- 運営しているクリエイター
#3
5 46 詩集 リバイバル おまけトーク(日常を読み解く)
詩集 百花繚乱
「水仙」
黄泉の国の花にして 冥界に捧げられた花
仙という天の使いがいるとしたら
地へと降り立てば
天国のような安らぎをもたらし
天へと舞い上がれば
彼岸へと追いかける足を止めて救いを授け
水へと降り注げば
幻想的な風景に心の真実を告げるのかもしれない
水に映った我欲 自惚れ 自尊心までは隠せはしない
瑞々しい感性と神秘的な 心が持つ美しさも映し出す
水面に映る大地と空は
5 45 詩集 リバイバル おまけトーク(バランス調整)
詩集 百花繚乱
「山茶花」
風が吹けば寒さ募り
一枚ごとに力尽きるように散っていく
ひたむきな愛のような
時は待ってくれない
空は瞬く間に茜色に染まり
田園は黄金に輝き
海は白銀に煌めいたかと思えば
陽は瞬く間に沈んでいってしまう
風が吹けばまた一枚
連れ去られるように舞い散り
寒々とした枝が残される
風が吹けば揺れてひらひらと地面で踊り
風が止めば花片を地面に敷き詰め
歩む手を取
5 44 詩集 リバイバル おまけトーク(意志の力の鍛錬)
詩集 百花繚乱
「木瓜」【ぼけ】
枝は真っ直ぐに伸びることに拘り
我が道を突き進むが故に互いにぶつかりながら
譲り合うかのように 道は曲がりくねる
咲いた花は色を決められないかのように
紅や白と曖昧な輪郭を辿る
地味であり 華やかさもない
容姿に取り立てて優れるものもない
唯一あるのは 花であり
来るべき時に必ず咲き
目立たずとも香りは美しいということだけ
在り方は平凡だが
花であること
5 43 詩集 リバイバル おまけトーク(365日)
詩集 百花繚乱
「紫式部」
古来より伝わる至高にして至宝の色
清らかであり誇大せず
ありのままの姿にして洗練している
本質とは
何かを大きく語り 魅せ 引き寄せるものではなく
存在が必然的に醸し出し 雷のように響くもの
愛を求め
語らずとも
彼女は愛を授かる
我欲ではなく叡智によりもたらされる
調和という聡明な哲学によって生み出される
#3 月と太陽
「朝と夜」
闇を光が射抜き 朝が
5 42 詩集 リバイバル おまけトーク(重みについて)
詩集 百花繚乱
「楓」
秋が深まり緑薄れ
寒さが募り紅滲む
陽が注いだように萌える色
去りゆく温もりを恋しく歌う
この世から失われつつあるものを
大胆に地上に現す天才的な芸術家
一時の謳歌
木枯らしが吹けば遠慮がちに音色を引っ込めてしまう
代わりに緋色が大地に降り注ぎ乱舞する
太陽の燦々と輝く光を模すように
敷き詰められた赤い絨毯に余韻を残して彼らは去る
#3 月と太陽
「迷い」
5 41 詩集 リバイバル おまけトーク(立ち止まる)
「竜胆(りんどう)」
声もなく 滴が零れた
心が流して 瞳から溢れた涙
零れた滴を受け止めたのは見上げる花
足下で寄り添うように 静かに揺れていた
どんな悲しみでも あなたの悲しみなら好き
囁いたのは愛の歌
涙が止まる時
星を見上げている 足下の花は見えない
彼方に煌めく光を見つめている時
音色は聞こえない
いつしか必要とされなくなる 寂しい愛情
星のように温かな愛の歌
#3 月と太
5 38 詩集 リバイバル おまけトーク(変わらないこと、変わること)
詩集 百花繚乱
「蕎麦」
野山に抱かれる白い宝石のような
一面に広がる黄金の稲穂のような
日常という身近な風景に広がるように
心に触れた時
いつかの風景に束の間の旅をする
温かなものにもう一度触れたくなる
懐かしい思い出
#3 月と太陽
九章 「命」
それは一つの爆発 全ての始まり
途方もない遙か彼方の昔
それは一つの光 瞬きの間
世界の全て 時の始まり
時間が経ち 時が巡り 塵が集
5 37 詩集 リバイバル おまけトーク(人の成長について)
詩集 百花繚乱
「釣船草」
船は揺れる 風によって 進んでいる
見えざる波を 彼方の空に抱かれて 銀河の間を
旅路に痛みは要らない 苦しみも要らない
旅は楽しくなければ 微笑むように船は揺れる
満ちるのは月夜のような安らぎと
光のような喜びであればいい
小さき旅人が乗り入れば
一時の安らかな旅路を行くのだろう
旅はどこに行き着くのだろう
風に運ばれ 訪れるのは終わらない唄
旅は終わらな
5 36 詩集 リバイバル おまけトーク(電球について)
詩集 百花繚乱
「葦(あし)」
一面に揺れる茶畑のような幾万の囁き
しなやかな腕は指揮者のように風に揺れる
姿一つ一つが音符のように
聞こえない音楽がここに奏でられたのだろうか
ただ己のままに 求めることなく
風に従順となり 音は舞い降りる
去りゆく陽が寂しげに微笑む
まだ演奏は終わっていない
陽は沈んで冷たい風が流れ込み
別れは哀愁を誘う
奏でられた楽曲は終わることはない
陽が沈めば
5 35 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(ずれについて)
詩集 百花繚乱
「菊」
瞳はいずれ閉じて
鼓動はやがて止まり
息吹はいつしか消える
花はいずれ枯れて
星はやがて消えて
命はいつしか夢になる
無垢に輝き 藻掻きながらもいずれは
偽りに揺れ 鮮やかな瞳はやがて
影を宿してゆっくりと思慮深く瞬き いつしか真実を映すようになる
大きな亀のように悠久な時を歩み
真っ白な鶴のように清らかな温もりを残し
草を撫で 木と賑わい 花を揺らし 海の波を舞
5 34 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(老いについて)
詩集 百花繚乱
「金木犀」
鳥を呼ぶ歌は風の香り
安らぎと優しさは束の間の永遠だった
詩が終われば余韻が香る
風が吹けば運ばれた幸せに名前はなかった
映し出された月に咲く花
黄金の木が光を浴びて煌めく姿が湖に映る
山の息吹が大地を撫でて空へと舞う
湖は小波たち応えるかのように踊る
空は魅せられて雨を呼ぶ歌を奏でる
きっと大地は美しい香りに恋をしたのだろう
色んな愛の言葉を用意したのだろう
5 33 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(被害者意識=無力感)
詩集 百花繚乱
「彼岸花」
揺れた香りは日溜まりのよう
触れた花片は夢のよう
輝く太陽と闇夜に咲いた 眩い月の物語
触れた指先から心の奥に染みこんだもの
限りある一瞬の中で永遠を願う瞬間
揺れた花片は風に舞い上がり
空へと羽ばたいて
辿り着いたのは河の向こう
手を伸ばすように名前を呼ぶ
足下には囁く赤い花
こっちに来てはいけない
囁く花が揺れる風に懐かしい香り
抱きしめた花が受け止めた
5 32 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(人間関係の発見)
詩集 百花繚乱
「桔梗(ききょう)」
大地に蒔かれた種
空との約束
風船となって空へと昇る蕾
風前の灯火のように淡く 陽炎のように儚い
今にも消えてしまいそうな
偽りや余計な飾りは要らなくて 脱ぎ捨てる
いつか帰る場所は地上
咲く花は星となる 空に応えるように
真っ直ぐに空へと伸べる手 果たされる誓い
約束は音を立てて崩れるというのに
叶う時は音も立てずに人知れず実る
思想詩集 夢を探し