なぜ病院は週に2回排便になるのか?
前回の書き忘れ、追加の話題になります。
脊髄損傷者の方の排便は曜日固定の排便となります。
これは、病棟での看護業務に合わせて曜日固定が設定されるからです。
例えば、月曜日と木曜日で排便対処、火曜日と金曜日がシャワー浴ということです。
病棟の別のグループでは、火曜日と金曜日が排便対処で水曜日と土曜日がシャワーということもあります。
各医療機関の病棟業務にフィットする形で曜日固定に排便日が組み込まれてきます。
良く考えてください。週に2回の排便です。
もともと、便秘傾向があり、排便の回数が少なかった人は別として、週に2回の排便は体にとって良いのでしょうか?
私はほぼ毎日、排便があります。
食べたものが24時間以内に排泄される腸内輸送が早いタイプです。
例えば私が脊髄損傷をして、週に2回の排便ですとなれば、週に1~2回は便失禁してしまうと思います。
脊髄損傷になった直後は脊髄ショックといって、腸内輸送も低下して、身体も動きませんし、食事も摂取できないため、イレウス(腸閉塞)の予防もあり下剤を使用して週に2回で良いかもしれません。
ただ、車いすに乗車してリハビリができるようになったら、排便が週に2回では排便回数が少なく、腸内で便の保持ができずに便失禁するか、腸内で便が硬くなって便秘になってしまうかもしれません。
医療機関の病棟看護師の立場からしたら、組織で動いており(看護師は軍隊のような指揮命令系統があり個人プレーはできません)、病棟業務を円滑に回すことが重要なことであり、週に3回や毎日の排便が必要だと感じていても、各患者に合わせた排便ケアをするのは難しいと分かっているでしょう。
一方で、組織で動かず、各看護師が良いと思ったことをできる環境があったとします。
それでも、私は患者に合わせた排便ケアを病棟で行うのは現実的には厳しいと思います。それは、脊髄損傷者の排便ケアは、想いのある看護師がいないときの方が多いからです。看護師がすべて自分で行うということができない以上、全体の総意に従わざるを得ない構造があるのです。
結局、トップや上層部がどうしたいか、力のある人、声の大きい人がどうしたいかということになる結論が待っているだけです。
そして、患者のためにと頑張った人は、上とケンカしてやる気を失うか、退職する運命が待っているだけです。
それは悲しいのですが仕方のないことです。脊髄損傷者の看護師が受け入れるべき定めなのです。
それではどうするかと言ったら、自分たちのケアを退院後に押し付けないということです。
脊髄損傷の経験のある医療機関は、自分たちのケアがベスト(ベターかもしれませんが)であり、在宅の訪問看護のケアがど素人のわからない人たちということで上から教えるということになります。
そうではなく、排便の基本的な考え方やその人の排便の特徴、病棟での残された課題を申し送り、在宅らしい排便ケアを探すというスタンスが重要だと私は考えています。
病棟の排便ケアで上手くいく人は対麻痺や動ける人、感覚がしっかりしている自立できる人であり、排便介助が前提となる人は自分らしい排便ケアを在宅の支援者と一緒に探していくことが必要になります。
自宅では、病棟のようなまずくて味気なくて栄養素やカロリーを重要視した病院の専門職は絶対に食べない食生活をしています。
家に帰れば、バランスも量もお酒も時間もめちゃくちゃです。病院より自由に遊びに出かける人も多いですし、家でリラックスして過ごせて生活の安定感も睡眠の質も変わります。
病院で行っている排便ケアを在宅で継続なんて思っている看護師がいたら、井の中の蛙であり、在宅生活を見て言っていますかと質問するといいでしょう。
病棟看護師の難しさや限界ばかりを批判的に書いてしまい、もう誰も私の相手をしてくれないのではないかと心配になってきたので、今日はこれで終わりにします。
私は医療機関と在宅の看護師がもっと一緒に学び合う必要があると強く思っています。その動きをしているのですが、私が奇行種ということもあってか難しいですね。