5 41 詩集 リバイバル おまけトーク(立ち止まる)
「竜胆(りんどう)」
声もなく 滴が零れた
心が流して 瞳から溢れた涙
零れた滴を受け止めたのは見上げる花
足下で寄り添うように 静かに揺れていた
どんな悲しみでも あなたの悲しみなら好き
囁いたのは愛の歌
涙が止まる時
星を見上げている 足下の花は見えない
彼方に煌めく光を見つめている時
音色は聞こえない
いつしか必要とされなくなる 寂しい愛情
星のように温かな愛の歌
#3 月と太陽
「歩み」
時々 恐くなる 未来が見えなくなるふとした瞬間に
全てが足下から崩れて これまでの歩みが無駄だったかのように 思う時がある
泣いても 涙は救いにもならない
自分を責めても 何の慰めにもならない
星の数ほど出逢いを繰り返して
大切にしたいと想えたことが
星のように世界を照らして
傷痕が癒される瞬間を希っている
時間は関係がなくて
たった一瞬で
奇跡のように
起こる時がある
生きること 死ぬこと
秤にかけて 命あることを選んで
信じて 生きてきた
握りしめているのは
希望と呼べるほどの確かな光ではなくて
この手にとってはかけがえのない今を
歩き続けている
「安らぎ」
光の瞬く混沌
風の漂う静謐
月の輝く深淵
命はこの世界に
閉じこめられている
星のように
花のように儚く 虹のように曖昧で
雷のように迸る衝動は 洪水のように
闇を魅せる
いつか命が終わる特記
見上げる星となるのなら
あの星は孤独だろうか
世界の果て 花さえも咲かない終焉の地
手を伸ばしても 決して届かない
全てを光にして放つ 言葉の代わりに
天に咲く
大地に縛られた影を解き
命のように輝いている
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