5 35 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(ずれについて)





詩集 百花繚乱
「菊」

瞳はいずれ閉じて
鼓動はやがて止まり
息吹はいつしか消える

花はいずれ枯れて
星はやがて消えて
命はいつしか夢になる

無垢に輝き 藻掻きながらもいずれは
偽りに揺れ 鮮やかな瞳はやがて
影を宿してゆっくりと思慮深く瞬き いつしか真実を映すようになる

大きな亀のように悠久な時を歩み
真っ白な鶴のように清らかな温もりを残し

草を撫で 木と賑わい 花を揺らし 海の波を舞い上がらせ
大地を駆け抜け 空へと抱かれていく

残したものは何だったのだろう
余韻はきらきらした陽のようで 澄み渡る川のようで

終わってしまえば一瞬だった
もう遠い日々

道がどうかいつまでも続きますように
道を歩む人がどうか元気でいますように
最期には微笑みが舞い降りる旅路でありますように

思想詩集 夢を探して
「答えを探して」

答えが分からないから不安になる
大丈夫と誰かに言ってほしくなる

誰かに縋りついて 自分をどこか切り捨てている
何かのきっかけで壊れてしまいそうになる 自分を見失っていく

自分自身を自らの手で蔑ろにしている
大切にしたくても術が変わらない

自らの道を問われても分からない
見つからなかった時が本当の始まり

どうしたいのかを 心に問いかけ始める

海の奥にある宝石を探すかのように
闇の彼方に輝く星を見つけるように

ようやく足が 止まった時間が 動き始める

決めたことが道を創る
選び取ったものが正解

誰もこの人生を替わりに背負える人なんていない
自分だけの道だから信じてあげてほしい

どれだけ迷っても 傷ついても
自分だけの人生だから好きなだけ時間をかけたらいい

壊してしまったらやり直せばいい 散ってしまったら拾い集めればいい
失ってしまったら取り戻せばいい 取り戻せなかったら進めばいい

信じるということは
意志と覚悟に支えられている

「信じる」ということは 「選ぶ」ということ
かけがえのない道を 幸せというのだから

#3  月と太陽
四章「水」

―流れている―

この世界を 命の中を
巡り 還っていく

大地を流れ 空へと昇り 風に従い
重力と共に 天から地に降りてくる

全ては離れているようで 実は繋がっている
導かれるような 運命のように

時というものが見えるとしたら 水のような姿かもしれない
重力が見えるとしたら 雨のような姿かもしれない

大地に降り注ぐなら 零れた涙はどこへ向かうのだろう
心から溢れた涙に映るのは この世界かもしれない

涙の薫りは海に似ている 生まれた場所だから
涙は空ではなく 海へと繋がっているのかもしれない

この瞬間も世界のどこかで雨が降っている
この空が晴れていても どこかで泣いている誰かを思う

雨が降っているから
今日は泣かなくて済みそう
空が代わりに泣いてくれている

詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。