5 38 詩集 リバイバル おまけトーク(変わらないこと、変わること)


詩集 百花繚乱
「蕎麦」


野山に抱かれる白い宝石のような
一面に広がる黄金の稲穂のような
日常という身近な風景に広がるように

心に触れた時
いつかの風景に束の間の旅をする
温かなものにもう一度触れたくなる

懐かしい思い出

#3  月と太陽
九章 「命」

それは一つの爆発 全ての始まり
途方もない遙か彼方の昔

それは一つの光 瞬きの間
世界の全て 時の始まり

時間が経ち 時が巡り 塵が集まって星となり 星が散って塵となり
訪れる今日という日に
生まれ 眠るものたちのこと

果てしなく遠い 手の届かない昔 ここは海の中だったのかもしれない
一面の草原で 雪原で 渓谷だったかもしれない
命が辿ってきた道のりが 後ろに眠っている

どこから来たのか どこへ行くのか

何が残るだろう 時が全てを攫うように 失われてしまうのか
何のための生なのか 何のために残すのか

時間はどこに流れていくのか

誰も知り得ない場所で 無音の産声を 静かな鼓動を
瞬きと共に生涯を終える星の残光が 緩やかな時に乗ってこの目に触れる

光は語りかけている

生きているということは 世界に刻まれている
過去になろうとも 生きた時間は確かに この世界にあったのだと

間章
―道―

拾ったり 零したりを 繰り返して
自分なりの確信を掴み取ってきた

一つの絵を完成させるように
できるものを選び取ってきた

何度も繰り返す中で
同じように見えてきっと違うものだった

辿り着くまでに辿った歩みは
日々を束ねた標だった

道を作るようにして
線路が敷かれたなら 地平の彼方へと進むために

繋がっていって 結びつく未来は
過去に支えられて描かれてきた道

―人―

人は歯車のように 人生を回している

噛み合いながら 摩擦を生みながら
意味が音を立てて 火花を散らしている

たった一つしかない
自分だけの場所を探して

巨大な輪は 回っている

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