5 46 詩集 リバイバル おまけトーク(日常を読み解く)
詩集 百花繚乱
「水仙」
黄泉の国の花にして 冥界に捧げられた花
仙という天の使いがいるとしたら
地へと降り立てば
天国のような安らぎをもたらし
天へと舞い上がれば
彼岸へと追いかける足を止めて救いを授け
水へと降り注げば
幻想的な風景に心の真実を告げるのかもしれない
水に映った我欲 自惚れ 自尊心までは隠せはしない
瑞々しい感性と神秘的な 心が持つ美しさも映し出す
水面に映る大地と空は 実態ではなくとも
果てにこそ 真実を湛えているのかもしれない
眠りの果てに 永遠の彼方に 目覚めとの狭間に
#3 月と太陽
「夜の眠り」
町が寝息を立てる頃
月も細い体を横たえている
ありとあらゆる想いを
夜は朝へと連れていく
訪れる眠りに
束の間の安らぎを求めている
闇に包まれて眠る時
抱かれるその深淵は
誰よりも優しく
寄り添っている
「夜明け」
世界を包む 夜
月が浮かぶ 空
波の揺れる 海
払拭されていく 闇
輪郭を取り戻す 船
動きだす 今日という日
力尽きて眠っても 夜明けに託して
散らばった心を集めるように
夢も希望も心に詰め込んだ
なけなしかもしれなくても
立ち止まってはいられない
行きたい世界へ行くために
まだ見ぬ未開の地を求めて
航路は自分だけの冒険譚
目指す光は辿り着きたい場所を指し示している
瞳の奥の 胸の中に なりたい自分を照らし出している
逆風と吹き荒れる嵐の中で 船は進んでいく
舵取りは自分次第だから 足を止めても歩み始める
思いの岬から 夢が始まり
灯台の光のような 勇気を携えて進んでいく
生きようとする意志が 何度だって背中を押してくれる
過去がいくら押し寄せても 何度でも超えていく
見つめる未来があるから今日も行く
――あの地平線へ――
終章 「光」
明日が分からないと不安になる
闇は見えないから夜が怖くなる
ふと見上げた空に 月明かりが
太陽の光を示している
光が闇を射抜き 明日へと導いている
闇に包まれている未来を 今日という時へと連れていく
光は今に舞い降りている
月は太陽に照らされている
誰もがそうであるように
必ず訪れる空の彼方に
今日という陽を信じている
光を胸に
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