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幻想鉄道奇譚

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【完結】人生のすべてをかけた夢を捨てていく、手放しの物語。全45話
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#スチームパンク

幻想鉄道奇譚 #7

 困惑を押しやりながら、乗降口の階段をのぼる乗客に手を貸した。若い男女、老夫婦、家族連れ…

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幻想鉄道奇譚 #8

 これから往復十日間、つきあわなくてはいけない職場が駅を離れ、夜の都を駆け抜けていく。 …

8

幻想鉄道奇譚 #9

 都が遠ざかり、丘陵の森から田園地帯へと列車は走る。通路の車窓に映るのは、うす暗い電動式…

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幻想鉄道奇譚 #10

 パトリックとゾーイ、クーパーの冷静な対処からして、乗務員は当然知っているし、こういった…

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幻想鉄道奇譚 #11

 二時間後、田舎まちの駅で一組の若いカップルが乗車した。その後いくつかの無人駅を過ぎなが…

7

幻想鉄道奇譚 #12

 貨物車両につながる連結部のドアを開けると、外だった。列車の律動だけがこだまする雑木林の…

6

幻想鉄道奇譚 #13

 十五分の休憩をギャレットのもとで過ごしたエイダンは、気もそぞろのまま車両の見まわりに戻った。それから車内販売を手伝い、少しの休憩を自分の部屋で過ごし、クーパーに命じられるがまま、淡々とまた見まわりをこなす。一方クーパーは仕切り部屋の男性の様子を確認するためか、スミスとともにひっきりなしに貨物車両に向かっていた。エイダンは彼らになにも問わず、余計なことを言って首をつっこむような真似もせず、ただ二人の背中を目で追った。その間も頭にあったのは、ギャレットとのやりとりだ。  常に

幻想鉄道奇譚 #14

 ギャレットの密偵のような真似をしてまで、エーテル修復師の国家資格試験を受けたくはない。…

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幻想鉄道奇譚 #15

 スミスと交代したエイダンは、夕方の出発時刻までクーパーと業務に就くことになった。車掌室…

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幻想鉄道奇譚 #16

 バーレンの無人の駅舎を過ぎると、閑散とした広場にでた。石造りの小さな教会がぽつんと建っ…

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幻想鉄道奇譚 #17

「……ここにいたんだね。探したよ」  エイミーを見下ろし、息をのむ。ユニコーンの人形を抱…

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幻想鉄道奇譚 #18

 あと少しで駅前の広場に着くというころ、こちらに向かってくるスミスの姿が視界に飛び込んだ…

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幻想鉄道奇譚 #19

 車窓越しに、墨色の海が見えてきた。月に照らされた水面が儚く輝き、闇夜の雲がゆったりと流…

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幻想鉄道奇譚 #20

 貨物車両の仕切り部屋に隔離された男性は、ブラッドと名乗った。先に海を渡った恋人に続き、ミンタカ島へ向かうのだそうだ。 「症状がひどくなってる。ずっと手の震えが止まらないんだ」  車両内の天井には小さなランプが一つ下がっているが、仕切り部屋には灯りがない。薄暗い周囲に目を凝らしながら食事を届けると、簡易ベッドに腰かけていたブラッドはそう言って、エイダンに両手を見せた。たしかに、小刻みに震えている。それにくわえて顔色の悪さが増しているのは、この暗さのせいだろうか。  テー