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WKWKWKW…… / ウォン・カーウァイ・カーウァイ・カーウァイ……
王家衛、ウォン・カーウァイ、WKW……。いろいろな表記がなされるけれど、全て同じ人物を表している。いかつい黒眼鏡がトレードマークの香港の映画監督だ。『花様年華』『ブエノスアイレス』『天使の涙』『恋する惑星』『2046』『欲望の翼』……と彼の代表作は、それぞれがひとり立ちをして走り出してしまうほど名の通った作品が多いけれど、彼の作品群は共通して物語が優れて面白いわけではないけれど、共通して画にエレガ
もっとみる【第1回】誰にも教えたくない映画:『ジュラシック・パーク』
自分の感覚が震えるような映画を見たときは、誰にも教えずに自分の中に大事に留めておきたくなる。自分だけがその映画について知っている特別感に浸っていたいと思う。その一方で、自分の感覚が震えるほどよかったのだから、そんな衝撃作について口を開かずにいるのは難しい。何がよかったのか、どうよかったのか、誰かに話したくなってしまう。そんな葛藤を自分の中で繰り広げ、結局はぺらぺらと方々で話してしまう。映画というの
もっとみるオオナリ・ミーツ・ハマグチ
某カフェ(以下「Kカフェ」とする)の階段を上り、Bランチ(カレー)とアイスライチ茶を注文し、いちばん奥のカウンターに座ると、マスターはどうやら鼻声だ。風邪か、花粉か、鼻炎か。最近は昼と夜の寒暖差が激しい。体調を崩すのも仕方がないですよね…なんて話していると、マスターがあることを告げた。どうやら濱口竜介がこの後Kカフェにやってくるらしい。偶然だ。
濱口竜介というと、映画監督であり、それもただの映画
可視による不可視の表現:『透明人間』
映画狂御用達のホラー映画監督、ジョン・カーペンターのレトロスペクティブが現在、全国的に開催されている。1月7日にこのレトロスペクティブは封切られ、順次全国を巡回している。土地によってはもうすでにこのレトロスペクティブ上映が終わっているところもあるのかもしれないが、まだ始まってすらいない地域もあるだろう。ちなみに、レトロスペクティブというのは、あるテーマ(今回のように映画監督がテーマになることが多
もっとみるトリュフォーのやりたい放題:『私のように美しい娘』
『私のように美しい娘』は、フランスにおける映画の革命的運動、すなわちヌーヴェル・ヴァーグの旗手であるフランソワ・トリュフォーが、1972年に撮った、13作目の長編映画である。
この映画で主演を務めるベルナデット・ラフォンは、自らの美貌を求めてやってくる男たちを1人ずつ、時にまとめて退治してゆく。その様は、トリュフォーの映画群が持つ、上品で崇高で美しい印象はあまりないのだが、程よく下品であばずれ
愉快な映画を観たいでしょ?:『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス、イヴニング・サン別冊』
鮮やかな色彩を持ち、愉快で小気味よく、テンポの良い軽やかな映像で不思議な世界観を表現した『グランド・ブダペスト・ホテル』の監督ウェス・アンダーソン。彼の最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス、イヴニング・サン別冊』は2022年の1月28日(金)に日本で公開された。僕は可能な限りいちばん早い上映回でこの映画を観たいと思ったので、公開日の午前中、京都シネマへと趣き、最前列中央に席を
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