まずは調号なしを読めるようになる

楽譜の左端に#も♭も書いてないやつ、つまり、ハ長調をきちんと読めるようになりましょう、という話である。移動ドの読み方と言いつつ、ハ長調だから移動ドも固定ドも関係ない。

ついでにドイツ語読みもここでやっておくといい。楽譜が読めないと困るような団体ではだいたいの場合に実音としてドイツ語読みを採用しているからである。というか、この先の説明で必要になるので、是が非でも覚えて欲しいです…

移調楽器の場合、いわゆる「ド」の位置が実音でCにならないが、とりあえずドの位置をCと読めるようになっておくのがいいと思う。楽器の楽譜で実音と読みが違って気持ち悪いようなら、歌やリコーダーの楽譜を使うのがいいだろう。

読み方のコツとしては、まずド(C)の位置をしっかり把握する。そうするとそのすぐ上がレ(D)すぐ下がシ(H)だ。ドイツ語の場合、シはBではなくH(はー、と読む)だ。他の文字の読み方は探せばいくらでも出てくるのでいちいち書かない。これでもう3つ読めた。

次にソ(G)の位置をしっかり把握する。そうすればそのすぐ上がラ(A)で、すぐ下がファ(F)だ。これでさらに3個、合計6つ読めた。

ドレミファソラシは全部で7個だから一つ足りない。何が残っているかというとミが残っている。ミ(E)はドとソのちょうど間におさまる。これで全部である。

ドとソの実際の音符の位置は面倒なので調べればいくらでも出てくるのでここには書かない。音部記号によって違うが、自分が一番使うやつだけ調べればいい。移動ド読みの応用で、一種類覚えるだけで最終的にハ音記号も含めてどんな記号でも読めることになっている。バスの人はとりあえずヘ音記号だけ読めればいい。テノールはト音記号だろう。

最初のうちはドとソの位置にマーカーか何かで線を引いておくといいかもしれない。オクターブ違いで複数あることにも注意。このうち、五線の中に収まるのはせいぜい3本である。あとは上や下に飛び出すが、飛び出した横線が何本でドになるかは意外とすぐに覚えられるので、無理してマーカーで線を引くこともないかもしれない。

楽譜からドレミ(ABC…)ができたら、その逆、ドレミから音符を書けるようにする練習もしよう。指揮者に「ラの音が…」と言われたときにまごつかないように。

さて、これで一応、ハ長調の楽譜は読めるようになるのだが、実際にはもう少しズルをする。例えば今読んでる音符が「ファ」だったとしよう。そのすぐ上はソ、すぐ下はミなのだから、音符がそっちの方へ動いていったら素直にそう読めばいいのである。

この読み方はさらにもうひとつ上下、つまり元の音符から線1本分上下した時も使えて、ファの1本分上はラ、1本分下はレである。これで、ファが読めれば、レ・ミ・ファ・ソ・ラ、実に五つの音が読めてしまう。読めないのはド・シと、それより離れた音だけだ。

だいたい、メロディーというのは飛びまくってることは少ないので最初の音が分かればこの方法で8割くらい読めると思う。

たとえば、童謡の「ぞうさん」の最初は「ドーラソ、ドーラソ」だ。ドラソはふたつ下、ひとつ下で読めて、次のドはちょっと上へ飛ぶ。飛んだらもう一度ドかソを基準にして読み直せばいい。この場合、まんまドである。そのまま続きを読めばいい。最初のうちは音が飛んだところだけドレミを書いておくのもいい。

この読み方ができるようになるには、次の音、前の音、ふたつ上の音、ふたつ下の音がスラスラと言えるようにならなければならない。まぁドレミで読んでいるうちに普通はできるようになるのだが、訓練としては、

ドレミファソラシド
ドシラソファミレド
ドミレファミソファラソシラドシレド
ドラシソラファソミファレミドレシド

と、繰り返し呪文のように唱えるのがいいのではないだろうか。ちなみに、この呪文、おそらくまたすぐに目にすることになる。

あるいは単語帳の表裏に隣同士の音(表がドなら裏がレ)、ひとつ離れた音(表がドなら裏はミ)を書いて、順番も裏表もシャッフルして1枚ずつ引いて表の音を見て裏を当てる、でもいいだろう。7枚ずつ14枚あれば足りる。ついでにドレミとドイツ語の対応も作っておくといいだろう。これも7枚だ。なんだかんだ単語帳は便利である。

あとで他の調を読む礎となるので、ハ長調だけはスラスラ読めるようになるまで練習するのが望ましい。


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