刺激性下剤の個人的考察
脊髄損傷の排便管理のスタンダードは刺激性下剤(ラキソベロン、シンラック、ピコスルファートナトリウムなど)があります。
詳細は下記をご参照ください。
処方の理由としては、脊髄損傷になると腸内の輸送が遅くなり、イレウス(腸閉塞)のリスクを防止することが主な考え方かと思います。
受傷後に刺激性下剤を使用することは、イレウスのリスクが高いため必要と思います。
ただ、受傷後の半年や1年後で車いすに乗車するような体が整ってきた状況で本当に必要かどうか、検証した医療従事者を私は知りません。
当事者から聞こえてくる声は、便がゆるく(水っぽい、もしくは泥っぽい)なって、何度も便が漏れてしまった。刺激性下剤でお腹が痛くなるという否定的な話です。
一方で、刺激性下剤を中止すると、看護師さんや家族が排便対処をするときに便が出ない。そうなると時間が長くなってしまったり、便が出ずに終わって便秘になってしまうという声もあります。
つまり、「刺激性下剤の使用→便漏れ」VS「刺激性下剤の不使用→便秘、長時間化、介護負担増加」のような構図となります。
これを解決しようと、酸化マグネシウム(カマ)やモビコール、アミティーザ、漢方などを調整して、答えを探す旅に出て、最後は行方不明になります。
脊髄損傷の排便について、専門と言える人がいないのが構造上の問題です。これを説明していきます。
まず、専門となるのが薬を処方する医師です。
医師は脊髄損傷者の排便対処を実際に行っていないので、処方が迷子になってしまいやすいです。医師は外来や入院の診療で手一杯であり脊髄損傷者の、排便ケアを実際に行うということは現実的に不可能です。排便ケアを行っているという医師がいるかもしれませんが、それは、数回、部分的に関わったというだけであり、継続的に行っているということではありません。
排便は日や時間、体調、季節、食事、運動等々の状況で変化があるため、評価をする期間にわたって医師が排便に関わるというのは現実的に難しいのです。
この内容で医師を責めているということではなく、医師としての限界と、この部分を誰が担っているのかということになります。
その役割は看護師になります。
残念ながら、医療機関の看護師と、訪問看護師の構造的な課題もあります。
長くなったので、つづく