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あたりまえの日常を手紙に

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わが子が15歳になったときに渡す手紙です。
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2020年2月の記事一覧

#17 その花を咲かせることに一生懸命になればいい

#17 その花を咲かせることに一生懸命になればいい

(4歳の娘が15歳になったときに渡す手紙です)

「なんで、パパの足にはこれがあるの?」

一緒にお風呂に入ったとき、私のすね毛を指差して、君は私に聞きました。

あまりにも、唐突に、そしてストレートに質問されたので、思わず一緒に考えこんでしまいました。15歳になった君にとって、こんな話を聞かされるのは嫌なのかもしれませんね。まあ、昔の話です。

「これ(すね毛)はね、ホコリとか汚れとかそういった

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良質な雑談は、人生を豊かにする

まあまあ仲の良い友人(定義は自分で決めるとして)と1対1で話をするとしたら、どのくらいの時間、会話(対話)ができるでしょうか。

私は3時間、話せました。

振り返ってみれば、なかなかすごいことではないかと思ったりします。男同士、1対1。そんなに話すことがあるのか、と思ったりしますが、近況報告から始まり、話題を掘り下げていくと、案外話せるものです。

人は質問をされると、その答えを考える。いや、無

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#16 お月さまが教えてくれたこと

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

「今日、月がいないね!」

夜、一緒に近所のスーパーに買い物に行った帰り、君はこんなことを言いました。

「雲に隠れて、見えないんだね」と私が言う。すると

「雲には顔があるんだ。お月さまのこと見ているのかもね」と君は言いました。

まず、大人の私には、月が見えないなんて全く認識していませんでした。言われて空を見上げればすぐに気づくことなのに、君に言

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#15 自分とのお約束を守る人に

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

君は最近、日に日に凶暴性を増している弟に泣かされることが増えてきています。

殴られた、寝ているところに乗られた、おもちゃを取られた。姉である君は、決して自分から手を出すことはなく、やられても我慢しているようです。その姿を見ると、少し大人になった気がします。(もちろん、やり返していることもあります)

君は4歳にして、弟がまだ2歳だから、物事がわかっ

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失ったものを忘れるために(2)

失ったものを忘れるために(2)

もし、幼なじみの親友、大人になっても数ヶ月に1回会うような奴に、もう数十年会えなくなったら、あなたはどう感じるだろうか。

青春を共に過ごし、あの子が可愛いよなと語り合い、最近あいつが調子に乗っていると憤り、一緒にお酒やタバコを覚えた、あいつ。

しかもその理由が、幼なじみが人を傷つけ、取り返しのつかないことをしていたことであるなら。

この文章には、友を批判する気持ちは一ミリもない。むしろ自分を

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失ったものを忘れるために

失ったものを忘れるために

全ての人間関係のうちで、最上なものは友情である。
内村鑑三

幼馴染であり、親友として、長い時間ともに過ごしてきた友人がいる。

何度、寝食を共にしたかわからない。

そんな友人と急にもう会えない状況になった。
やむを得ない事情。彼は取り返しのつかないことをしたのかもしれない。

詳細はわからないものの、もうおそらく数十年は会えないだろう。

わかりにくい文章で、申し訳ない。
ただ、親友を失った気

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#14 できるようになったよ

(4歳の娘が15歳になったときに渡す手紙です)

電車に乗ったとき、君は目についた広告のひらがなを読むようになりました。

漢字やカタカナがまざったものは難しいようだけど、ひらがなだけの文章は、元気よく読んでいる。

そんな姿を見て、少しでもできるようになったことはどんどん自分から行動する大切さを学ぶ。大人になると、ある程度できるようにならなければ、人前で披露してはいけないように考えたりする。

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#13 お先にどうぞ、と言える人に

#13 お先にどうぞ、と言える人に

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

先日、君は公共施設でトランポリンやボールプールがある夢のように楽しい空間にお出かけしました。

当然、君は大興奮。
最後、入れ替え(退場)の時間になっても、帰りたくないと大泣きでした。

そんな中、大人気の乗り物(コロコロ転がる大きなドーナツ状の遊具。ゴム製で空気で膨らませるやつ)があり、穴の中に入って君もコロコロ転がって楽しそうでした。

そこで、

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人の振り見て、我が振り直せの巻

人の振り見て、我が振り直せの巻

「申し訳ありませんが、返金することはできません」

ある検定試験に申し込んだ際、誤って2回クレジット決済を行ってしまった。不注意と言えば、それまで。ただ、本2冊買うのとは、わけがちがう。同じ人間が同時刻に、同じ試験を2人分受ける意味はない。

そこで、問い合わせ先にお電話をし、返金希望の旨を伝えました。

最初は、「ちょっとお待ちくださいね」と明るい声で言われるものの、保留音が終わった後、電話の相

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心から出た言葉に、曖昧さはない。

心から出た言葉に、曖昧さはない。

「今日のお弁当はすごいよ、期待してて。絶対好きなはず」

家を出るとき、奥さんは私にそう言い切った。

私の感覚からすると、「期待してて」と自ら相手の期待値を上げるような言葉はあまり使わない。まして、絶対とか言葉は選ばない。

けど、その素直で真っ直ぐな物言いに、その言葉を不思議にも自然と受け入れることができました。ストレートに言葉を伝えられる人の魅力を感じた朝。この不思議な気持ちを掘り下げてみた

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人のために頭を下げる人はカッコいい

人のために頭を下げる人はカッコいい

「うちの部下がご迷惑をおかけしました」

そういって、深々と頭を下げる。

よくある風景ですが、よくよく考えてみると、すごいことだと私は思います。

先日、社内で異動があり、新しくオフィスに異動してきた人の挨拶が行われる。11時開始予定であったが、その人がその時間にいない。さっきまでいたのに、席を外している。

そこで、異動してくる部署の部長が「貴重なお時間をいただいたのに、申し訳ありません」と頭

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NO.1 おやすみなさい

NO.1 おやすみなさい

人形を大切に抱えて寝ている、我が息子。
普段はいたずらばかりしているが、そういう場面になるとやたらとかわいく見える。

にくいな、この野郎。

ふと、考えてみると、長女(4歳)のことばかりを文章に残しており、長男(2歳)に関しては、何も書いていないことに気づく。

どこの家も、一番目の子が優先され(丁寧に扱われ)、下の子は放置気味ではないか、と勝手に思っている。そんなことばかりではないのはわかって

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#12 出るのも入るのも自由

#12 出るのも入るのも自由

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

君は、公園においてある遊具で全力で遊んでいる。

さっきはここから登ったから、今度はこちらから。
ちゃんとどこから登ったのか、どこから降りたのかを覚えている。そもそも、すべり台の部分、階段の部分、ロープの部分と遊具には、決まったルートがない。

ここからスタートしてください、といった場所はない。ここから降りてくださいといったものもない。

とにかく自

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#11 ちょっとだけ難しいが、楽しいはず

#11 ちょっとだけ難しいが、楽しいはず

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

先日、君は久しぶりに自転車に乗りました。

私が、外出から帰ってきたタイミングで、一緒に川沿いの道に出かけました。帰ってくる時間が遅くなり、もうすぐ日が暮れる薄暗い時間。「帰ってくるのが遅いよ!」と君が全力で怒っている姿を見て、申し訳なかったことを覚えています。

久しぶりに乗った自転車、君は何を思ったかスッとお尻をサドルから離し、立ち漕ぎをし始めま

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