聞きたくなんかない
その言葉に、私は何も言わない。拒絶もしないし止めもしない。腑の底で不快感が蠢いているのを、静かに見ている。いっそ累積して爆発して仕舞えばこの汚い臓腑が開陳されるだけなのかもしれないけれど溜まることさえなく吹き抜ける。それは梅雨の夜に駆け抜ける生臭い風によく似ていた。やめてくれと伝えればきっと皆は従ってしまうのだろう、恐怖政治にも似た強迫観念を押し付けるのはきっと何より簡単だ。そこまで人として落ちぶれたくはないと思える自分は好きなんだ。されどずうっと蠢いている不快感を無視しきれ