医療機関の看護師の辛さ

前回の内容では、医師の排便ケアの限界について記載しました。

今回は、脊髄損傷の排便ケアを行う看護師の構造的な問題について記載します。

まず、病院の看護師が暇そうにしていることを見たことがありますでしょうか?いつも呼び出しや処置、情報共有、カルテ記載などで忙しくしていますよね。

そうなんです。
患者側からすると、ナースコールを押しても看護師が来てくれない、話を聞いてくれないなど、看護師の忙しさを感じますよね。
この「忙しい」というのが前提にあると、いかに効率的に脊髄損傷者の排便対処を行うのかということになります。

看護師は、
「今日の受け持ちの便出しは、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん。Aさんの検査が11時にあって、リハビリが13時から。あぁ、排便は終わるかなぁ。」
という状態です。
次に何が起こるかというと、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんに浣腸や坐薬を入れて、排便の同時を行います。
看護師は
「便が出た頃に来ますね。便が出たらナースコールを押してもいいですよ」になり、Dさんの浣腸を入れた後に、Aさんの排便対処を行うなど、矢継ぎ早に業務が進んでいきます。
排便がいつ終わるかという判断もできず、次の人に呼ばれたらまた排便対処ということになります。
排便の終わりの判断は、浣腸を入れて排便がない時点で終了です。

こんなこともあります。
前日の夜に刺激性下剤(シンラック、ピコスルファートナトリウムなど)の内服忘れがありました。
翌日に摘便をすると便が下りておらず、浣腸を入れても排便がない。
そうなると、その日の排便はなく、
「刺激性下剤を内服しなかったから便が出なかったね」という刷り込み(学習)が積み重なっていきます。

そうして、医療機関の看護師は、前提とする「忙しさ」、からの、「効率的な業務」、トドメで「排便には下剤が必要」ということになります。

この状態で、定期的な排便があったとします。
きっと、便失禁が定期的にあります。
この状態で在宅へ移行したら、何が起きるのでしょうか??

つづく

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