかりで生じる合併症なので、在宅分野の情報をしっかりと収集して、本人へ説明した上で開始した方が良いと思います。
どのような腸の状態になったら、排便を止めるのか?
誰に相談するのか?
脱腸になった後はどのような治療があるのか?
脱腸になると、どのような症状がでるか?

これ、介入している脊髄損傷支援の看護師やセラピストは説明できないですよね?

本件について私は、とてつもない問題意識があり、自立すれば良いということの影として問題提起したいと感じています。

来年に学会発表してから記載したいなと思うのですが、在宅期の脊損は注目度が非常に低く、発表してもスルーなのでテンションが上がらないんです。

この記事を読んで、私はトイレ排便で脱腸になった、という方がいれば、事業所にでも電話してもらいたいですね。
是非、話を聞かせてもらいたいです。

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