ぬくもり

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ラヴ・ペンタックス

今回はどうしようもなく、PENTAXへの愛を綴りたくて文章をしたためることにした。(下にいっぱい写真があるよ) もちろん俺はカメラのプロであったり、様々な機種を使い分けたりしたことのある訳じゃなくて、未だに10年近く前に買ってからずっと大事なシーンを共に過ごしてきたカメラについてつらつらとラブレターを書いて、これを読んだどこかの誰かが興味を持ってPENTAXのカメラが一台でも多く売れれば、何だか楽しいカメラがまた発表されるんじゃないかなんて思ったりするだけの人だ。奇特でし

    • 降り注ぐ雨になりたくて

       結構インターネットでは死にたくなっている人が散見される。  彼や彼女らの悲しみや絶望はこれっぽっちも俺にはわからないんだけれど、それでも俺がちょっとだけ、彼らの絶望にちょっとだけ、寄り添ってみたほうがいいのかもと過ぎるのは誰にも何も言わずに死んだ女のせいなのかもしれない。  その女との出会いは大学三年か四年の頃、仙台のバーだか居酒屋でバンド仲間主催の飲み会だった。  小説みたいな話で恐縮だけど、その女はその瞬間地球に居た誰よりも美人だった。  目の色が変わったのは俺だ

      • この思い出を箱にしまっておきたいから

         アパートと言う名の完全なる自分のテリトリーを手に入れて俺は、案外完全な自由は思ってたほど楽しいものではないんだなと考えたりしていた。 前回、進学で一人暮らしを始めた時の話  自由が面白くない、と言うよりは何もすることもなければ、AO入試を活かした最速で友達の作れたスクーリング(この呼び方は一般的ではない?)などで得た友達たちも、こんなタイミングで呼びつけてもまだなんか気まずさがあったりしそうで、そうなるとやはり俺は意味もなくそのへんをフラフラしたりギターやベースを弾いて

        •  神は細部に宿ると建築家ミースファンデルローエは言ったらしいけど、俺の神はいつだって俺に宿っていた。  俺はやっぱりいつだって、多少無理があるなあと自分で思いながらも自分が正しいと言い聞かせながら、思い込ませながら、妄信させながら決断を繰り返している。  結局のところ俺の世界には俺と言う神が居るし、その世界観を他人に押し付けるのもまた、神の思し召しだよねと言ったはちゃめちゃな価値観を他人に押し付けてはこれを「愛だよ」とうそぶいているのが日常なのである。  いつだって何だ

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        ラヴ・ペンタックス

          ちいさな国を手に入れて

           引っ越した日は生憎の雨模様だった。  俺は進学をきっかけに東北に住むことになった。  しかもなかなかマイナー、山形県。  引っ越しを迎える3月中頃はまだ全然寒いとのことだったから、どれくらい寒いかよくわからなかったけどちょっと羽織れる程度のものを持って夜行バスに乗り込んでいた。  昔は今ほど真面目に天気予報アプリを見なかったし、そもそも当時はそんなものをスマホに入れてたか記憶が定かでは無い。  つまるところ、天気予報なんて碌に見ない俺は引っ越し先が今日、どんな天気かな

          ちいさな国を手に入れて

          ここで呪いをひとつまみ

           季節は少し流れて冬頃、俺は大学入試を終えたしことみちゃんとしばらくぶりに会う事になったりしていた 大学を決めた時の話 ことみちゃんとのなんやかんや  やはりことみちゃんは非常に不機嫌だった。心中お察しする、突然俺が遠くの大学に通うことを決めて、あろう事か受かっていやがるのだ。  そんなことみちゃんとやはり、不機嫌なことみちゃんとサザンテラスのスタバに居た。  多分これはきっと、周りの友達のように進学と同時に別れが来るタイプのあれだろうなあと思いながらことの経緯や、

          ここで呪いをひとつまみ

          北の景色に魅せられて思わず

           俺は選択の岐路に立たされていた。  18歳夏の暮れ、高校三年生の確かお盆明け、八月二十日くらいだっただろうか。  気まぐれにオープンキャンパスに行ったものの、進路の話を微塵もしない息子を不安に思ったのか、もしくは何かの気まぐれか、珍しく両親が二つの大学のパンフレットを差し出してきた。  「お前はちょっとおかしな人間だから、大学もおかしいところに行くべきだと思う。交通費は出してやるから素泊まりでどっちか見てこいよ」  そういう父の真剣な眼差しと言葉にギョッとするものの

          北の景色に魅せられて思わず

          あんまり知らない場所で過ごす想像をしたりして

           ことみちゃんと俺は小田急に乗ってオープンキャンパスに向かっていた。  大学に行かない予定のことみちゃんがオープンキャンパスに行きたくなったときの話  ことみちゃんのこの夏にやりたいこと、最後の一つはオープンキャンパスに行くことだった。  進学のことを1秒だって考えたことがなかった俺は、密かにバイトで貯めていた金を使ってノルウェーとかフィンランドにワーキングホリデーに行っちゃおうかな、と母親に相談してみたところ「オッケー」と言いわれたりした。  ところで親ってこう言う相

          あんまり知らない場所で過ごす想像をしたりして

          横に君を感じて

           サマーソニックに行ってみたいの。  18の初夏、ことみちゃんは唐突に俺に言った。ことみちゃんは当時、俺が熱中して聞いていたFall out boyを一緒になって聴いていて、どうやらこの年のサマーソニックに彼らが来ると言うことであった。  前回、懲りずにまたことみちゃんがと一緒にいはじめた話  ずっとバンドをやっているものの、なんだかフェスは気後れするよなあと思いながらなかなか行かない出不精の俺だけど、知ってるアーティストが沢山出るのと、何よりまたいつ消えるかわからない

          横に君を感じて

          それが終わりに向かっていっていたとしても

           前回、ゆずかちゃんはやっぱり他に好きな人が出ました。故に殺しました(全然殺していません)  晴れて残念なことに仕方なく運命的に当然の流れで身軽になった俺は、さてそろそろ進路とか考えようかなと思ったりし始めたのだ。  そうやって気分新たに何かを始めようとした時、大抵現れるのはことみちゃんだった。  もうさ、俺の高校時代に出てきすぎなんだよこいつ、風物詩みたい。  高校三年生の初夏、突然連絡を寄越してきたことみちゃんは相変わらずなーんにも考えていないような様子で久々に会

          それが終わりに向かっていっていたとしても

          春が来る頃には

          前回、ことみ死す。(死んでいません)  巡る季節はいつの間にか冬、年が明けた頃。17歳に少し前になっていた俺は唐突に来たことみちゃんとの別れは意外にも泣いちゃったりしたものの、あっさりと乗り越えてしまった。  恋愛の傷は恋愛でのみ癒えるとは良く言ったもので、前回書いた奇遇にも同じ日に手ひどく振られた「ゆずかちゃん」と急激に仲良くなったのだ。  ゆずかちゃん、彼女はどこまでも気まぐれな女だった。  待ち合わせの時間に平気で今起きたと言うタイプであった。  時間を守らない人

          春が来る頃には

          したため愛

           取り留めのない話を書いてみようと思った。  例えば何千時間と一緒に居てもわからないような他人の事も、ちょっとの会話や電話、はたまた書いた文書を読んだだけでわかったりすることがある。  とある女の子がいた。  その子は文章を書くのが好きだった。  その子は運が無かったから、しなくても良い苦労を重ねたりして、幾つか俺より歳下だったのに変な深みを持ってしまっていた。  その子は音楽も好きだった。  だから俺は本を与えてみたり、話を聞いてみたり、音楽を押し付けてみたりした。

          したため愛

          何が起きても挫けない、みたいなところがある

           16歳。夏も終わり少しずつ秋の香りが街中に漂い始めて、なんだか知らないノスタルジックを感じたりするものだ。  人生はいつも燦然と輝き、忘れた頃にやってくる人々の営みがふと「ああ、今日も生きているんだな」と思わせたりする。  きっかけは些細な、ことみちゃんからの連絡だった。 ※ことみちゃんについて  中学3年生の頃、インターネットとの距離感が完全にバグっていた俺と新宿でエンカウントした同い年の女の子、ことみちゃん。  ことみちゃんとはかれこれ半年かそこら何の理由もな

          何が起きても挫けない、みたいなところがある

          今はなき場所に思いを馳せてみたりする

           高校時代にしたアルバイト先は、今全部潰れてもう無くなっている。  高校生活でやったアルバイトは2つだけ。  一つはラーメンチェーンの幸楽苑、もう一つはスポーツ用品店のヴィクトリアだ。  少し前に帰省した時に、数年前に両方なくなったよと言う話をふと思い出して今、したためることにした。  高校生になってどうしてもやりたかったことはアルバイトであった。  高校生になってようやく、労働し対価として金銭を受け取れる行為が解禁される。厳密に言うと違うが、少なくとも俺としてはそう

          今はなき場所に思いを馳せてみたりする

          いつも夏になると思い出すのはそう

          前回のnoteを読むと、部長の解像度が少し上がるかも ↓前回 以下本文  高校生になって初めて出来た彼女は書道部の部長だった。  それがなんだか誇らしくて、いや肩書きで好きになった訳でもないんだけど、とにかくうまいこといって俺はどうやら浮かれ気分になっていったようだ。  一緒に入部した友達は、なんだか遠い存在に感じるよと言ったりナヨナヨ先輩は苦虫を噛み潰したような表情で「幸せにしろよ!」と背中を叩いてきた。あとから人伝に聞いたら、ナヨナヨ先輩は部長がずっと好きだったら

          いつも夏になると思い出すのはそう

          結局のところ、モチベーションは君

           愛や好きという気持ちは往々にして、一緒に過ごした時間が長ければ長いほど芽生えやすいものだと思う  故に愛は「育む」というのだろう。  とはいえ、世の中には一目惚れという言葉が存在しているのもまた事実で、俺にとっての初めての一目惚れは高校に入ってすぐのことだった。  意地でも運動部に入りたくなかった俺は、祖父が書道の達人だからきっとセンス受け継いでるやろ、と言った浅はかさで友達と書道部へ見学に行くことにした。  本当は入学前、あまりにもモテた過ぎてギターをはじめたから

          結局のところ、モチベーションは君