5 34 詩集 思想詩集 リバイバル おまけトーク(老いについて)
詩集 百花繚乱
「金木犀」
鳥を呼ぶ歌は風の香り
安らぎと優しさは束の間の永遠だった
詩が終われば余韻が香る
風が吹けば運ばれた幸せに名前はなかった
映し出された月に咲く花
黄金の木が光を浴びて煌めく姿が湖に映る
山の息吹が大地を撫でて空へと舞う
湖は小波たち応えるかのように踊る
空は魅せられて雨を呼ぶ歌を奏でる
きっと大地は美しい香りに恋をしたのだろう
色んな愛の言葉を用意したのだろう
唇を塞ぐような雨音が香りを消してしまう
宴は束の間の幕を閉じてしまう
言葉は真実でなければ届かない
語る必要はないと風は吹き
余計な言葉も要らないと香りは消えていく
秋雨と雨風は子守歌のように奏でられ
願いを込めて大地は瞼を閉じていく
木枯らしが吹けば雪の足音
美しくも儚い香りが告げる季節の訪れ
思想詩集 夢を探して
「美しい心」
心は美しい
小鳥が愛を唄うから
心は美しい
愛を注ぐ瞳に光が宿るから
心は美しい
手を差し伸べる温もりに優しさが舞い降りるから
心は美しい
争いよりも平和を愛するが故に静けさが降り注ぐから
心は美しい
瞳に映るこの世界が美しい
心は美しい
誰も理解をしなくても 泣くのだから
#3 月と太陽
三章 「雪」
ひんやりと肌に触れて 雫に変わって滴る
次から次へと 消えていくように
体温を余韻のように残していく
一つ一つが感情だとしたら
何を届けに来たのだろう
風に身を任せ 時に身を委ね 重力の導きによって
降り積もる 雨のように流れるのではなく 時が積み重なるように
留まって何を残そうというのだろう
いずれ消えて無くなってしまうというのに
音の全てを飲み込んでいく
花びらのように舞うのではなく
雨のように注ぐのでもなく
星のように落ちていく
この手が届く百の出会いの中で
出逢う間もなく千の別れがあるように
触れる限りものを確かに身体で感じている
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