おんげんがかり
私が移動ドで楽譜を読む時の方法や、楽譜から感じとっているとこを、なんとなく不親切に解説します。
合唱団の音源係をやっていて、特に楽譜の読み方について色々と考えるところがあり、教える側・教わる側の皆さんのお役に少しでも立てば、と思い、少し書き記しておくことを思い立った。 長い間継続して書く内容でもないので短期集中になると思うし、ある程度まとまった情報を残すためにも気負わずに書いていきたいと考えている。説明が足りなかったり、場合によっては間違っていたりということもあるかもしれないが、そのあたりはご容赦いただき、日々の練習に活かしていただければ幸いである。 主に私がどうや
移動ドが固定ドに比べて不利なもののひとつに転調がある。つまり、調号が変わって調が変わると、移動ドではそれに伴ってドが移動するので、階名の読み替えをしなければならない。 転調は楽譜の中では比較的重要なイベントに位置付けられるので、普通は複縦線を書いて調号を書き直す。このとき、フラットやシャープが減る場合や、フラットからシャープ、シャープからフラットに変わる場合は、シャープ・フラットではなくなる音にはナチュラルが書かれることが多い。また、次の段から調が変わる場合、その予告で前の
音楽をやっている人はピアノを弾けるとまでいえなくても、だいたいはピアノのCの位置くらいは知ってることが多いだろう。やはり知っていた方が便利なので、知らない人はこの機会にぜひ覚えるといいだろう。 ピアノの鍵盤は白いのが手前、黒いのが奥に並んでいて、黒いのは山のように上に出っ張っている。ちなみにピアノ似にたチェンバロという楽器は白黒が逆である(見たことないけど)。 山、つまり黒い方は二つと三つに分かれている。どんぐりさんのおうちという歌にあるように、二つのお山の左手前がド(C
この調子でハ音記号も行けてしまう。 ハ音記号というのだから、もちろん音部記号なのだが、普通の人は一生見ずに終わることもある。一方で、ビオラやファゴットを演奏していると頻繁に見ることになる。私が初めて目にしたのは高校の吹奏楽部でファゴットのお友達の楽譜を見た時である。「なにこの記号?」とか言った覚えがある。 ハ音記号というくらいだからCの位置を示している。記号はCをひっくり返して上下につなげた格好をしている。手書きの時はKとか書かれてしまうかわいそうな奴である。 ふたつつ
調号があってもやることは同じ。楽譜に書いてある調号(調号だけでいい、音部記号は無視していい)からドの位置が分かったら、そこに適当に音符を書いて、自分が読みたい音部記号のCの位置に点を打つ。 音符と点が点打ち法で読める距離にあるなら、そのまま音部記号・調号を取っ払って、打った点を自分の読みたい音部記号で読めばよい。 点打ち法で読めない距離になった場合、ヘ長調・ト長調系の位置に点があるはずなので、ヘ長調もしくはト長調だと思って読めばいい。つまり、ドになる位置とソになる位置をし
移動ド読みの応用で音部記号の違う楽譜を我が物のように読むことができる。 音部記号とはト音記号とかヘ音記号とか言ってるやつのことで、この他にあまり見慣れないハ音記号というやつがいる。音部記号は五線のどこがCになるかを決めている大変重要な記号である。飾りではないのだ。五線を書いたらまず音部記号を書くべし。 ト音記号はその名の通り、ト=Gの位置を示している。英語ではG clefである。どこがGになるかというと、ト音記号の渦巻きの始まり部分である。だからト音記号は渦巻きから書き始
これで調号15種類のうち、11 種類まで移動ドで読めるようになっているはずである。残りは4種類。 今まで説明してきた調はCの近くにドがくる調ばかりであった。これらの調で点打ち法で点を打っていると、点を打っているうちに次の小節が目に入って、「次の小節の点はここだなぁ」と思い浮かぶようになるだろう。 そうなればしめたもので、点を打たずとも「おぉ、見えるぞ、点が見える!」という状態になって、点があるはずの位置を目で追うだけで読めるようになるだろう。 しかし、残りの四つの調号は
前回までで調号15種類のうち半分近くの7種類まで移動ドで読めたことになる。残りは8種類。 前回はCのすぐ上下(2度)が主音になる長調を読んだが、今回はさらにもうひとつ(3度)離れた調を階名で読めるようにする。そういう調はやはり調号で4種類、調としては8種類ある。高い方から シャープ4個 ホ長調(E dur、嬰ハ短調・cis moll) フラット3個 変ホ長調(Es dur、ハ短調・c moll) シャープ3個 イ長調(A dur、嬰へ短調・fis moll) フラット4個
調号が1個から6個の場合は、音によって調号があったりなかったりするから、調号がない音については調号がない場合のルール、調号がある音については調号7個のときのルールを適用すればよい。 とはいっても、演奏中に調号が付いているかどうか判断するのはなかなか骨の折れる作業である。実はもっと簡単な方法がある。ただし、ひとつだけ、余計な臨時記号が書かれていないという条件を満たしている必要がある。 この場合、ある音について小節の最初に出会った臨時記号については、 調号がシャープの場合は
前回は「ほとんどハ長調でおk」という調の読み方だったが、今回は「ちょっとズレてるような気がするけどだいたいハ長調でおk」な調である。 もうちょっときちんと書くと、ドの音符の位置がCのすぐ上や下になる調で、そういう調は調号で4種類、調としては8種類ある。高い方の調から、 シャープ2個 ニ長調(D dur、ロ短調・h moll) フラット5個 変ニ長調(Des dur、変ロ短調・b moll) シャープ5個 ロ長調(H dur、嬰ト短調・gis moll) フラット2個 変ロ
まず、調号がシャープ7個の場合の臨時記号の読み方である。 ダブルシャープに出会ったら半音上げてください ナチュラルに出会ったら半音下げてください シャープに出会ったら元に戻してください 何かどこかで見たことのある文章だが、基本的にはシャープがダブルシャープに、ナチュラルがシャープに、フラットがナチュラルに格上げされただけで、ハ長調とそう読み方は変わらない。 一方、調号フラット7個の場合は、だいたい予測がつくと思うが、 ナチュラルに出会ったら半音上げてください ダブルフ
これで調号なしの楽譜はスラスラ読めるようになったはずである(たぶん…なったことにしよう)。 続いて、調号のある楽譜に挑戦しよう。 ♯・♭・♮といった記号はまとめて「変化記号」と呼ばれる。そのうち、音符のすぐ前につくやつを「臨時記号」といい、これは前回説明したとおりである。それに対し、ヘ音記号やト音記号(音部記号)のすぐ右に羽虫のように群れになってるやつを「調号」という。 羽虫のようなやつ、と書いたが、実際には数と並べ方が決まっている。虫玉のように縦横無尽に飛び回ったりはし
楽譜の左端ではなく、音符の直前に書いてあるシャープ♯とフラット♭(と、ナチュラル♮を合わせて臨時記号という)の話である。 シャープに出会ったら半音上げてください フラットに出会ったら半音下げてください ナチュラルに出会ったら元に戻してください 以上。 …ではあまりにもひどいので、もう少しうんちくを語っておく。 まず、念のため、ルールを説明しておくと、臨時記号はその小節の最後まで有効で、上下の位置が違う音符には影響しない。 だから、ひとつの小節にソが4つ並んでいて、ふ
音符をドレミにできても、歌えなければ意味がない。 ドレミを歌うのは基本的には数をこなせば感覚がつかめるものだと思っている。ただ、大きな跳躍は大変だし、難しい音程があるのも事実で、そういう音程はあまり出てこないので、練習しないと初見は難しいだろう。 とにかく簡単な、好きな歌をドレミで歌うこと。 だけではアレなので、少しだけ助言みたいなのを書いておこうと思う。 前回、楽譜の読み方として、ドとソを基準に読む方法と、前の音符のひとつ上下・ふたつ上下を読む方法を書いた。前者を基
楽譜の左端に#も♭も書いてないやつ、つまり、ハ長調をきちんと読めるようになりましょう、という話である。移動ドの読み方と言いつつ、ハ長調だから移動ドも固定ドも関係ない。 ついでにドイツ語読みもここでやっておくといい。楽譜が読めないと困るような団体ではだいたいの場合に実音としてドイツ語読みを採用しているからである。というか、この先の説明で必要になるので、是が非でも覚えて欲しいです… 移調楽器の場合、いわゆる「ド」の位置が実音でCにならないが、とりあえずドの位置をCと読めるよう
今回は移調楽器と移動ド読みの意外な関係について書こうと思う。 器楽と声楽の譜読みで書いたように、管楽器には「ド」の指遣いで吹いても、いわゆるピアノの「ド」の音が出ないものがそこそこある。こういう楽器を「移調楽器」という。B♭管などと呼ぶのだが、この楽器で「ド」の指遣いで吹くと、ピアノでいう「シ♭」の音が出る。 移調楽器の中でもパート譜がト音記号の楽器は、その楽器で「ド」の指遣いで吹くべき音が、楽譜上でも「ド」の記譜になっている。この場合、B♭管の楽譜なら楽譜の左上あたりに